連載 [第68回] :
  週刊VRウォッチ

普及と利活用が進んだ2017年のVRを振り返る

2018年1月8日(月)
Mogura VR
本記事はVR専門メディア「Mogura VR」から提供されているもので、国内外のVR関連情報をいち早く、正しく、分かりやすくお伝えします。本記事はVR専門メディア「Mogura VR」から提供されているもので、国内外のVR関連情報をいち早く、正しく、分かりやすくお伝えします。

新年あけましておめでとうございます。本年も週刊VRウォッチをよろしくお願いします。2018年最初の週刊VRウォッチは、昨年2017年のVR/AR/MRに関連するトピックを振り返っていきたいと思います。

価格改定により、VRヘッドセットがより身近に

2016年にOculus Rift、HTC Vive、PlayStation VRといったハイエンドVRヘッドセットが登場し、「VR元年」と呼ばれる年となりました。その後、2017年末時点ではOculus RiftとHTC Viveは各々100万台近くが出荷されたと推定され、PlayStation VRも2017年12月に全世界で200万台が出荷されたと発表されています。

2017年中に各ヘッドセットの値下げやセールが何度も実施されたことが、この伸びを後押ししたと言えるでしょう。現在では、Oculus Riftが5万円、HTC Viveは8万4,110円、PlayStation VRは4万4,980円(PlayStation Camera同梱版)と、以前より購入しやすくなりました(価格はいずれも税込み)。

関連記事:
PSVR、世界累計実売200万台突破 ソフトはのべ1,220万本販売
http://www.moguravr.com/psvr-2million/
PSVR値下げ PlayStation Camera同梱版が44,980円に
http://www.moguravr.com/psvr-4/
Oculus Rift、定価5万円へ値下げ 商用利用可なビジネス版も登場
http://www.moguravr.com/oculus-connect-4-4/
HTC Viveが価格改定 2万円超値下げで税込84,110円に
http://www.moguravr.com/htc-vive-4/

新たに登場したVRヘッドセットたち

2017年には新しいVRヘッドセットが登場しました。Microsoftが展開するWindows Mixed Reality対応のPC向けヘッドセットです。2016年ごろから開発中であることが発表されていましたが、製品版は2017年秋から年末にかけて発売となりました。センサーなどの外部装置なしでポジショントラッキング等を実現しており、セットアップの容易さや比較的低スペックなPCでも対応できることから、VR普及の一助となることが期待されています。

そのほか、2017年中に出荷とはいきませんでしたが、中国メーカーPimaxによる、8K/広視野角のハイエンド向けVRヘッドセット「Pimax 8K」も記憶に新しいのではないでしょうか。「Pimax 8K」は2017年9月~11月に行われたクラウドファンディングにて、4,236,618ドル(約4.8億円)を調達しています。これにより、「Pimax 8K」の調達額はOculus Riftが2012年に集めた240万ドル(約2億7,000万円)を超え、クラウドファンディングで最も資金を調達したVRヘッドセットとなりました。

関連記事:
マイクロソフト「Windows MR(MRヘッドセット)」徹底解説
http://www.moguravr.com/microsoft-mr-headset/
8K広視野角VRデバイスのPimax、1500万ドル調達完了
http://www.moguravr.com/pimax-8k-7/

進化する360度カメラ

ハードウェアの面では、VRと関わりの深い360度カメラも取り上げるべきでしょう。中国のInsta360は、8K解像度で3D撮影が可能なプロ用の「Insta360 Pro」や、360度動画から通常の動画を作る機能などを搭載した「Insta360 ONE」を発売するなど、プロ向け・コンシューマ向けともに360度カメラの技術進歩が大きく進みました。

関連記事:
Insta360 Pro、ファームウェアアップデートで12K撮影可能など大幅な性能アップを実現
http://www.moguravr.com/insta360-pro-3/

ARKit、ARCore……モバイルARの台頭

AR分野でも大きな話題がありました。通常のスマートフォンのカメラを使って、簡易的にARを現実に馴染ませるプラットフォームの登場です。

アップルはiOS 11に「ARKit」と呼ばれる機能を、グーグルはAndroid向けに「AR Core」を展開しました。これにより、2018年はより簡易的なARを用いた分野の発展が予想されます。

関連記事:
iPhoneの新AR機能「ARKit」とは?すぐに試せるアプリも紹介
http://www.moguravr.com/iphone-arkit/
スマホAR時代の幕開けか グーグルも今冬にAndroidにARを展開
http://www.moguravr.com/arcore-announcement/

