話題のスマートスピーカー「Amazon Echo」を体験! DMM.make AKIBA主催『IoT女子会』レポート
2018年4月14日(土)、東京・目黒のアマゾンジャパン合同会社でDMM.make AKIBA主催の人気イベント『IoT女子会』が開催されました。
今回のサブタイトルは「Special for Amazon Alexa」で、いま話題のスマートスピーカー「Amazon Echo」のアイディアワークショップが中心となっています。注目度の高いテーマということもあって、ほぼ満席の状態でした。
女子会らしく交流会や女子に嬉しいお土産もあり、IT女子ではなくても楽しめる内容になっていました。当日の模様を、音声コンテンツの制作も行なっており、音声ビジネスの未来に関心のあるラジオDJ・ナレーターの八木志芳(@ShihoYagi)がレポートします。
なお、IoT女子会の過去の活動やDMM.make AKIBAについては、Think ITのレポート記事や、IoT女子会のFacebookページをご覧ください。
IoTとは何か―IoTで実現する生活
ワークショップの前に、まずは、IoTに関するミニ講座が行われました。
講師は合同会社techika(テチカ)代表の矢島佳澄さん。techikaは電子工作と手芸を組み合わせたワークショップの運営や展示作品制作、工業製品のプロトタイプ製作などを行っており、矢島さんはIoT女子の最前線を走っています。
矢島さんは「IoTは家の中で使うことを考えていくと、自分らしい暮らしいを作るきっかけになる」と話します。例えば、スマホでヘルスケアアプリを使い、アプリと連動してスマートウォッチで測った心拍数と当日の天気予報から、その日に最適な時間に目覚ましが鳴り、カーテンが開く…というように、「こんなサービスあったらいいな」「こんな暮らしができたらいいな」と想像し、IoTでそれを実現する方法を見つけていくのです。
矢島さんのお話の後は、参加者同士で「私らしい理想の暮らしを考えよう」というグループワークの時間になりました。私が参加したグループでは、「その日の天候や予定を考慮したコーディネートを持っている服から提案してくれるサービス」や「運動や食事などをトータルで管理してくれるサービス」などのアイディアが出されました。 どれも実現したら、日々の暮らしが充実しそうですよね!
Amazon Echoでは何ができる?
それでは、豊かな日常を実現していくためのIoTプロダクトの代表とも言えるAmazon Echoは、何ができて、どのような可能性があるのでしょうか?
Amazon Echoについて説明してくれたのは、アマゾンジャパン合同会社Alexaデベロッパーエバンジェリストの畠中俊巳さんです。畠中さんは、Alexaスキル開発カリキュラムの企画開発からAlexaスキル開発者の育成、コミュニティ作りなどを担当されています。
ちなみに、AlexaはAmazon Echoの頭脳となるクラウドベースの音声サービスのことです。最近、「アレクサ、○○して」と語りかけているテレビCMをよく目にしているかと思いますが、ハンズフリーで使えるデバイスであるというのがAmazon Echoの特徴です。
「Alexaスキル」とは
Amazon Alexaを活用する上で重要となるのが「Alexaスキル」です。テレビCMでは「音楽かけて」「タイマーをセットして」などと呼びかけていますが、これはAlexaに標準搭載されているスキルです。
そして、Alexaの機能を拡張してくれるのが、各デベロッパーが開発した「カスタムスキル」と呼ばれるものです。例えば、アイロボット社が提供するカスタムスキルを使用すると、「アレクサ、ルンバを使って掃除して」と語りかけるだけでルンバが起動し、掃除をしてくれるようになります。
Alexaスキルは、日本国内ですでに600以上あります。amazon.co.jpから現在利用できるAlexaスキルを確認できますが、エンターテインメントのものから実用的なものまで、かなり幅広いジャンルのスキルが並んでいます。
ちなみに、現在人気があるAlexaスキルの1つが、全国のラジオ局の番組を聴ける「radiko.jp」です。ラジオDJとして、ラジオコンテンツが人気なのが嬉しい限りです。
本イベントでも実際にAmazon Echoを使う時間が設けられ、私もスマートスピーカーを初体験。最初はなかなか反応してくれずにやきもきしましたが、コツがわかり、初めて呼びかけに応えてくれた時はテンションが上がりました! 私のような初めて使う参加者の皆さんも、Alexaが反応するたびに歓声をあげて喜んでいるようでした。
Amazon Alexaの仕組み
先にも説明したように、Amazon Alexaはクラウドベースの音声サービスです。Alexa側は音声入出力の部分を担当しており、音声はコンピュータが理解できるデータに変換され、サーバーに転送されます。
音声データ自体はデベロッパーに転送されないため、声色や声の調子を基にしたサービス(声に元気がないから元気になる曲を自動選曲するなど)はできないということです。なお、音声だけでなくAlexaアプリに画像を表示することも可能で、アメリカではすでに画面付きのデバイスもあります(日本では未発売)。
また、学習能力もあるため、最初は反応が悪くても、使い続けていけば認識率が向上する仕組みになっているそうです。
ちなみに、マイクとスピーカー付きでインターネットに接続できるデバイスがあれば、そこにAlexaの機能を埋め込むことができます。現在ではPCやスマホはもちろん、時計や車など実装できるデバイスが多いため、畠中さんは「この1、2年でAlexaが入った製品がどんどん出てくるだろう」と話していました。
メインの「アイディアワークショップ」がスタート!
Alexaについてひと通り学んだら、いよいよアイディアワークショップに突入です! ワークショップのお題は「Alexaスキル」。Alexaで実現できること、実現したいことを考えてみようという内容です。
まず、ウォーミングアップとして「自転車」をテーマに『あったらいいな』と思えるサービスを考えることに。テーブル毎に、個人が考えたスキルを発表していきます。
私のグループでは「自転車に乗りながら音楽を楽しみたいからイヤホンいらずの指向性スピーカーにAlexaを内蔵して、車が近づくなど周囲の環境に応じて音量を上げ下げしてくれるサービス」や「広い駐輪場で自分の自転車の位置がわからなくならないように、自転車に近づいたらスマートウォッチなどが反応するスキル」などのアイディアが出ました。
どれも実現したら嬉しいサービスばかりで、メンバー内から共感の声が上がり、『それがこうなったら、さらにいいよね!』とアイディアが深まる意見が次々と飛び出しました。ちなみに、私は「自転車利用者の体力と道路の勾配を考慮して、快適かつ最短時間のコースを提案してくれるスキル(要するに一番楽な道を提案してくれるスキル)」を考えました。自転車好きなのに、体力値が低い私としては是非とも欲しいサービスなのです。
ウォーミングアップでグループ内のコミュニケーションも深まったところで、メインテーマのアイディア出しへ。課題は『あなたの生活の中にあるモノに対し、これがしたいから(今はない機能の願望)、Alexaにこうしてほしい(アイディア)』をグループ毎に考えて発表すること。
かなり漠然としたテーマに少し困惑しましたが、さすがIoT女子会! 意識の高い参加者が集まっているためか、どのテーブルも次々にアイディアが出てさくさくと話がまとまっているようでした。しかも、アイディアの発表方法は動画! Instagramの動画機能を使ってプレゼン内容をまとめた動画を作成して投稿、発表タイムでは参加者全員で動画を見ながらプレゼンすることになりました。
私の班も、これまでの話からアイディアをまとめ、イラストの得意な方が絵を描き、効果音をつけたり、セリフを喋ったり(ここで漸く本業が活かせて役立てた私…)と役割分担をして作業を進め動画が完成! 発表タイムへ備えます。
そしてグループ発表! 結果は…
ワークショップが始まる前、畠中さんより「女性ならではの視点で生活に溶け込むスキルを考えほしい」と要望がありましたが、発表された内容はどれも「女性だから生まれた」という個性的なアイディアでした。
「女性のその日の体調に合わせてハーブティーをドリンクサーバーが調合してくれるスキル」や「ネガティブになった時、イケボで自分をとにかく肯定してくれるスキル」、「ダイエットのため日々のエクササイズや体型を管理し目標が達成された時にご褒美が届くサービス」などを提案していました。
「わかるわかる!」「それほしい!」と女性なら共感できるアイディアが続々と発表され、進行役を務めたDMM.make AKIBAの上村さんは「現実的なアイディアになりがちなところを、かなり創造性に富んだアイディアが多かった」と感想を述べていました。そして全ての発表が終わり、アマゾン賞が二つのグループに贈られました。アマゾン賞の選定は畠中さんと、日本のAlexa開発チームを束ねる柳田晃嗣さんです。
受賞アイディアの一つ目はこちら!
