andLinuxとは?

2008年9月2日(火)
小場 久雄

andLinuxの特徴

 andLinuxとは、コアとしてcoLinux、XサーバとしてXming(http://www.straightrunning.com/XmingNotes/)、サウンドサーバとしてPulseAudio(http://www.pulseaudio.org/)をベースとした、Windows上で動作する完全なUbuntu Linux(http://www.ubuntu.com/)システムです(ただし、入出力など一部機能はWindowsに依存しています)。したがって、Ubuntu Linuxで動作するアプリケーションは基本的にそのままandLinux上でも動作するはずです。なお、記事執筆時点(2008年8月現在)のandLinuxの最新安定版はβ1です。

 andLinuxはもともと、Dynamismという会社が販売していたGP2XというハンドヘルドPC用に開発されていましたが、今や普通のWindows PC上で利用する人の方がずっと多くなりました。

 andLinuxの特徴としては、何といってもWindowsと一体化したUbuntu Linux環境を得ることができることです。Linuxの各Xアプリケーションが、X(XFCE(http://www.xfce.org/)やKDE(http://www.kde.org/))のデスクトップではなく、いわゆるルートレスモードでWindowsのデスクトップ上で直接動作します。LinuxとWindowsアプリケーション間でカット&ペーストも可能です。

 動作環境は、以下の通りです。

・OS:Windows 2000/XP/2003/Vista(現在は32bit版のみ)
・メモリ:最小128MB(192MB以上推奨)
・ディスク:2.5GB(XFCE版)/4.5GB(KDE版)

 メモリはWindows自体が動作する分も当然ながら別途必要です。特にVistaの場合は1GB以上あった方が無難だと思います。また、インストールされるディスクイメージが2GB以上のため、ファイルシステムはNTFSである必要がありますが、上記のOSをわざわざFAT(32)で利用している人はほとんどいないと思いますので、この点はあまり心配いらないでしょう。

 ほかには、apt-getなどでアプリケーションを追加インストールするのに十分なネットワーク環境や、言うまでもないことですが、少々のLinux/UNIXに関する知識があれば、より有効活用しやすいでしょう。

coLinuxとの違い

 では、andLinuxはベースとなっているcoLinuxと何が違うのでしょうか。

 簡単に言うと、coLinuxはWindows上で動作するようにパッチを当てたLinux kernelのことです。しかし、kernelだけではもちろん何もできませんから、通常は何らかのLinuxディストリビューションとセットで利用します。

 基本的にはどんなLinuxディストリビューションでも動くはずですが、coLinuxを実際に動かすためには、あらかじめcoLinux版として用意されているディストリビューションを利用するか、あるいはそのディストリビューションのcoLinux版を自力で作成しなければなりません。自力で作成するためには、コンソールでのコマンド操作やcoLinuxのXML設定ファイルの編集など、それなりのスキルが必要となります。

 andLinuxは、前述したように、UbuntuのcoLinux版と言っても良いかもしれません。うまくパッケージングされているので、Windowsで一般的なインストーラを起動するだけでXも含めた完全なUbuntu環境が簡単にインストールできます。

 次ページでは、Windows上でLinux環境を構築する各種方法とandLinuxとの違いについて説明します。

GMOホスティング & セキュリティ株式会社
シェアードホスティング開発1部所属。学生あるいは教員として通算15年の大学生活では、UI関連研究やIT関連技術教育などに従事。その後、開発現場へ転じ、複数の職場で、電話交換機用Javaミドルウエアの実装やIP電話CTIシステムの基礎開発などに携わった。現職では自社の次期ホスティングシステムの開発にかかわっている。http://www.gmo-hs.com

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