1億円売り上げたVRソフト、人気IPを駆使したVRソフトなど、ソフトウェアも話題に

2017年、VRはソフトウェアの方面でも大きな話題を集めました。「Job Simulator」や「Raw Data」といったタイトルは1億円以上の売り上げを達成しているほか、「Fallout 4 VR」など、世界的に有名なゲームに関連したVRゲームも登場しました。また国内でも「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」や「傷物語VR」など、人気のIPを用いたVRデモが配信され、ソフトウェアの充実を感じさせるような年となりました。

関連記事:
【PSVRレビュー】『FGO VR』 VRでマシュに会える!隠しキャラも!?
http://www.moguravr.com/fgo-vr-review/

ロケーションベースVR分野の盛り上がり

ここまで紹介した内容は、主にハードウェアやVR向けソフトウェアなど、「VRを楽しめるハードウェアを持っている人」を対象とした内容でした。しかし、そのようなハードウェアを持っていない人でもVRを楽しむことができるコンテンツも、大きな盛り上がりを見せました。それがロケーションベースVRです。

ロケーションベースVRとは、施設で体験するタイプのVRコンテンツのことを指します。バンダイナムコエンターテインメント、アドアーズ、セガ、タイトー、カプコンなどのアーケードゲーム事業者が、相次いで運営店舗でのVR体験の導入を進めました。

また、ハウステンボスやユニバーサル・スタジオ・ジャパン、としまえんなどのテーマパークも、アトラクションとしてVRを活用。より身近なものとしては、ネットカフェでのVR体験サービスも普及が進みました。

関連記事:
VR体験施設『VR ZONE』12月より全国19店舗オープン
http://www.moguravr.com/vr-zone-portal-2/

業務分野での導入も活発に

2017年は、VRやAR、MRの業務への導入事例が増えた年となりました。KDDIがJR西日本にサービス提供を行った紀勢本線用の南海トラフ地震対処シミュレーションなどの防災用途、不動産の物件をVRで内見することができるナーブの「VR内見」といった不動産用途など、その活用範囲は多岐にわたります。

関連記事:
南海トラフ地震をVR体験 KDDIがサービス提供開始、JR西日本が利用へ
http://www.moguravr.com/kisei-line-nankai-trough-earthquake-experience/

コンテンツや活用の充実が見られた2017年

冒頭にも記した通り、2016年はOculus Rift、HTC Vive、PlayStation VRなど、多数のVRヘッドセットが大々的に登場し話題を集めました。一方で2017年はVRヘッドセットに関しての大きな話題はやや少なめで、全体的に「あまりパッとしない年だった」という印象があるかもしれません。

しかし、2017年はVRヘッドセットの普及、人気IPを用いたVRコンテンツの登場、気軽に遊べるロケーションベースVRの広まりなど「よりVRを体験しやすくなった年」となったように思われます。また業務における利用事例なども複数登場し、様々な場所でVRを体験できる、あるいは活用する場面が増えてきた年だったと言えるでしょう。これらを踏まえた2018年がどのような年になるのか、週刊VRウォッチで引き続きチェックしていきたいと思います。

VR専門メディア「Mogura VR」は、VRに関する国内外の情報を早く、正しく、わかりやすくお伝えします。「PlayStation VR」「Oculus Rift」などの最新情報から専門家インタビュー、ゲームやアプリのレビュー、初心者ガイドまで幅広く扱っています。

連載バックナンバー

VR/ARニュース
第382回

Meta Questに「寝そべりモード」追加/標準規格「OpenXR」がアップデートで機能統合や強化を実施

2024/4/22
本記事はVR専門メディア「Mogura VR」から提供されているもので、国内外のVR関連情報をいち早く、正しく、分かりやすくお伝えします。
VR/ARニュース
第381回

軽量小型VR「Bigscreen Beyond」都内で体験会/Unreal EngineがAppleの「Vision Pro」に対応

2024/4/15
本記事はVR専門メディア「Mogura VR」から提供されているもので、国内外のVR関連情報をいち早く、正しく、分かりやすくお伝えします。
VR/ARニュース
第380回

初代「Oculus Quest」のアプリサポートが2024年4月末に終了/Apple「Vision Pro」の「Persona」に新機能

2024/4/8
本記事はVR専門メディア「Mogura VR」から提供されているもので、国内外のVR関連情報をいち早く、正しく、分かりやすくお伝えします。

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています