BIツールを利用したシステム構築時のポイント
「ProActive E2」「Dr.Sum EA」連携機能の特長
ProActive E2の管理会計システムとBIツールのDr.Sum EAを連携させるために用意した、各種の機能の特長を紹介します。
(1)データ定義サンプルを標準提供
BIツールを利用した分析システムの構築時に必要となるデータ・キューブや、レポート設計の定義を、サンプルとして標準提供しています。サンプルによって、BIシステム構築時に発生する各種の作業負荷を省略できます。ProActive E2管理会計システムの導入後、早期にDr.Sum EAの機能を活用できます。
レポート設計にもサンプルを利用できます。カスタマイズも容易です。ニーズに合った抽出条件や集計軸の変更が可能です。初期サンプルとして、予算比較・予実推移・実績推移といったレポート・イメージを提供しています。
(2)過年度データや30種類の分析軸を用いたデータ分析
ProActive E2が保持する分析・集計用項目データを、Dr.Sum EAの分析軸として流用できます。データ分析時には、30種類以上の分析軸を利用できます。また、目的に応じて利用対象データを定義したり、データ抽出条件を設定したりすることが可能です。
また、時間経過による変化分析を可能にするため、会計期間の制約を無くしています。複数セグメントを用いたクロス集計や年度別の数字から月次損益までのドリルダウンによって、現在の経営状況を多面的にトレース可能です。
(3)分析結果から仕訳伝票明細を確認できる「ドリルスルー・リンク機能」
データ集計機能やドリルダウン機能だけでなく、各集計データの元となる各伝票明細情報をボタン1つで参照できるドリルスルー・リンク機能も、Dr.Sum EAのサンプル定義ファイルとして提供しています。イレギュラー値の原因となった元データを検索するといった確認・トレース作業を簡単に実施できます。
BIツールにおける利用イメージ
要求分析のポイントとして説明しましたが、経営層と現場利用者(ここではマネージャ)という立場の違いによって、BIツールに求めるニーズも異なります。
経営層は、意思決定の道具としてダッシュボードを求めています。チャートを活用してデータを可視化することで、「パッと見て」視覚的に判断できることが重要です。ダッシュボードの閲覧により、数字だけでは気が付かなかったデータの変化を直感的につかめるようになり、情報を論理的に分析できるようになります。
経営層が、ダッシュボードを見て、気になる売上データを発見したとします。ここで、経営層はマネージャに対して、その理由を問うでしょう。マネージャは、自らデータを調査することになりますが、この場合、BIツールを活用することで、効率よく素早く原因を特定・追究することができます。
マネージャは、売上データの確認のために、年度推移や詳細を調査しようとします。ここでもし、ERPパッケージだけを使って調べようとした場合、必要な切り口すべての画面照会や帳票印刷が必要になってしまいます(あるいは、ファイル出力後にExcel分析するなど、調査に時間を要することになります)。
一方、ERPパッケージの必要データをBIツールに取り込むと、対象年度の拡大による推移の把握が容易になります。分析軸を変えながら、多段階のドリルダウンで原因を追究できます。さらに、明細ドリルスルー機能によって特定取引を即時照会することで、原因の特定ができます。
「管理会計」という分野におけるBIシステムがユーザー企業の業務に果たす役割と、具体的なシステム構築について、2回にわたって解説してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?本連載が読者の方々のシステム導入検討時や、構築の際の一助になれば幸いです。