クラウドネイティブの真髄であるサーバーレスがキーノートに登場
The Linux Foundationが開催した「Open Source Leadership Summit」では、人工知能などのようにすでにブームが来ているテクノロジー以外にも、これから注目すべきトピックを取り上げたセッションもあった。それは「サーバーレス」に関するものだ。
クラウドネイティブなシステムには、急激なアクセスの増加に対応できるといった特徴がある。そのシステムを仮想マシンのサーバーをベースとして行うのではなく、クラウドの中でファンクションをコールするような簡単さで実現しようというのがサーバーレスの発想だ。
今回紹介するのは文字通り、Serverless, inc.の創業者&CEOであるAusten Collins氏によるプレゼンテーションだ。タイトルは「Serverless State of Union」。現状のサーバーレスに関する状況を俯瞰する内容だ。
AWSのコミュニティヒーローにも選ばれているCollins氏は、早くからサーバーレスに注目していて、AWSのサーバーレスであるLambdaを初期の段階から利用していたアーリーアダプターと言っていいだろう。
まずサーバーレスは、「素早く実行できる」「革新的」「オーバーヘッドの削減」「コストの削減」が可能なソリューションであり、過去から続く問題を解決できるものして紹介した。
メインフレームの写真を使ったスライドでは「本当に自分でインフラストラクチャーを運用したいのですか?」と問うた。ここではモダンな自動化されたデータセンターではなく、IBMのメインフレームを素材として使うことで、自社で巨大なコンピュータインフラストラクチャーを運用することの非効率さを強調したと言える。
またLambdaのユーザーから自社のサーバーレスフレームワークの提供に至ったという背景から、2014年に初めてAWSのサーバーレスであるLambdaが登場した時を振り返って、「マイクロサービス」「実行した分だけ課金」「オートスケーリング」「管理工数の少なさ」などを挙げた。
そこから、自身が創業したServerlessの特徴の紹介に移る。ここでは、アプリケーションフレームワークであることと、そして何よりもオープンソースで開発が進んでいることを強調した。
そしてAWS以外にもサーバーレスが拡がっているとして、Azure Functions、Google Cloud Functionsなどを簡単に紹介し、その後、オープンソースの実装であるKubelessやFn、そしてIBMが推進するOpenWhiskなども取り上げた。
ServerlessのHPには、DockerやTerraform、さらにPaaSのパイオニアであるHerokuとの比較なども公開されているので参照されたい。
Comparisons: Serverless vs. other tools
また派生したプロジェクトとして「CloudEvents」というプロジェクトが立ち上がっていることを紹介。
ここから、コンテナによるアプリケーションのパッケージ化とサーバーレスは機能が重なり合っていること、SaaSは複層化していることなどを挙げ、未だ発展途上にあるサーバーレスが既存のプラットフォームとオーバーラップしていることを認めた上で、「サーバーレスがこれからあらゆるプラットフォームで実行できるようになるだろう」と予測した。
さらに乱立するプロジェクトに関しても、ベンダーロックインを避け、管理を委ねるのではなく自身で制御可能なものを選ぶこと、そしてサーバーレスの効果として掲げた「素早く開発と実行が可能なこと」と「オーバーヘッドを減らすこと」を両立できるプラットフォームを選ぶことの重要性を強調した。
そしてインフラストラクチャーやプラットフォームに注目するのではなく、あくまでもユースケースとそこから得られる結果に注目して選択を行うべきと提言して、プレゼンテーションを終えた。
Open Source Leadership Summitという場所を勘案して、自社のプロジェクトを全面に出すことは抑えたプレゼンテーションだったが、後半のコンテナやPaaSとのオーバーラップなどに関しては、今後Cloud Foundryのサミットなどでも議論されていくトピックであろう。まだ始まったばかりのサーバーレスだが、今後の動向に注目していきたい。
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