安価に無停止を実現する方法

2008年9月29日(月)
松崎 展晃

ライブマイグレーション機能

 ソフトウエアによる信頼性向上策としては、HAクラスタソフトウエアがあります。この方法は、運用系と待機系の2つのサーバーを用意し、サーバーの運用状況を監視し、運用系のシステムに障害が発生すると、待機系のシステムに移行(フェールオーバ)させてサービスを継続する方式です。

 製品としては、オープンソースも含めさまざま存在します。本記事では、仮想化プラットホームであるCITRIX XenServerをベースに開発された高信頼性ソフトウエア「Stratus Avanceソフトウエア(以下、Avance)」を紹介します。

 Avanceは、2台の一般的なIAサーバー上で稼働させるソフトウエアで、ライブマイグレーション機能により、無停止型に近い信頼性を提供します。ライブマイグレーションとは、実行中の仮想サーバーを、別のIAサーバーに無停止で移行させる技術です。また、ソフトウエアであるため、ハードウエアよりも安価に導入することが可能です。

 次にAvanceの大きな特徴をあげます。

 1つ目は、標準技術を多く取り入れることによって、汎用性が高いことです。一般的なIAサーバー2台を使用して構築できますし、CITRIX XenServer上で利用できる仮想サーバーに対応しています。

 2つ目が、柔軟な信頼性機能があることです。ほとんどのハードウエア障害において仮想サーバーの連続稼働が可能な上、ハードウエア監視機能とライブマイグレーション機能を連動させることで、「壊れそう」の予兆を検知し、壊れる前に安全なプラットホーム上へ自動的に移動させることができます。

 3つ目が安価に構築可能なことです。共有ディスクが不要ですし、管理用のサーバーも不要です。つまりサーバー2台とAvanceだけで構築することができます。なお、CITRIX XenServerはもちろん、ライブマイグレーションやHA機能もすべて標準で実装しています。

 この中でも、もっとも特徴的な機能は、2つ目で紹介したライブマイグレーションと連動するハードウエア監視機能になりますが、このほかにも仮想化の信頼性向上に役立つさまざまなポイントがあります。

ハードウエア監視機能

 前述したように、ハードウエア監視機能によってAvanceは多くの部品の「壊れそう」という予兆を検知し、もう一方の安全なサーバー上へ仮想サーバーをライブマイグレーションすることができます。もちろん、この間も仮想サーバーは動作を継続しますので、停止することはありません。

 Avanceでは、無停止型サーバーが持つ優れた特質を受け継ぎ、使いやすく設計されています。またAvanceは2台のIAサーバーで動作しますが、Avanceがこれを隠ぺいし、あたかもシングルシステムのように容易に管理することができるのも特徴です。そのほかのポイントについては、図2を確認してください。

 今回紹介したライブマイグレーション機能やハードウエア監視機能は仮想化の信頼性向上のために必要な技術になっていくでしょう。次にハードウエア方式の具体例を見ていきましょう。

日本ストラタステクノロジー株式会社
営業本部 マーケティング部長。2005年7月に日本ストラタステクノロジーに入社。国内コンピュータベンダーへのOEM、アライアンスおよびサーバー製品の共同開発の担当を経て、2007年3月より現職に従事。http://www.stratus.co.jp/

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