iPhoneアプリとデータベースサーバの連携

2010年5月17日(月)
新居 雅行

スキーマとPHPによる“API化”

Webサーバー側のプログラムは、「plantrental.php」というプログラム1つにすべてをまとめてあります。 もちろん、これをPHPでの処理が可能なWebサーバーが公開しているディレクトリのどこかに配置します。 また製品写真がある「plant images」フォルダもplantrental.phpと同じフォルダで、Webサーバー経由で参照できるようにします。

プログラムは、plant rentalクラスとして定義してあります。クラスの最初の変数に、状況によって変わりそうなデータソース名や ユーザー名などをまとめておいたので、これらを状況に応じて設定してください。なお、プログラムはPDOを使っています。 エラー処理は省略気味で書かれています。

前のページで紹介したスキーマで作成するテーブルと、それらを利用するAPIのパラメータを図2-1に記述します。 例えば、レンタル商品の一覧を得るには、「http://ホスト名/plantrental.php?mode=lentinglist」というURLで取得できます。

スキーマは3つのマスターと予約状況を管理するbookingテーブルという極めてシンプルなものです。 bookingテーブルについては予約スケジュールの追加を行うAPIのdobookingと、現在の予約状況を得るbookinglistの2つを用意しています。 dobookingはレコード の追加を行いますが、ほかにさまざまなパラメータを指定する必要があります。

それらの形式等はプログラムを参照してください。bookinglistは単にテーブルの内容を返すだけでなく、必要なリレーションを取って、 表示に都合の良いデータに組み替えています。いわばビューの結果を得るという感じですが、ビューを定義するのではなく、 PHPのプログラムでSQL文を構成しています。

さらに、予約のない日程をレコードして追加しています。実は当初、その処理をiPhone側でさせようとしたのですが、 フレームワークの日付処理が独特なので、素直にプログラミングできるPHP側でその処理を加えることにしました。

サーバーをXMLで応答させる理由

結果的にこのサンプルでは、GETメソッドだけを使っています。データ量がさほど多くはないということで、GETでも十分に対処できるでしょう。 通信のセキュリティを気にするのなら、SSLを使えばいいわけです。

ただ、アプリケーションによってはPOSTを使いたいかもしれません。iPhone OSでは、GETはごく簡単に送信できますが、 POSTについては、やや大変です。単に1発でいけるわけではなく、ある程度のデータ処理をした結果を引数に渡さないといけないので、 手軽さを考えればなるべくGETで処理を組み立ててしまいたくなります。

結果は適当な文字列で得るのが手軽かと思うかもしれませんが、XMLで応答すれば、データの内容にかかわりなく、 サーバーからクライアントにデータが確実に伝達されることになります。

また、正しいXMLデータを作るために、文字列でXMLを作るのではなく、DOM関連のクラスを使ってXMLを生成しています。 plantrental.phpの最後の方のechoByXMLメソッドがその部分で、これらはどのAPIからもこの共通のメソッドを使ってXML出力をしています。

PDOから得られたクエリー等の結果は、1レコードはフィールド名をキーとした連想配列で得られるようにしています。 従って、連想配列のキーと値を分離 することで汎用的にフィールドのデータにアクセス可能です。そして1フィールドは、 「データフィールド 名>」といったタグ付けによる要素に展開し、 それらが連続したものをrecordタグで囲って1レコードに対応した要素を作ります。それらをさらにまとめて、 rootタグでドキュメントのルート要素を構成しています。テーブル形式で得られる結果をXMLに展開した場合はこのように大変シンプルな結果になります。

なお、XMLなのでDTDないしはスキーマが必要ではないかという議論もあるかと思いますが、 データベースのテーブルと連動させる場合にはそこまでやらないと見つけられないエラーはめったにないと思います。 入力時に基本的な値のチェックをするのであれば、XML自体の検証は組み込んでも活躍する場面はほとんどないのではないかと考えます。 もちろん、厳密さや検証時のエラー検知に意味があるのなら組み込むべきです。

Webサーバーから取り出すときのHTTPヘッダのContent-Typeの応答についてですが、iPhone OSの通信およびXML解析部分は ヘッダがどうあろうと解析は問題なくできます。ただし、デバッグ時にFireFoxで見たときの表示が気持ち悪いので1行だけのことですからヘッダ出力は追加してあります。

フリーランスのトレーナー、コンサルタント、プログラマー、ライター。MacやiPhoneを中心としたトレーニング、FileMaker、 Access、MySQLを軸にしたWeb系の開発などが主な業務。iPhoneアプリ「郵便番号検索」を開発し、App Store開設初日に掲載される。Apple認定トレーナー、Apple認定システムアドミニストレータ、Microsoft認定トレーナー、 FileMaker認定デベロッパー。著書に「iPhoneアプリケーションプログラミング」など。京都工芸繊維大学大学院修了。

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