ベアメタルの今を語り尽くすイベント「第1回OCDETベアメタルWG勉強会」レポート
リンク、SoftLayer、GMOアプリクラウド、IDCフロンティアがサービスを紹介
事業者編としては、まずリンクの山本誠一郎氏が、同社の「ベアメタル型アプリプラットフォーム」を紹介した。
氏は、サービスの特徴としては、「GUIから物理サーバーをプロビジョニング」「物理サーバーの性能にクラウドの操作性とスピード」「ハードウェア障害が発生しても新しいベアメタルで迅速に復旧」の3つを挙げた。そして、AWSの同価格帯のインスタンスに比べて2〜5倍のパフォーマンスがあるというデータを紹介した。
機能としては、コンロールパネルからのサーバー作成や、LVMのスナップショットを使ったバックアップとユーザー自身によるリストア、障害時の自動リストア、バックアップを使ったサーバーの複製やスペックアップが紹介された。
そのほか利用ケースとして、クラウドから移行してサーバー台数を減らす例や、期間の限られるイベントサイトの例、クラウドはわかるがサーバー選定の経験がない管理者の例を山本氏は挙げた。
続いて、GMOインターネットの「GMOアプリクラウド」について、専用サーバーの背後で動いているベアメタルプロビジョニングが紹介された。現在実運用しているOpenStackベースのシステムを郷古直仁氏が、次期システムのために検証中のIronicを柳匡哉氏が解説した。
郷古氏は、ベアメタルプロビジョニングのツールとして、最初期のkickstart/preseed(それぞれRed Hat系とDebian系のインストーラのスクリプト)のシステムや、Relax-and-Recover(rear)を利用したシステムを紹介。GMOアプリクラウドのシステムとしては、Excelで管理したデータをPythonで読んでCobblerで起動するシステムと、そこから自動化して、OpenStack HavanaのBaremetal Computeを改造してAnsibleからCobblerで起動する現行システムを解説した。
さらに、現行のシステムについて、構成やプロビジョニングのプロセスを解説した。Ansibleの変数定義のYAMLファイルを生成し、AnsibleからCobblerでOSをインストール、そのあとでスイッチのAPIからVLANを設定するという。
ただし、この方法ではインストールに時間がかかることや、OSの種類の制限などがあることから、Ironicを検証しているという。
Ironicの検証については柳氏が報告。イメージ準備や空VM準備、TFTPサーバー設定、iSCSIなどについて説明したあと、遭遇したさまざまなエラーについて解説した。また、バグの修正をしたことや、オブジェクトストレージのSwiftを使わずnginxを使う改造などについても柳氏は触れた。
IBMの北瀬公彦氏は、同社のSotLayerについてというより、ベアメタルクラウド全般の意義について語った。
氏はベアメタルクラウドについて「ホスティングとクラウドのいいところどり」と表現して、仮想サーバーと比べたパフォーマンスや、ハイパーバイザーに脆弱性が発見されたときの対応、コストパフォーマンスについて紹介した。
また、物理サーバーも仮想サーバーも同じようにセルフサービスによりオンデマンドで作成できるとSoftLayerのサービスを紹介。仮想サーバーのイメージを物理サーバーに移行する機能についても説明した。
ベアメタルクラウドの用途については、HPCや、ビッグデータ、データベース、ゲームのバックエンド、ベアメタルクラウド上のプライベートクラウドを紹介。そのいくつかについては、SoftLayerでの構成例を挙げてみせた。
IDCフロンティアの金井崇氏は、同社の「IDCFクラウド ハードウェア専有タイプ」を紹介した。仮想マシン1つが物理サーバーを専有するタイプのサービスだが、仮想マシンイメージをすべて超高速フラッシュストレージであるFusion-ioのioMemoryに置いているのが特徴だという。
氏は開発の動機として、「ioMemoryは高速だけど高い、時間貸しをしたら売れるんじゃないか」と考えたと紹介した。
苦労した点としては、VM削除時の追加ディスクの消去や、VM作成で追加ディスクを作るための制限を紹介。さらに、肝心のディスクベンチマークで性能が出にくいという状態だったため、ファイルシステムのパラメータのチューニング、マウントオプション、I/Oスケジューラ、ディスクイメージの作成方法の変更などによって、物理サーバーと同等の性能まで高速化したと報告した。
※記事内に一部「GMOクラウド」と表記されていましたが正しくは「GMOアプリクラウド」です、お詫びして訂正致します。(2015/3/30)
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