OpenStack Days Tokyo 2018開催 ユースケースから見える最新のインフラとクラウドネィティブコンピューティングとは?
OpenStack Days Tokyo 2018 実行委員会が主催する「OpenStack Days Tokyo 2018」が2018年8月2日、3日の2日間、都内にて開催される。イベントの見どころやプライベートクラウドのインフラストラクチャーとしては定番となったOpenStackの状況、そして今回併催される「Cloud Native Days Tokyo 2018」のテーマなどについて、日本OpenStackユーザ会の会長である水野伸太郎氏(NTTソフトウェアイノベーションセンタ)とイベントの実行委員会、委員長の長谷川章博氏(AXLBIT)に話をきいた。末尾に読者限定のプロモーションコードの案内もあるのでお見逃しなく。
ーーOpenStack Days Tokyoが開催されますが、今回の見どころはどこでしょう?
長谷川:イベントの構成上のポイントは製品やテクノロジーのカットではなくユースケースカットにしたところです。人工知能とディープラーニング、エッジコンピューティングとNFV、DevOpsとPaaS、コンテナという大きな柱を作ってそれに従ってセッションを構成しています。ですのでインフラストラクチャーとしてのOpenStackに限定せずに多様なシステムの使い方に関する情報を提供できると思います。それがCloud Native Daysと併催した理由でもあります。OpenStackのコンポーネントに関する技術的な情報ではなく、ソフトウェアをどうやって組み合わせて問題を解決するのか? という方向に向かっています。
水野:そういう意味ではOpenStackに関してはそれ自体を議論する、解説するのではなく実質的にどうやって使うのか? という内容に移ってきたと言えます。なのでHype、流行の段階は終わって本当に使う人と作る人が集まってきている段階になったと思います。真剣にクラウドネイティブなシステムを作ろうと思ってる人には参考になるイベントです。
ーーエッジコンピューティングに関してはバンクーバーのサミットでもセッションが多数ありましたが。
水野:エッジコンピューティングは誰が語るかによって実はだいぶ違うんですよね。ローコスト、ローパワーのデバイスから車載システム、そして通信事業者の地域局舎のシステムまで幅が広い。なのでOpenStack Foundationにとっても議論になっているトピックで、何年か前のサミットではエッジの定義だけで議論が沸騰して1日過ぎちゃったというエピソードもありまして(笑)。その反省を受けて今回はOpenStack Foundationがホワイトペーパーを作りました。
ーーAT&TとSK telecomが始めたAkrainoに関しても話題になっています。あれはエッジと言ってももう少し大きなシステムという位置付けで良いんでしょうか?
水野:そうですね。AT&Tに言わせると全米に1,000以上ある局舎において動かすためのシステム、従来のデータセンターという巨大なコンピュータシステムではなくてもう少し小さな規模のクラウドという感じですね。Verizonが顧客向けに提供している「Cloud in a Box」とは少し違う位置付けだと思います。その辺の情報も提供できると思います。
ーーバンクーバーのサミットではAirshipとStarlingXという新しいプロジェクトも発表になりました。これに関しては?
水野:AT&Tが自社で使っているエッジ向けソフトウェアのデプロイの仕組みをシステム化したスタックを公開したのがAirshipですね。それとは別にIntelの持つWind River SystemsのTitanium Cloudをオープンソース化したのがStarlingXですが、その2つを組み合わせてAkrainoが構成されているという理解です。AkrainoについてはAT&Tと韓国のSK telecomが協力しています。
Airship/StarlingXとAkrainoについてはOpenStackとOPNFVの関係に近くて、実際にコードが開発されているのがOpenStack、それを組み合わせて構成しているのがOPFNV、それと同じようにエッジ側のコンポーネントとしてAirshipとStarlingXがそれぞれ開発されていて、それを上手く構成したのがAkrainoという位置付けです。なのでコンポーネントそのものではなくてどうやって組み合わせるのか? という方向にこれも向かっていると思います。その辺もトピックとして取り上げる予定です。
ーーCI/CDについてはOpenStack SummitだけではなくCloud Native Computing Foundationの主催するKubeCon + CloudNativeConでも話題になっていました。今回のOpenStack Days Tokyoでもその辺りについての解説は?
水野:CI/CDについては、OpenStackの開発にも使われているZuulというツールがあります。これは多数のコンポーネントが絡む開発プロセスにおいてCI/CDを自動化するGatingシステムで既にOpenStackで数年の実績のあるシステムなんです。それがOpenStackだけではなく他のシステムでも使えるように独立したプロジェクトとなりました。これは特に複数の組織やプロジェクトが絡むシステム開発を行っている人たちには参考になるのではないかと思います。
長谷川:クラウドコンピューティングといっても単に仮想マシンやコンテナを使うだけではダメで、開発から運用まで素早く自動化しないと意味が無いんですよね。だからCI/CDは非常に重要だと思います。
水野:先ほどのAirshipもStarlingXもOpenStack Foundationでホスティングされていて、AkrainoはLinux Foundationでホスティングされているんですが、その理由はAirshipもStarlingXもOpenStackのツール、ZuulによるCI/CDの環境を使いたかったんじゃないかなと思っています。それぐらいOpenStackの開発のベースとなっているものですので、色々なソフトウェアの依存関係があるようなプロジェクトで使えると思います。これは注目していきたいと思っています。
長谷川:最近は全く新しいソフトウェアをゼロから作るのではなくて、ある物を如何に使うか? という方向になってきているように思えます。OpenStack FoundationだけではなくCloud Native Computing Foundationのプロジェクトについても同じようなことが起こっている気がします。なので今回のイベントでのユースケースにはぜひ注目して欲しいです。
ーー今回はセッションだけではなくトレーニングも同日開催するということですが。
長谷川:今回は日本マイクロソフト、レッドハット、富士通、ミランティス・ジャパンからハンズオントレーニングを提供していただきます。単にセッションを聴くだけではなくクラウドネイティブなシステムを構成するKubernetesやAnsible、Cloud Foundryなどについても追加費用なしで受講できます。インフラストラクチャーだけではなくアプリケーション開発や運用までの実際に使いながら体験することができるので、この機会にぜひ。
ーー人工知能についても注目のセッションは?
長谷川:GoogleのTensorFlowの解説とユースケースもありますし、NTTドコモのAIエージェントに関するセッションやRettyの画像解析のセッションも参考になると思います。
今回は長谷川、水野両氏によるOpenStack Days Tokyoのポイントを語ってもらったが、単にソフトウェアの技術的解説だけではなく、どうやって使うのか? に焦点を当てたセッション構成は、自社での応用を模索するエンジニアや技術にはそれほど詳しくなくてもビジネスを刷新したいビジネスオーナーにとって参考になるだろう。詳細は以下のホームページを参照されたい。
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