安価に無停止を実現する方法

2008年9月29日(月)
松崎 展晃

無停止サーバー+VMware

 ハードウエア方式を実現する方法として、「無停止型」サーバーを利用する方法があります。代表的なものはftServerです。

 ftServerではロックステップ・テクノロジーの採用により、ディスクや電源はもちろん、CPU、メモリ、チップセット、そのほかマザーボード上のチップに至るまで、どこが壊れても連続稼働できる製品です。また2008年1月よりVMware ESXサーバーをサポートしているため、VMware ESXサーバーにもっとも高い信頼性を提供できるプラットホームといえます。

 ftServerとVMwareの組み合わせは、高い信頼性対策が求められるサービスを提供する企業に採用されています。例えばデータセンターでASPのプラットホームとして利用されています。

 また、複数台のVMware ESXを組み合わせ、規模の大きいリソースプールを構築しているシステムにも無停止型のサーバーは有効です。

 一般的に、企業内のサーバーでは全体の10%~20%はミッションクリティカルなサーバーであるといわれています。仮に100台の仮想サーバーがリソースプール上で稼働している場合、10~20台の仮想サーバーに信頼性対策が必要であるといえるでしょう。これらの仮想サーバーを、VMware VMotion テクノロジーなどによってftServer上に移動すれば、大幅な信頼性の向上が期待できます。

信頼性の高さとコストの比較

 「ダウンしてもいいサーバーなんて無い」、これには誰も異論は無いことと思います。ただ、そこに投資できるコストは限られることが多く、それ故に信頼性レベルを犠牲にしている場合もしばしば見受けられます。

 ミドルレンジのシステムや、工場および店舗などのシステムが万一停止してしまった場合、業務や売り上げに著しく影響するにも関わらず、専門のIT技術者が配置されていないといったケースも少なくありません。

 無停止型サーバーをプラットホームとして利用すれば、容易に高い信頼性を確保できますが、無停止型サーバーも以前と比較すれば格段に安価になったとはいえ、ftServerでVMwareの環境を構築する際はある程度の予算が必要になります。よって、すべてのシステムに利用できるかといえばその限りではないでしょう。

 これに対してAvanceなどのソフトウエアによる方法は無停止型ではありませんが、多くのシステム障害からシステムを保護することができます。Avanceでは、ftServerと同じように単一システムのようにシンプルな運用ができます。信頼性レベルは、99.999%以上の稼働率を保持する無停止サーバーには届きませんが、ミッションクリティカルなシステムに求められる稼働率は十分満たしているといえるでしょう。

 Avanceは無停止サーバーに比べて低価格で高信頼性仮想化インフラを構築することができる上、ライブマイグレーションやHAの機能を標準で実装しており、CITRIX XenServerも同梱(どうこん)されているため、追加でオプション部品などを購入する必要もありません。

 さらにAvanceでは、仮想化インフラも提供できますので、新しいシステムを追加する際も新たに物理サーバーの配置をする必要は無いため、投資コストを抑えながらも安定したインフラ構築が可能です(図3)。

 さて、4回にわたってハードウエアを中心に仮想化ソリューションの動向を紹介してきました。今後、仮想化ソリューションの導入にあたっての参考になれば幸いです。

日本ストラタステクノロジー株式会社
営業本部 マーケティング部長。2005年7月に日本ストラタステクノロジーに入社。国内コンピュータベンダーへのOEM、アライアンスおよびサーバー製品の共同開発の担当を経て、2007年3月より現職に従事。http://www.stratus.co.jp/

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