仮想化ストレージのティントリ、Hyper-Vサポートでマイクロソフトユーザーの取り込みを強化
コモディティサーバーを使った分散仮想化ストレージ製品を開発販売するティントリジャパン合同会社(以下、ティントリ)は2015年3月5日に記者発表会を開催し、新たにマイクロソフトの仮想化基盤、Hyper-Vのサポートを発表した。また新たに国内の販売パートナーとしてネットワールドが加わったこと、事業の拡大に向けて名古屋、大阪に拠点を作ることなどを発表し、ビジネスの拡大をアピールした。
今回の発表の大きな目玉はマイクロソフトが提供する仮想化基盤、Microsoft Hyper-Vのサポートだ。これまではVMware vSphereによる仮想環境に対するスケールアウトストレージとして、単に巨大なストレージプールを提供するだけではなく、仮想マシン単位でのストレージのプロビジョニングや可視化を可能にすることで、いわゆるEMC IsilonやNutanixなどのスケールアウト型の分散ストレージ製品とは差別化を図っていたティントリであったが、VMwareのvSphere環境に特化した仮想化ストレージをいうポジショニングから、Hyper-VのサポートによってマイクロソフトのOSやミドルウェアを主体に情報システムを構築している企業ユーザーにとっても導入のハードルが下がったと言えるだろう。またHyper-V ManagerやSystem Center Virtual Machine Managerなどのマイクロソフト製の管理ツールとネイティブに連携することで、スナップショット、クローニング、レプリケーションなどが可能になり、管理者への負担を軽減することが可能となった。
また同時にVMwareが2月に発表し、間もなく出荷を開始する予定のVMware vSphere 6へのサポートも発表し、VMwareユーザーへのサポートも忘れていないことを強調した。
今回の発表では、ティントリがサポートする3つのハイパーバイザー製品、VMware vSphere、Red Hat Enterprise Virtualization、Microsoft Hyper-Vの開発元、つまりヴイエムウェア、レッドハット、マイクロソフトのビジネス開発担当、アライアンス担当の責任者がそれぞれ同席し、ティントリのプレゼンテーションに続いて各社がプレゼンテーションを行うという呉越同舟的な演出がなされていた。マイクロソフトはモバイルとクラウドの重要性から事業革新に必要なIT投資とは何か?、レッドハットは自社の製品概要、ヴイエムウェアはハイブリッドクラウド戦略をそれぞれ語り、ティントリの仮想化ストレージへの応援メッセージを各社三様に表明した。
特に興味深かったのは、VMwareの製品担当から楽天に移り、今は日本マイクロソフトでモビリティ&クラウド技術部の部長を務める各務茂雄氏で、楽天において数千に上る仮想マシン環境の構築と管理をやっていたという経験から、仮想マシンごとにきめ細かに管理が出来るティントリ製品の優位性を実感として語る口調には重みがあったと言えよう。
またティントリの日本の代表である社長の河野通明氏は、日本のビジネスが順調に推移していること、現在の東京オフィスを移転すること、社員の増員、大阪、名古屋の拠点の開設を説明し、いよいよベンチャーのフェーズから、富士通、ユニアデックス、ネットワールドなどの国内の大手インテグレーターに信頼されるベンダーになってきたことを確実にアピールし、いわゆる新興ストレージベンチャーからの脱皮したことを印象付けた。
なお、技術の説明を行ったVP of Technologyのレックス・ウォルターズ氏は「仮想アプリケーションストレージ」と題するプレゼンテーションを行うことで単にストレージの管理ではない「仮想化基盤の上で動くアプリケーションそのものをストレージの観点から管理出来ること」が重要だと強調し、IOPSや空き容量だけではなくネットワークのレイテンシーなども総合的に管理する視点がティントリによって可能になることを解説し、ストレージ管理者目線ではなくビジネスにインパクトを与えるアプリケーション管理者目線でインフラを管理出来ることを説明した。
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