ESXiって何だ?
VMware ESX ≒ VMware ESXi?
もはや、x86サーバー仮想化ソフトウエアの代名詞となり、多くの本番環境でも利用されるようになった「VMware ESX」(以下、ESX)ですが、その進化系とも言えるべき「VMware ESXi」(以下、ESXi)が、2008年7月より無償提供されることになりました。
現在、VMwareのWebサイトからもダウンロードできます。
本連載では、この無償提供されることになったESXiに焦点を当てその特徴や利用方法を解説していきます。
まずは、ESXiの位置づけから説明します。しばしば、ESXiはフルセットのESXよりも機能が少なく、非力であるという意見を聞きます。しかし、これは大きな間違いです。
ESXiの基本機能はすべてESXと同じです。肝心なハイパーバイザ部分のアーキテクチャも同じコードで構成されています。
これまでも、2005年12月に「VMware Player」が無償公開されましたし、また2006年2月にサーバー製品としてリリースされた「VMware GSX Server」(現:VMware Server)を無償提供するという発表がありました。しかし、両製品ともにホストOS(WindowsやLinuxなど)にインストールされるタイプの仮想化ソフトウエアであり、ハードウエアの性能を100%引き出せるものではありませんでした。
一方で、ESXはホストOSを必要とせず、直接ハードウエアにインストールして動作させる完全なるハイパーバイザです。多くの本番環境でも利用されている実績からもわかる通り、その性能も折り紙つきですし、より多くの仮想マシンを同時実行させる特殊機能などが実装されています。
もちろん、今回無償化されたESXiも同じです。
サーバーに組み込み出荷されるESXi
ESXiは、ESXからサーバー仮想化を実現するコア部分と必要最小限の外部インターフェース部分からなるシンプルな構成になっています。その容量は、なんと32MBという驚くべきコンパクトさです。
そのため、各サーバーメーカーは、OEM供給されたESXiをあらかじめ自社サーバーのフラッシュROMに組み込み出荷することもできるようになり、まるでBIOSに仮想化機能が付いたような感覚で利用できます。もはや、サーバー仮想化が当たり前のようにハードウエアの機能として利用できるようになるのです。
ただし、サーバーメーカーより組み込まれて供給されるESXiは、厳密に言うとEmbedded Editionと呼ばれており、今回無償化されたinstallable Editionとは別物という扱いになります。よって価格については各サーバーメーカーに委ねられています。
両Editionは、提供される方法が違うだけでVMware社から提供される中身は全くの同一製品です。しかしEmbedded Editionには、各サーバーメーカーのハードウエアを監視するためのAgentなどもあらかじめ組み込まれ、最適化された状態で出荷されるため、どうしても多少の費用がかかるようですが、十分安い価格で提供されています。
以上のように、ESXiは今後のサーバ仮想化の提供方法に対して革新的な提案をしているものであり、多くの本番環境で利用されているESXのまさに進化系であることがおわかりいただけるでしょう。
次ページでは、ESXとESXiの違いについて解説していきます。