ユーザーの生産性を高めるWindows Phone

2010年5月19日(水)
石川大路

ネットワーク・セキュリティとモバイル・アプリ開発

ネットワーク・セキュリティも充実している。SSLなどの規格への対応は当然ながら、 VPNサーバーもIPSec/L2TPやPPTPをサポートし企業内ネットワークへの接続が可能となっており、 前述のSystem Center Mobile Device Managerを利用すると、モバイルVPNでセキュアに企業内ネットワークへアクセスすることもできる。

⇒ System Center Mobile Device Managerの詳細に関しては こちらを参照

年間の携帯電話紛失数は都内だけでも数万台にも及ぶといわれ、企業側にとっても、 モバイル端末の中の機密データ、個人情報の取り扱いには慎重さが求められている。 Windows Phoneであれば、標準で前述のようなセキュリティ機能を装備しており、 これにサードパーティの製品を組み合わせることで、さらにきめ細やかなニーズに対応することも可能だ。

加えて指摘したいのは、Windows Phoneのアプリケーション開発環境だ。 マイクロソフトは以前からPC向けにVisual Studioを統合開発環境として提供し、 VB/VC#/VC++といった開発言語を推奨しているが、同じツールと言語を使って、 Windows phone向けのアプリケーション開発を行うことができる。

開発者は既存の知識を有効活用してモバイル向けのアプリケーション開発ができるため、 企業内に開発者を抱え開発している企業などは、既存の人材を活用してモバイル開発を行うことが可能となる。 これはスキルの習得という点で有利なだけでなく、アプリケーションの既存の資産を有効に活用する意味でも重要となる。 マイクロソフトは.NET Frameworkという開発プラットフォームを提供し、マルチデバイス間での開発を簡易化している。

モバイル・ネットワークという特性や画面サイズまたCPUの処理能力などを考慮していく必要があるものの、 Windows Phone向けにはPC向けのFrameworkのサブセットとして.NET Compact Frameworkを提供しており、 この環境下ではコーディングのロジックも大きな変更なく(場合によってはそのまま)Windows phone向けのアプリに移植することが可能だ。

⇒ .NETについてはこちらを参照

「仕事とアソビをつなぐケータイ」

すでに企業内にてPC向けに独自業務アプリケーションを展開している企業にとっては、 業務上の連携に加え、コスト面でのメリットも見逃せないポイントだ。

詳細な企業導入事例は第3回で記述するが、アプリケーションのインストールや セキュリティポリシーを一括して管理できるサーバー製品も提供しており、企業利用もスムーズにできる環境が整っている。

企業内利用には生産性の向上や万全のセキュリティを提供し、アプリを追加すればゲームやコンテンツといったコンシューマ利用まで、 多くのユーザーに対応できる「仕事とアソビをつなぐケータイ」、それがWindows Phoneの目指すスマートフォンだ。

1997年マイクロソフト入社、法人向けセールスエンジニアを経て、2000年より新規ビジネスとしてマイクロソフトのモバイルビジネス立ち上げを行う。その後、マイクロソフトのモバイルまた組み込みビジネス関連の製品を担当し、現在ではWindows phoneのコンシューマー向けプロダクトマーケティングを担当。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています