コネクション受付制御とは?
つながって当たり前、早くて当たり前のWeb
インターネットアクセス回線の広帯域化、低料金化、さらに携帯電話向けのコンテンツの充実などによりWebサイトにアクセスするユーザーは急激に増加している。
それらユーザーは、Webサイトに接続できることは当然のことと考え、さらに、迅速な応答も当たり前のことと考えている。以前は、リクエストを送信してから8秒以内に応答が得られないと、ユーザーはサイトの閲覧をやめてしまうという「8秒ルール」が有名であったが、現在はさらに短い時間での応答が求められている。つまり、ユーザーはWebサイトに対して、確実なコネクションの確立および高速な応答の双方を求めていることになる。
Webサイトに接続できることは当然であると考えると、高速な応答を得ることを重視することになるが、そのためにはWebサーバークラスタにおける並列処理効果やパケット通信網が有するパイプライン効果の特性を生かして、複数コネクションを確立し、並列ダウンロードを行えばよい。
現にユーザーが使用している多くのWebブラウザでは、複数コネクションによる並列ダウンロードをサポートしている。しかし、Webサイト側では高速な応答だけでなく、確実に接続できるサイトを目指す必要がある。
Webサーバーにおけるコネクション受付制御
まず、高速な応答を提供することのみに着目すると、Webサイトに接続できるコネクション数を制限することが考えられる(図3)。
Webサーバーは電話交換機のように、接続さえできればサービスが開始される即時式システムでなく、接続できても先にサービス中のリクエストがあった場合、サービスを受けられるまで待たされる待時式システムである。よって、コネクション数の上限を設定して「入場制限」を行う必要がある。
しかし、コネクション数の上限を設定するとコネクション棄却率が増加する可能性が高くなる。つまり、そのサイトに接続できないユーザー数が増加することになるのだ。このことは、電子商取引などにより収益を得ているサイトにとって大きな問題である。
次に、確実に接続できるサイトを構築しようとすると、ユーザーからのコネクション確立をすべて受け付けるようにすることが考えられる。しかし、待時式システムであるWebサーバーにおいて、コネクション確立要求を上限なく受け付けてしまうと、リクエスト数が増え、実際にサービスを受けている時間よりも待ち時間のほうが大きくなるリクエストが急増し、ユーザーに応答が返る時間が遅くなる。
ここまでで述べたように、接続してくる全ユーザーの要望に応えようとすると、応答時間とのトレードオフが存在する。よって、Webサイト側では、ユーザーが許容できる応答時間、Webサイトが許容できる棄却率を検討しコネクション受付制御を行う必要がある。
第2回では、Webサーバーにおけるコネクション受付制御用パラメータについて説明する。