VMware ViewでOS/アプリの運用負荷を軽減
VMware Viewは、クライアント環境、つまりパソコンに代表されるデスクトップをクラウド化するためのフレームワークとして位置づけられる。個々のデスクトップは、「仮想デスクトップ」と呼ばれ、クラウド上の1要素として扱われる。
仮想デスクトップ環境では、従来の物理パソコンでシステムを運用した場合と比べて、「ユーザーの利便性を向上し、システム運用コストを削減するための仕組み」を散見することができる。それでは、それらの仕組みについて、いくつか例を挙げて確認していこう。
自分専用の書斎、それが仮想デスクトップ
「仮想デスクトップ」を別な言葉で表現する場合、どこからでもアクセスできる自分専用の書斎という表現が最適である。「自分なりに使いやすい書斎」に関して、言葉で表現できなくとも、個々人ごとにそのイメージは明確化されているのではないだろうか。自分好みの配置にツールやデータを設置し、必要に応じて都度レイアウトを変更する。そんなワーク・スタイルがあってこそ効率的に仕事ができるのではないだろうか。
一般的なデスクトップ環境では、常に自身のパソコンを持ち歩かない限り、上記のようなワーク・スタイルの実現は困難である。
まずはその理由を見てみよう。図1の左側を見てほしい。従来のデスクトップ環境では、端末デバイス、つまりパソコンやモバイル端末のそれぞれにOS、データ、各種設定情報、アプリケーションが従属する形でひも付いている。故に、ユーザーは自分自身で、そのデバイスに合わせて環境を整える必要がある。無論、使用するデバイスが多ければ多い程、これらの環境を整理する工数も増える。また、同じデータをそれぞれのデバイスで使いたければ、なんらかの方法で共有する、もしくは端末デバイス間で複製する必要がある。これは思いのほか面倒なことである。
図1: ユーザーがすべての中心 |
仮想デスクトップ環境の場合、上述の手間は半減し、ユーザーは設定工数を最小化できる。図2に示すように、使用する端末に依存することなく、自分専用のデスクトップにアクセスすることができる。これで、自宅では自宅のパソコンから、出張先ではモバイル端末から、自分専用の書斎にアクセスすることが可能となる。
ここでポイントとなるのは、アクセスするための端末デバイスを、幅広い選択肢から選ぶことができるということだ。仮想デスクトップだからといって、選択肢が大きく制限されることはない。WindowsでもMacでもLinuxでもかまわない(注: Mac、Linux用は、GNU LGPLに基づくプロジェクトとしてバイナリが提供されている)。モバイル端末であれば、iPhone、iPad、Android(注: Android用は近日対応予定)が使える。
オフィス配置用端末として、壊れにくさを重要視したいのであれば、シンクライアントを、さらには脆弱(ぜいじゃく)性の心配が極小といわれるゼロ・クライアントを選ぶこともできる。ゼロ・クライアントであれば、汎用OSを一切使っていないため、端末固有のパッチの管理や、ウイルス対策ソフトのパターン・ファイル更新なども不要となる。このように、ユーザーは用途に応じて適切な端末デバイスを選択し、いつでも自分専用の環境にアクセスすることができる。
図2: 自分専用の環境がどこからでも使える |
さらに、飛行機の中など、ネットワーク通信ができない環境下において自分の仮想デスクトップを使うための仕組みである「ローカル・モード」もある。場合によって、臨機応変に使い分ければよい。