コミュニケーションスキルを磨こう
もっとも汎用性の高いスキルは?
厚生労働省の調査結果で、企業が重視する能力の第1位がコミュニケーションスキルであることには、すでに触れましたが、これはコミュニケーションスキルがもっとも汎用性の高いスキルであることを示唆しています。
皆さんが一緒に仕事をするチームのメンバーを想定してください。専門性は非常に高いがコミュニケーションスキルに課題があり意思疎通が困難な人と、専門性という点では最低限のレベルしかないがコミュニケーションスキルは高くて仕事がやりやすい人では、どちらの方と一緒に仕事をしたいと思いますか?
確かに、ITエンジニア、特にプロマネのような仕事においては高度な専門性は求められます。しかしIT分野では専門性の変化が激しく、現段階で専門性が高くてもいつかは陳腐化していく可能性が高いという側面もあります。一方で、コミュニケーションスキルというものは汎用性が高く、どんな仕事をしていても必ず求められるものです。
それでも、コミュニケーションスキルを向上させるのは難しいという方がいるかもしれません。しかし、実はコミュニケーションスキルが高いと思われる人のコミュニケーション方法をよく観察すると、「あいさつをする」「相手の目を見て話す」「相手の話をよく聞く」「適度にうなずく」など、当たり前のことをしているだけなのです。
つまりコミュニケーションスキルが高い人というのは、コミュニケーションについて難しいスキルを持っている人というより、忙しさで忘れがちな当たり前のことをしっかりと実践している人なのです。
簡単にできるコミュニケーションのポイント
どうも最近、うまくコミュニケーションがとれない、自分はしっかりと指示を出しているはずなのに相手にはなかなか正確に伝わらない、という方も多いのではないでしょうか。
コミュニケーションを2つの要素に分けると、バーバル(verval=言葉での)なコミュニケーションとノンバーバルなコミュニケーションに分けられます。
うまくコミュニケーションがとれなかったり、自分の伝えたいことが正確に伝わらないという方の多くは、「相手に何を伝えるか」ということばかりに気を配りがちです。このように相手に「何を」話すかということがバーバルなコミュニケーションになります。
ところが、心理学の分野では自分が「何を」話すかというバーバルなコミュニケーションよりも、それを「どのように話すか」というノンバーバルなコミュニケーションの方が相手に伝わる割合は大きいとされています。
例えば、「おはよう」「ありがとう」「お疲れさま」というような短いメッセージであっても、それを相手にどのように伝えるによって相手が受ける印象は異なるのです。
忙しい中、相手の表情を確認しながら「おはよう」と言うのはなかなか難しいかもしれませんが、せっかく「おはよう」と言ったのに相手に聞こえなかったり、誰に言っているのかわからなかったり、今日の上司は機嫌が悪いのかもしれないというようなメッセージに受け取られてしまっては、よいコミュニケーションとは言えません。
身近な相手ほど、普段からどのように伝えるかということを意識することが、相手とうまくコミュニケーションをとり、指示を正確に伝える上において大切なことと言えます。