OculusとマイクロソフトがVRゲーム業界を征服するために手を組んだ
6月11日に行われたサンフランシスコのプレスイベントで、フェイスブック参加のOculus仮想現実(VR)部門が市場に進出するために、マイクロソフトとハードおよびソフトでパートナーシップを結んだと発表があった。
まずXbox OneのワイヤレスコントローラとPCアダプターがOculus Riftヘッドセットパッケージに同梱される。さらに、Riftは来年の上四半期にWindows10がリリースされれば、そこでネイティブ動作する。この事は開発者がXbox One専門のVRゲームを作るための環境を整えることになる可能性がある。
パートナーシップの詳細について
マイクロソフトのXbox部門のトップ、フィル・スペンサーはステージでパートナーシップについて、Windows10のサポートとXbox Oneのコントローラーが含まれることでゲーマーおよび開発者がどのような利益に預かることになるかについて説明した。
マイクロソフトでは、Windows10をゲーマーにとって素晴らしいOSにする事に注力している。Oculusとのパートナーシップにより、Windows10はOculus Riftのための最高のOSになり、世界中の開発者達が驚くべきVR体験を提供できる道を開くことになると信じている。
またスペンサーはXbox OneのゲームをWindows10が入っているPCやタブレットにストリームできる機能についても触れた。この機能はRiftでもサポートされることになる。ポイントは、Xbox OneのゲームをPCへのストリームを通じてRiftで実現される「バーチャルシネマ」上でプレイできるようになるという所だ。ゲーマーは目の前のバーチャルなTVスクリーン上でゲームを楽しむことができる。
残念なビジョンではある。人々が望んでいるのはゲームにVRがもたらされることであり、ゲームプレイの新しい鑑賞法ではない。
残念といえば残念だが、OculusのCEOブレンダン・イリベがいうように、バーチャルシアターでアバターを使ってXbox Oneのマルチプレイヤーゲームを楽しむことができるのはちょっとましな話かもしれない。
バーチャル以上にパートナーシップが持つ意味
バーチャルシアターに対する反応はパッとしないものだが、パートナーシップ自体は長期的にも短期的にも大きな意味を持つ。まず、RiftとXboxのコントローラが同梱されるということは、開発者にとってユーザーが持っている入力機器の標準が定まるということになる。ゲーマーはどんなコントローラーでも使うことができるだろうが、ゲーム製作者にとっては標準的な入力機器がどのようなものかは大きな影響を持つので、こういった標準化は開発者にとってありがたいものだ。
さらに両者間のパートナーシップは、Xbox OneそのものにVRゲームをもたらすことに繋がる。
ソニーはPS4向けにProject Morpheusヘッドセットを2016年前半にデビューさせるプランをもっているが、マイクロソフトがそれに対抗してXbox One用に自社のヘッドセットを出せるのかという事は、多くの人が考えていたことだ。スペンサーとイリベはこれに対して答えを出したと考えて良いかもしれない。
最後に、パートナーシップはPCゲームで最も影響力をもっているあるプレイヤーを追い出すことにも繋がる。Steamの事だ。
現在ValveのSteamはPCゲーム配信において支配的な立場にあるプラットフォームであり、HTCと共同で開発しているViveヘッドセットで更にその立場を強固なものにしようとしている。
しかしユーザーがOculus Homeにアクセスし、Rift上でゲームを探し、購入し、プレイする事を実現するOculusとマイクロソフトのパートナーシップは、Steamを叩き出そうとするだろう。
Oculus向けのマイクロソフトのWindows10のネイティブサポートが持つ意味とは、ソフトのインストールからデバイスの使用までは容易なものになるであろうということである。SteamもRiftをサポートするに違いないが、マイクロソフトとOculusはゲーマー達がSteamをよけて通るよう仕向ける事は確実な様に思える。
開発者も自分たちのゲームをアプリのハブであるOculus Homeに供給するようになるだろう。
今答えることができないが、開発者達が知りたいであろう問いとは、
Oculus Homeでゲームを販売することで、Steamと比べて利益は上がるのか?
VRゲームのみを扱うOculus Homeは、あらゆるタイプのゲームを扱うSteamよりソフトの販売拠点として優れたものになるのか?
マイクロソフトのHololensの立ち位置はどうなるのか?
来年の上四半期にRiftが発売されれば、詳しいことが分かるだろう。
やがてVRでの抗争が起こるのは間違いない。目が離せない。
画像提供:
写真:Adriana Lee for ReadWrite
Oculus Home画像:screencapped by Brian P. Rubin for ReadWrite
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。
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