https://www.instagram.com/p/BhiuKLQlmMj/?hl=ja&tagged=alexagirls
https://www.instagram.com/p/Bhium6TlgFh/?hl=ja&tagged=alexagirls
https://www.instagram.com/p/Bhivl08FD11/?hl=ja&tagged=alexagirls
発表された動画は3話完結の大作でした! 「ケンカしたカップルの仲を取り持つようにアレクサが相談に乗ってくれるスキル」というアイディアで、『男の子って女の子の気持ちを全然理解してくれないよね』という意見から、AIに冷静な仲介役になってもらう発想から生まれたそう!
畠中さん、柳田さんも「実際に使ってみたくなる」と評価していました。男女の問題って世代を超えた課題ですもんね。
そして、もう一つの受賞アイディアはこちら!
https://www.instagram.com/p/Bhivl-9FO4x/?hl=ja&tagged=alexagirls
こちらは「自宅にいながら別荘地気分を味わえるスキル」というもので、Alexaを加湿器やエアコン、音楽プレイヤー、アロマディフューザー、プロジェクターなど自宅にある家電に繋げ、軽井沢やハワイなどの気温や湿度・香り・雰囲気を再現するというアイディアです。
こちらも、畠中さんから「これが実現したら自宅だけではなくトイレやお風呂、またはホテルなどいろいろな空間で使えそう」というコメントがありました。
ちなみに、このアイディアは、なんと私が参加したグループのもの! 取材で来たところをちゃっかり賞もいただけて嬉しかったです。
女子会ならではの交流会&お土産
全てのプログラムが終わった後は、交流会へ。ケータリング協賛のperry.incによる薔薇型のローストビーフやビーフシチュー、リカー・イノベーション株式会社が厳選したお肉に合う日本酒などが振る舞われ、参加者同士の会話も弾んでいました。
さらに、ノベルティ協賛企業のさくらインターネット、RSコンポーネンツからはシミ抜きや歯ブラシセット、USBケーブルなど、女性に嬉しい使えるアイテム満載のお土産もあり、最後はお腹も心も満たされるイベントでした。
【お土産を提供いただいたノベルティスポンサー】
・perry,inc
・KURAND(リカー・イノベーション株式会社)
・さくらインターネット株式会社
・RSコンポーネンツ株式会社
他
おわりに
今回のイベントを通じて、スマートスピーカーの利用方法と可能性をかなりじっくり学ぶことができました。畠中さんは、「目標はAlexaの使えるデバイスが広まり、Alexaが生活の中に欠かせないものになること」だと話します。
このようなイベントがきっかけで生活に役立つAlexaスキルを生み出す開発者がたくさん生まれれば、より Alexaの普及も加速し、私たちの生活が劇的に変化するかもしれません。理想的な暮らし実現してくれるスキルの登場を想像すると、ワクワクしてきます。
また個人的に、音声ビジネスに関わる人間として音声デバイスの魅力と可能性を学べたので、もっと面白い音声コンテンツの活用方法を考えていきたいと思いました。
なお、このイベントの様子は、ハッシュタグ #IoT女子会 #AlexaGirls をつけた投稿がInstagramで公開されているので、気になる方は是非ご覧ください。
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