写真で見るOCP Summit 2015

2015年4月7日(火)
中間 智也(なかま ともなり)

Microsoft OCS Server v2

MicrosoftおよびQuantaのブースでは、OCS Server v2の実機が展示されていた。1シャーシ内にOCSサーバスレッドを24ノード搭載可能で、各ノードはシャーシ内部のバックプレーンに接続され、イーサネットポートをはじめとする各種デバイスのポートがシャーシ外部へ接続されるようになっている。シャーシ全体はChassisManagerによって管理されており、管理用のアクセスは、ChassisMangerが接続されるバックプレーンからRJ45の管理ポート経由で行う。

写真前方がChassis Manager、後方がバックプレーン

写真前方がChassis Manager、後方がTray Back Plane

OCS背面。バックプレーンとサーバスレッドの接続部分が見える。画面中央にはChassis Managerが装着されている。

シャーシ背面にはバッテリーバックアップ機能を備えたAC単層電源(1600W)が6つ搭載されていて、電源断時にも35秒間継続して動作が可能となっている。サーバスレッドは、HP、Quanta、Hyve、Wiwynn等の各ベンダーから製品が出ている。

Microsoft OCS Server v2 正面

Microsoft OCS Server v2 正面

HoneyBadger/Panther+

JBOD(Just a Bunch of Disks)の集積度を高めるために新たにコントリビュートされたのが、HoneyBadger/Panther+によるストレージサーバである。基本仕様としては、JBODのSASエキスパンダーとPanther+と呼ばれるマイクロサーバ(SAS HBAも搭載)を接続して、大量のJBODを接続可能なストレージサーバとして動作させられるモデルとなっている。Panther+は、Wedgeでも使用されているIntel Avoton(スモールコアのサーバCPU)を搭載したマイクロサーバで、40W以下で動作が可能な超低消費電力サーバである。従来のColdStorageでは、Winterfell(CPUはIntel Xeon 2Socket)1台分のスペース(2OU)が必要であったが、HoneyBadger/Panther+においてはそのスペースが不要となり、より低消費電力で高密度なストレージを手にすることができる。

HoneyBadger/Panther+の正面図

HoneyBadger/Panther+の正面図

Yosemite/1S Server

高密度・低消費電力にフォーカスしたサーバとして発表されたのが、Yosemite/1Sサーバである。Yosemiteはスケールアウトにフォーカスして開発され、サミット前日に発表されたIntel Xeon D-1500 SoC を搭載したHighPowered-SoC Micro Serverを、1シャーシ(Sled)に4台まで搭載できる。1Sノードはわずか210×110mmというスペースにM.2接続のSSDを搭載し、10GbEイーサネットポートを備えている。各ノードのイーサネットポートはEdgeConnectorで集約され、マルチホスト対応の40GbE Mellanox C-4 OCPメザニンカード(主基板上に追加するカード)経由でToRへと接続される。

Intel Xeon 1500-D SoC を搭載した1S Server

Intel Xeon 1500-D SoC を搭載した1S Server

1S Serverを4ノード搭載したYosemite

1S Serverを4ノード搭載したYosemite

Redfish

Redfishは、Intel、HP、Dell、Emersonが協力して考案中のハードウェアの管理プロトコルであり、IPMI(Intelligent Platform Management Interface)にとって代わるものとされている。現在は、スキーマを策定中の段階だ。Microsoftのブースにてデモが行われていた。

管理対象のハードウェアコンポーネント(例えばシャーシ等)はClassとして定義され、例えば「シャーシオブジェクトのノード要素をイテレーティブに取得し、対象ノードの設定を一括で行う」といったように、ハードウェアコンポーネントをよりプログラマブルに扱えるような実装になっているという印象を受けた。デモでは、PowerShellのライブラリを使用していたが、PythonやJava等のライブラリもあるとのことだ。

ただし現状の実装では、REST APIのエンドポイントとなるデバイスが必要となっている。エンドポイントとマシンのBMC間のバックエンドは、IPMIで通信する仕様になっている。将来的には、BMCによりLowレベルなデバイスへ実装できるようにしていきたいとのこと。RESTFulなインターフェースでBMCにアクセスするアプローチは、OpenBMCでも想定されているため、OpenBMCのREST APIとはどのように折り合っていくのかにも注目したい。

OCPのコミュニティが立ち上がってから4年が経過し、AppleやHPなどの新たなメンバーが加わり、プロジェクトは広がりを見せている。ハードウェアのオープンソース化は、サーバ、ラックからストレージ、ネットワークとますます範囲が拡大し、FacebookをはじめMicrosoft、Broadcomなど多くのメンバーから活発にコントリビューションがされている。今後は今回コントリビューションされた仕様に基づいた製品が製造され、OCPの採用が期待されるだろう。

著者
中間 智也(なかま ともなり)
伊藤忠テクノソリューションズ

2007年伊藤忠テクノソリューションズ入社。
主にサーバ/ストレージを中心にお客様のシステム導入をサポート。
現在は、OpenComputeProjectを推進する部隊に所属。
OCP関連の新技術やプロダクトの検証、また、OSSを中心とした、
運用支援ツールの開発を行っている。

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