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【番外編】ITエンジニアにとってのデザイン

2016年10月21日(金)
伊藤 博臣(いとう・ひろおみ)

改めて考える“IT”と“デザイン”

本連載が開始してちょうど半年になりました。いい区切りの時期なので、今回は趣向を変えて“ITエンジニア”と“デザインスキル”について改めて考えてみたいと思います。

そこで著者の伊藤博臣さんをはじめ、本連載を提案したIT業界で働く三好氏(第1回に登場)にも参加してもらい、話を伺いました。

Think IT:この連載も開始して半年が経ちましたが、ITエンジニアの間での評判や反響はいかがでしょうか。ご自身や周辺で何か変化はありましたか?

根本的に考え方が変わった

三好:考え方そのものが大きく変わりました。ITエンジニアって、何かを伝えたい時にどうしても“言葉”だけに頼る傾向があるんだな、ということを改めて実感しました。

仕事柄“正確なコミュニケーション”が求められていて、例えばシステム開発で設計を進める時に、言葉以外の情報で勝手に判断することは“禁止事項”ですからね。いかに正確に言葉を交換し、文書化して設計に盛り込むかを考えるのが最優先されますから。

でも、それは企画提案や要件定義の時に“誤解や認識のズレ”を産まないためであって、何かを伝えたい時に“言葉”だけでいいというわけではなかったんだなと。メラビアンの法則は知っていたので“表情”や“態度”は意識するようにしていましたが、この半年はファッションをはじめとする“ビジュアル”も重要だと考えるようになりました。

伊藤:服装を意識するようになると、デザインスキルもアップしますからね。服装について考えるということは、自分の“見え方”や“見せ方”について考えていることに他なりません。ファッションが好きな人は、四六時中“デザイン”について考えていることになりますから。

三好:そうなんですよ。僕自身も人前で話す機会は多いのに、自分がどう見られているか? ってことは考えていませんでした。講義内容だけでいいかという意識でしたね。人前に出ることも少ない若手プログラマの時代なんかは、それこそ全く考えませんでした。とりあえずスーツを着ていればいいかって(笑)。講義は内容がよければ成立しますし、とりあえずスーツを着ていれば誰も何も言わないわけだから、問題意識すらありませんでした。でも、その弊害でデザインスキルが欠けてしまったんだなと。

そう考えたら、Think ITにお願いなんですが、「デザイン力を身に着けるためのファッション講座」なんかも連載してほしいなと。あるいは、このデザイン講座の【番外編】でも構わないので。そもそも、どこに服を買いに行けばいいかすらわからない(笑)。

Think IT:検討してみます(笑)。ところで、取材をしていると、いろいろなところで“(ITエンジニアには)今後ますますデザインスキルが重要になってくる”という話を耳にするのですが、その要因って何かあるんですか?

ITエンジニアにとってのデザインスキル

伊藤:情報システムの入力画面や問合せ画面、すなわちユーザインタフェースを設計する時には、当然デザインスキルが必要です。でも、それはデザインスキルの“難易度”や“習熟度”でいうと、それほど高度で専門的な知識は必要ないんです。本当に基本的な知識で十分。

だから逆に「そんなに勉強するものでもない」となっているんだと思います。三好さんの話じゃないけれど、とりあえずスーツを着ていれば誰も文句を言わないのと同様、入力項目の漏れがなければ成立してしまうんですよね。

三好:ITエンジニアは覚えないといけないことが多すぎて、とてもユーザインタフェースにまでは手が回りません。ただ、今はもう伊藤さんをはじめ、プロのデザイナーがユーザインタフェースを設計する時代ですから、デザインに差が出てきます。そう考えたら「基本的なデザインの知識でいい」ならば、それこそITエンジニアが勉強したほうが良いんですよね。

伊藤:僕はデザインの仕事もしていますが、最近は“企業のブランディング”も一緒に考えています。企業の経営戦略や商品の販売戦略を立案することもあります。マーケティングやコンサルテーションですね。デザイナーがデザインだけを考えていればいい時代は終わったのかもしれません。

デザイナーでもITのことを知らないといけないし、経営やマーケティングの知見も必要になる。それはITエンジニアでも同じだと思います。

お金をかけられる大企業だと役割分担ができるので、デザイナーはデザイナー、ITエンジニアはITエンジニアそれぞれの仕事に専門特化できます。でも日本は圧倒的に中小企業の方が多いので、ひとりで全部カバーしなくてはいけないケースも多いでしょう。1人1人が専門分野だけでなく、非専門分野も含めた多様なスキルを求められる時代なんだと思います。

三好:確かにそうですね。ITエンジニアとしてITはもちろんのこと、ストラテジ系の知識があって業務改善も提案できて、デザインスキルと表現力をベースにブランディングも提案できるなんて最高ですよね。僕自身はそうなりたいと強く思っています。お客さんから“ワンストップ”で頼られる存在になりたいですからね。

それに、僕は資格取得を強く推奨しているのですが、ITエンジニアにとっての資格取得は“知識の多さを示している”にすぎません。AIの進展によって、その部分の重要度は下がると思っています。でも、それを表現するのが自分である限り、デザインスキルや表現力の重要性は下がりません。それどころか、ますます重要視されてくると思っています。

個人としてもデザインスキルが必要な時代に!

三好:全く違う視点なのですが、今政府が行っている“働き方改革”によって、週休3日や副業の推奨が普通になってくると、ますますデザインスキルの重要性が増してくると思います。

Think IT:どうしてですか?

三好:簡単な話なんですよ。例えば副業がOKになれば正社員として働いている人も“就職活動”しますよね。しかもSNS全盛の今、それに備えて個人として情報発信することも検討していかないといけません。そうなると“セルフブランディング”と“表現力”が必要になってくるわけです。人を探したり評価したりするときに、その人のSNSやブログをチェックするのが普通になって、そこから選ばれていく時代ですからね。

そうなれば、勝負を分けるのは間違いなく個人の“表現力”の差です。その時に“言葉”や“文章”だけでなく“ビジュアル”も重要な要素になる。その根底にあるのがデザインスキルなので、デザインスキルが必要になる。そういう理屈です。

そういう視点も踏まえて、伊藤さんからはまだまだたくさんのことを学んでいこうと考えています。個人的には、楽しく学べて休日も楽しくなるファッション。私服のファッションについては絶対に勉強したいなと考えています。ぜひ、よろしくお願いします!

伊藤:ファッションですね。考えておきます! こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

さて、次回は前回の最後でお話しした通り、色の具体的な使い方を詳しく説明していきたいと思います。これからも、楽しみにしていてください!

Think IT:今日はどうもありがとうございました。

おわりに

今回は、連載開始から半年を経過した特別企画として、“IT”と“デザイン”の必要性について考えてみました。

今回のデザインのプロ伊藤さん、ITのプロ三好さんのお話は、本連載の根底となる重要な考え方です。ぜひ皆さんも今回の内容を踏まえて、これからの本連載を読み進めてみてください!

著者
伊藤 博臣(いとう・ひろおみ)

大阪芸術大学卒、大阪の制作プロダクションRECでグラフィックデザイナーとして勤務後、大手建材メーカー大建工業の広告宣伝部を経てフリーに。1997年広告機動隊を設立、広告・通販カタログ・ブランディングを中心にアートディレクターとしてクライアント企業の売上向上に努めている。

e-mail:h-ito@kidotai.com
URL:www.kidotai.com

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