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IoTで音波通信を実現するChirp(1)

2017年5月10日(水)
ReadWrite Japan

まるで冷戦時代に生まれたようなテクノロジーを披露するスタートアップ企業を目にすることはあまりない。QRコードやWiFi、BluetoothやNFCを必要とせず、音波を使ってデバイス間のデータ通信を行うテクノロジーはそういったもののひとつである。これはロンドン大学出身の科学者、音響技術者、エンジニアのグループ Chirpによって生みだされたものだ。

Chirpは音波のバーコードだ。データやコンテンツがオーディオストリームにエンコードされる。スピーカーが付いているデバイスであればなんでもChirpで信号を送信し、マイクが付いているデバイスであればなんでもそれをデコード出来る。 詳細を知るためにCEOのMoran Lernerに話を聞いた。

Lernerは次のように説明する:

「いくつかの分野で見られる問題点を解決するために、広範囲の研究の結果Chirpは生まれました。技術としては古いものですが、新しいテクノロジーを助けるものとして生き返らせました。データは、送信デバイス上で一連のピッチとトーンにエンコードされ、受信デバイスでデコードされます。音にデータをのせるこの方法を転調/復調と呼んでいます。これらのピッチとトーンは超音波、もしくは、ラジオ放送などの超音波周波数が動作しない場所や超音波周波数を送信できない場所では可聴領域の音波のいずれかになります。」

Chirp音波によるデータリンクを構成することで既存のネットワークインフラを拡張することができ、電波を発する機器の使用が禁止されている環境でも安全に使うことができる。これにより世界中のデバイスの10%のみで構成されているIoTエコシステムに、これまで構成要素ではなかった残りの90%が参入することができるようになる。これは通信業、金融サービス、IoT、エンターテイメント、放送、インタラクティブゲーム、ロボティクス、交通その他多くの分野における問題の解決に繋がる無限の可能性があることを意味している。この技術は90カ国以上の著名な企業で利用されている。

工業用ソリューションとして

最もイノベーティブなChirpの用途は工業環境にあるとLerner氏は説明する。

「顧客の中には原子力関係者もおり、原発内で使用できる電波の周波数は制限されています。法律上、中でWiFiやBluetooth、NFCを使うことは許されていません。我々の技術ではスピーカーとマイクをめぐらすことにより、古い建物であってもスマートファクトリーに仕立てることができるのです。またタブレットを持って飛行機内を歩き回り、リアルタイムでデータを集めれば、オペレーションコストは1日約100万ポンド削減できるでしょう」

こうした環境下では、個人の居場所のトラッキングやアクセスコントロール/認証、工場内設備からのデータ収集のためにChirpを使うことが出来る。これは、鉱業、農業、製薬工場など潜在的に爆発の可能性がある装置や材料・薬品を扱っている産業でも扱うことができる。

CATE LAWRENCE
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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