OSSで脱サラ起業 国産Webデータベース「プリザンター」が目指す脱Excelの世界
過日のイベント「“Microsoft + OSS” Meetup」で行われたLT大会で、筆者がひときわ注目したプロダクトがある。脱Excel、脱メールを謳う業務ツール「プリザンター」だ。大手SIerに20年近く勤務していた内田氏は、日々運用現場で感じていた課題を解決するために業務外の時間で独りもくもくと開発を進めていたという。そしてプリザンターをコアに独立して会社を起こした。開発元であるインプリム社の内田氏と森井氏に詳しく話を聞いた。
ーーさっそくですがプリザンターについて教えてください
プリザンターは、ノンプログラミングで業務アプリが作成できる「Webデータベース」というカテゴリの製品になります。オンプレ版のkintoneと考えていただくと分かりやすいかもしれません。.NET Framework 4.5が動作するWindows系のシステムをベースにしていて、オンプレ環境のほかAzureのインスタンス上(Azure Web Appsなど)でも構築できます。
私は前職でプロジェクトマネージャーとしてIT運用の改善プロジェクトに携わっていました。運用の現場は定量/定性、フロー/ストック問わず数多くのデータを抱えていて、それらを管理するために多くの人手が介在している状況です。そこで、情報共有のプロセスを軽量化していきたいと考えました。会議のための準備を減らしたり、印刷をなくしたり、そもそも会議時間を減らすといったことをツールで実現できないかと。そこで2014年の夏頃から、まずは自身の課題を解決するためにプライベートで開発を進めてきました。
もともと個人で始めたプロジェクトということもあり、ビジネスとしてではなく"大きな組織の情報共有を変えたい"という思いからスタートしています。開発から1年後に社内(当時勤務していた富士通エフサス)で実績をつくり、それをもって2年後に独立しました。
ーーOSS化の背景や狙いはどんなところでしょうか
ソフトウェア開発はオープンソースが主流になっていたので、特にOSS化への迷いはありませんでした。OSSで無料で公開することで、まずはより多くの人に使ってもらえると考えたからです。また、自分たちでもコードに手を入れられそうだという感触を持ってくれたお客さまもいて、OSSであること自体が競合製品との差別化にも繋がっています。
なお、お客さまの要望で個別にカスタマイズした機能であっても原則的にOSSに組み込んで公開する、というスタンスを取っています。その場合の著作権もわれわれ(インプリム社)にあります。個別拡張はバージョンアップにも影響してくるので、できる限りアップストリームにマージしていくのが望ましいです。
変な話ですが、われわれは設立間もない企業でまだ知名度が低く、それを不安に思ったお客さまに「万が一会社が潰れてもソースは公開されているので開発を継続できる」と口説いたこともありましたね(笑)。
ーー現状のユーザーや利用用途についてお聞かせください
大小さまざまな利用者がいて、利用用途もさまざまです。業務利用を想定しているツールですが、会社ごとに管理項目が異なるので、利用用途は業種業態で変わってきます。ノンプログラミングで情報共有の仕組みを汎用化でき、スピード持って開発できる点が支持されています。
導入に際しては、われわれのWebサイトに直接問い合わせが届くこともあれば、中小企業診断士やITコーディネーター経由で導入されるケースもあります。クラウド型のサービスが増えつつある中でオンプレでも使えることは特徴の1つで、実際に8割はオンプレの案件で活用されています。特に金融や医療のお客さまから「オンプレで使いたい」「ノーツの移行先としても使いたい」といった声を多くいただいています。
ーー今後のビジョンについてお聞かせください
Salesforceやkintoneなどと比較検討されるようなOSSを目指していきたいですね。プログラミングなしで短時間で業務アプリを作成することで、企業の情報共有の常識を変えていきたいと思います。将来的には、各企業が作成したテンプレートを売り買いできるマーケットプレイスなども構想しています。
また、技術的な話では、.NET Coreがオープンソース化されLinux環境にも対応したので、プリザンターもLinux環境でも動くように目指していきたいと考えています。
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