Mac+Windowsの使い勝手を比較!

2008年9月18日(木)
masuidrive

WindowsとOS Xの統合

 通常仮想マシンといえば、ウインドーの中で別のOSが起動するというものでした。1つのウインドーが、1つの仮想マシンとして対応しています。

 しかし、今回紹介している3つの仮想化アプリケーションでは、このように1つのウインドーにWindowsを押し込めるのではなく、ホストOSとなるOS Xにとけ込むような機能を持っています。

 WindowsとOS Xをシームレスに使う機能は主に3つあります。

・デスクトップを共有
・ディスクを共有
・異なるOS間でのドラッグアンドドロップ

 1つ目の「デスクトップを共有」から見ていきましょう。標準のままでは、仮想マシンにインストールされたWindowsは1つのウインドーの中で動いており、ホストOSとは明確に分かれています。

 しかし、各仮想化アプリケーションに搭載されている、デスクトップの共有機能を使うことで、仮想マシンの中のアプリケーションが、OS Xと同じデスクトップの上で動かすことができます(図3上)。

 また図3下の例では、Windows上のInternet Explorerと、OS XのSafariが並んで表示されています。Expose(OS Xの機能で開いているウインドーを並べて表示したり一覧表示したりする機能)を実行した場合でも、WindowsのアプリケーションとOS Xのアプリケーションが同じように並んで表示されます。

 このような機能を、コヒーレンス(Parallels)、ユニティ(VMWare)、シームレスモード(VirtualBox)と呼びます。この場合、OS XのDockにWindowsで実行しているアプリケーションも表示されます。

 デスクトップ以外に、各仮想化アプリケーションでは、OS XとWindows間のクリップボード共有も行われており、WindowsのInternet Explorerから、OS XのSafariにURLをコピーすることができます。

 2つ目の「ディスクの共有」機能によって、どの仮想化マシンもWindowsとOS Xの間でそれぞれのディスクを読み書きすることができます。

 Parallelsでは、仮想マシン上のWindowsのディスクは、OS Xの外付けディスクと同じように認識されます。これによりOS X側からWindowsのファイルに、ローカルディスクと同じようにアクセスできます。逆にWindowsからOS Xのディスクを見たい場合には、ネットワークディスクとしてアクセスすることが可能です。これは実際にはネットワークを経由しているわけではないので、OS Xのシステム環境設定で共有をOFFにしていても利用することができます。

 VMWareとVirtual Boxでは、WindowsからOS XのディスクはParallelsと同じようにネットワークディスクに見えますが、OS X側からWindowsのディスクをマウントする方法は用意されていないようです。

 3つ目の「異なるOS間でのドラッグアンドドロップ」については、ParallelsとVMWareでは、WindowsとOS Xの間で対応しています。しかし残念ながら、Virtual Boxでは、ドラッグアンドドロップに対応していません。

 これらの仮想化アプリケーションでは、ウインドー表示をさせている時であれば、OS Xのファイルをデスクトップにドロップすることで、手軽にOS Xのファイルをコピーすることができます。

 Parallelsでは、ドラッグアンドドロップによるファイルのコピーのみ対応ですが、VMWareでは、アプリケーションへのドラッグアンドドロップも対応しており、WindowsのファイルをOS Xのプレビューにドロップして開くことができます。

 どの仮想化アプリケーションもWindows向けには専用のサポートアプリケーションをリリースし、WindowsとOS Xの積極的な統合を図ろうとしています。先ほど上げたもの以外にも、プリンターやUSBポートをWindows側から使う機能も用意されています。メモリが十分にある環境では、かなりシームレスに使うことができる環境が整っています。

どれが一番使いやすいか

 実際に仮想化アプリケーションを導入する上で悩むのは、どのアプリケーションがよいかということです。

 しかしWindowsを使っていると、その違いを感じることはほとんど無いと思います。どのアプリケーションも無料で試すことができるので、実際に試してみて、選んでみてもよいでしょう。

 ほかにWindows PCを持っている場合は、そのPCとも仮想マシンのファイルが交換できることから、VMwareを選ぶと便利でしょう。

 Virtual Boxは、グラフィックの性能がほかに比べて劣ることや、ドラッグアンドドロップをサポートしないことから、常にWindowsを起動して積極的に同居させるのであれば、ちょっと役不足といえます。

 では、Windows以外のOSを仮想化アプリケーションで動かそうとした場合、どのようになるでしょうか。それにお答えするべく、次回はLinuxなどほかのOSを仮想マシンで動かしてみます。

PukiWikiなどのオープンソース活動を経て、2005年からRuby on Railsに的を絞り、WEB2.0社 PingKingやニフティ アバウトミーの開発に関わる。これまでのフリー活動から転身し、2007年は1年だけ会社員として働いた後、起業のため渡米。2008年4月にBig Canvas Inc.設立。現在、米ベルビュー在住。http://bigcanvasinc.com/http://blog.masuidrive.jp/

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