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IoTで音波通信を実現するChirp(2)

2017年5月12日(金)
ReadWrite Japan

他のソリューションとして

ほかの用途で言えば、インドのShuttlの券売・バス交通ソリューションや世界的大手のAmdocsによるモバイルウォレットとMNOソリューションがある。またActivision Blizzardが30億ドルを投資したSkylandersのフランチャイズ企業 Skylanders Imaginatorsでは、Chirpを使って音波でゲームのキャラクターと関連アプリのシェアを行なっている。コンソールを通さず、端末が完全にオフラインの状態でもシェア可能である。

Chirpはデバイスを自分たちのプラットフォームに素早く搭載出来るようにするため、Unified Inbox(UIB)と提携することを発表した。この提携により住居用や商用、あるいは政府が投入するIoTデバイスを簡単かつ手早く、安全にプラットフォームに搭載することができるようになる。UIBはIoTデバイスに自然言語によるコミュニケーション機能を提供する。人々はIoTデバイスとすでに利用しているチャンネルを使ってやり取りすることができ、プラットフォームに搭載するまでの過程をシンプルにできる。ChirpとUnificationエンジンの統合レイヤーは、エネルギーや公共交通、ヘルスケア、ゴミ下水管理、家電、コンシューマ電機などの業界でのスマートホーム、スマートエンタープライズ、スマートシティなど向けに容易に展開可能だ。

ニッチな技術の挑戦

Chirpは大学発祥の特定の分野に専門化した、成熟しつつあるニッチなIoT関連のテクノロジーのひとつだと、Lerner氏は説明する。

「これは非常に修得難易度の高い科学であり、そのなかで我々が前進できるのは学術分野で先進的な仕事ができるという強みがあるからです。我々自身が問題だと考えているもののひとつに、ソリューションを市場に送り出す際の倫理の問題があります。我々は市場のリーダーになるために、テクノロジーが持つ可能性を超えて大袈裟にお話しすることはありません。

私たちは自分たちができないことに対してオープンであり、正直です。ここ5年のIoTブームに伴う技術分野の大きな問題のひとつに、多くの企業が多額の資金を求めるがあまり、テクノロジーでできると主張している内容が不合理になっていることがあります。ある競合他社が超音波技術でできると主張していることは、物理法則を覆すようなものでした。我々はそういった企業とは距離を置きます。そのうえでこのことを発信し、誠実さをもって行動を起こしているのは、そのような不合理な主張をする会社が影響を与えるのは我々だけではないからです。彼らの行動は業界全体の信頼を失墜させるものなのです。」

多くの企業が学術機関に関わるようになってきている。というのも科学者や学術的な技術者はそもそも正直であり、まともな科学の範疇で仕事をするからだ。ただ単に人を連れてくるというだけでなく、信頼性ももたらすことになり、テクノロジーの開発は本物の科学に根ざしたものになる。

「正しいことはベンチャー投資家にプレゼンしたところで、気に入られるとは限らず、彼らが科学でできると期待しているものでもないかも知れません。だが少なくともそれはできると吹聴しては失敗するようなものではなく、問題の本当の解決に繋がるものです」

ここ10年で爆発的なテクノロジーの成長を目にしてきたが、Chirpのようなソリューションに焦点を絞ったテクノロジーが実際どのように使われるのか興味深いものである。

CATE LAWRENCE
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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