新たな常識「地震は1週間前に予知できる」
いつか起こると言われ続けている首都直下型地震。地震を予知できればどれほど多くの命が助かるだろうか。だが、地震は予知できないのが常識だ――。ところが、この常識を覆すインターネットサービスがある。テンダが提供する「予知するアンテナ」だ。地震発生の1週間以内に会員へメールを送り、注意を促す。その的中率は約7割にも達するという。
首都直下型地震が30年以内に発生する確率は70%――。2014年4月に国の地震調査研究本部・地震調査委員会はこう発表した。また、国の中央防災会議・首都直下型地震対策ワーキンググループは2013年12月に最終報告を行った。同グループの想定によると、被害が最も深刻になるのは、冬の夕方に都心南部を震源とする地震が発生する場合だ。マグニチュードは7.3で、最大震度は7。首都圏全体で死者が2万3000人、全壊・消失する建物が61万棟、経済被害が95兆円に上るという。
一見、大きな被害に思えるが、「この想定は甘い」という声は少なくない。例えば、南海トラフ巨大地震の被害想定では、マグニチュード9.1で、死者は32万人、経済被害は220兆3000万円としている。それに比べると、首都直下型地震の被害想定は確かに低く見積もられたという印象は否めない。この点について異論はあるだろうが、いずれにせよ、首都直下型地震で大きな被害が生じることだけは間違いない。
いつ、どこで、どのくらいの規模の地震が起きるか約1週間前に予測
地震を予知できたら、首都直下型地震が発生しても被害を少なくすることが可能になる。だが、現在の科学では地震予知はできないというのが常識となっている。ところが、この常識に抗う人がいる。電気通信大学名誉教授で日本地震予知学会会長、早川地震電磁気研究所の代表取締役でもある早川正士氏だ。
早川氏によると、地震予知は時間ベースで長期予測(100年以上)と中期予測(数十年)、短期予知(数週間~1カ月)の3つに分類されるという。
「長期予測と中期予測に重きを置く地震学と異なり、地震予知学会は短期予知を対象としている。地震が起こる前に、いつ、どこで、どのくらいの規模(マグニチュード)の地震が起こるのかを研究しており、実際に数多くの地震を予知してきた」と早川氏は説明する。
早川氏の地震予知理論はこうだ。地震が迫ってくると、地圏(地下)、大気圏(地上)、電離圏(宇宙)に異常をきたす。地震が起こる前には、地殻にひび割れが起こる。このひびが電磁波を生み、大気圏を振動させて地球上空の電離圏まで作用する。そしてこれらがすべて、地震の起こる約1ヶ月前から起こるのだ。
地圏では地震の前に発生する電磁波(ULF/ELF)を直接受信し、地下での前兆現象をとらえる。大気圏と電離圏では、地上から送信される電波(VLF/HF/VHF)の異常を観測し、地上において宇宙での前兆現象をとらえる。各観測手法で得られた結果から、いつ、どこで、どのくらいの規模かといった地震の3要素を約1週間前に予測するのだ。「これまで、電離圏の観測に基づいて予知した地震のうち、65~70%が的中している」と早川氏は話す。
地震発生で生じる人的・物的被害を最小限に食い止められる
早川氏の地震予知理論を基にして誕生したのが、テンダが提供するインターネットサービス「予知するアンテナ」。これまで、VLF電波を用いた地震予知サービスはあったが、予知するアンテナでは、大地震を短期予知する可能性を持つと期待されているULF/ELF/HF/VHFといった電波を加え、各々の電波の特性を活かした複合観測をすることで、より精度の高い情報を地震が起こる約1週間前に取得することを可能にした。
複数の電波を用いた複合観測は、世界初のこととなる。これまでの地震予測では、異常が発生したときに、それが地震の前兆なのか、それとも太陽フレアや雷などの自然ノイズ、または人工ノイズの影響なのかの判断が難しい場合があった。そのため、空振りや見逃しといった地震予知の失敗につながることがあったのだ。
複合観測を行うことで、ある異常を様々な視点で確認できるため、その異常が地震の前兆現象かどうかを判断できるようになった。つまり、見逃しや空振りを少なくすることができるのだ。特に見逃しについては、地震発生により不意打ちを食らうことになるため、複合観測でその確率を下げられることは大きな進歩といえる。
会員には週2回、地震予測情報が送られてくる。マグニチュード5以上で震度が大きくなる地震が予知の対象となる。月額料金は税別500円。観測エリアは関東地方を中心とした1都13県で、今後、全国まで拡大していくという。
また、全国各地の災害情報や地震規模に合わせた防災グッズの紹介、防災・減災に役立つ情報なども提供される。会員は地震予測情報を得ることで、あらかじめ被災したときの準備ができる。そのため、外出時は地下鉄の利用を避けたり、燃えにくい服装で出かけたりするなどといったことが可能となる。地震発生で生じる人的・物的被害を最小限に食い止めることができるのだ。
自然現象を100%的中させることは困難である。それにもかかわらず、的中率が約7割にも達する早川氏の地震予知理論は、現時点で最も信頼の置ける研究成果といえよう。その理論を採用した予知するアンテナの会員になれば、地震に対する備えはより万全になるはずだ。
■予知するアンテナ
https://yochisuru-antenna.jp/
ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- 通信品質を確保するために必要なレシーバ評価
- IoT無線規格の動向―周波数帯別の特徴を理解しよう
- 英国ではIoT向けに新しい電波ライセンスを開放
- 米ソニー、空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」発表。27インチで裸眼立体視が可能
- HTCから新型VIVE Focusか、正体不明のヘッドセットが確認される
- ベイズの定理でプロジェクトの失敗を予測
- マイクロソフトの特許が公開、アイトラッキング搭載デバイスを開発中か
- トレンドマイクロのIoTマルウェア分類用ハッシュ関数「Trend Micro ELF Hash(telfhash)」が、マルウェアや不正サイトの検査サービス「VirusTotal」に採用
- オープンソースのデバッガ「GDB 8.3」リリース
- 震災で改めて考えるIT-BCP