ついに文科省が動いた!学校でプログラミング授業が始まる

2018年8月30日(木)
谷藤 賢一

プログラミング必修化って何?

2020年、小学校でプログラミングの授業が始まります。その影響か分かりませんが、都内のプログラミング教室はオープン後すぐに埋まってしまうとか。

なんてことを言うと、「え!? そうなんですか?」
と、今でも聞き返されます。知らない方、多いんですね。
「え? 学校で始まるの? でもイベントかなんかでしょ?」
違います、必修化です。
「え……うちの子、大丈夫かしら……」
そんな次々に湧き上がる心配を払拭するには、まずはパパママが「知ること」です。

「パパママも、プログラミングができなきゃいけないの?」
いいえ、そういうことではありません。日本で、世界で何が起こっているのか、まず知ることです。世界で大きな変動が起ころうとしています。それが「第四次産業革命」です。もう始まっています。AIとか人工知能とかのニュース、増えてきましたよね。それです。

なぜ今、プログラミングなのか

「でも、うちには関係ないから」
いやいや、残念ながら大いに関係あります。特にお子さんです。今の子どもが大人になるころは第四次産業革命の真っ只中でしょう。暗記中心の受験対策では将来乗り切れない時代がやってきたのです。プログラミング授業必修化はその対策の1つです。なんとなく昭和・平成の常識ではダメなこと、薄々でも分かっていただけましたか?
「いや~、まだよく分からないです……」
だからこの連載なのです。できるだけ分かり易く説明していきます。

きっかけは、2013年のオバマ大統領(当時)の発言と言われています。ただ、その前の年に日本ではすでにプログラミングを技術・家庭科に取り入れようという動きがあったのです。将来的にITエンジニアの人材不足が深刻化すると見られているなど、いろいろ理由があるのですが、真剣に議論されるようになったのは2013年前後です。古くは80年代にもあったんですけどね。

今50代の方であれば、学校で「BASIC」をやった経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。また、40代の方であれば、タートルグラフィック言語「LOGO」でお絵描きしたことがある、という方もいますよね。あの頃と大きく違うのは、「試み」的な感じではなく、国をあげて本気で動いているということです。

昭和型の教育・社会はもはや限界

だから、プログラミングは必修科目なんです。これまでの詰め込み教育ではイエスマンは育成できても、新しいことを生み出すイノベーターは育ちません。それどころか潰されていきます。
「またまた、そんな大げさな……」
大げさでしょうか。あなたも社内会議とかで経験ないですか? 提案をしたら速攻で潰された経験。あれです。イノベーションはイエスマンによって潰されていくのです。

それでも良かった時代が終わってしまった今、イノベーターの育成が急務です。イノベーターには論理的思考が必須。それも、できれば子どものうちから。そこでプログラミングです。文科省の文書を読み込んでいくと、決して子どもの頃からITエンジニアを育成しようということではなく、「将来どんな仕事に就こうとも……」という文言が何回も出てきます。

本当の意味は「論理的思考」の習得

プログラマを目指し、小中学校から本格的なプログラミングを勉強しておこう」ということではないのです。プログラマという職種は数ある仕事の中のほんの1つに過ぎず、子どものころからみんなで目指すものではないからです。私は、この文科省の考え方に賛成です。

プログラミングの基本的要素の1つに「条件分岐」という命令がありますよね。文科省は「条件分岐については中学に回しても良い」と言っているのです。人工知能のいちばん元にあるのが条件分岐で、基本的に条件分岐を使わないプログラミングはあり得ません。この点を見ても、決して国がITエンジニアを育成しようとしているのではないことが読み取れます。

一方で、「どんな職種にも必要な論理的思考が、子どものうちからプログラミングをやることによって本当に身に付くのか?」という本質的な問題がありますが、それについては、本連載のどこかで触れていきたいと思います。

注目すべきなのは、あれほど縦割りガチガチだった省庁が、横断的に連携して動いていることなのです。

プログラミングスクール「子ども社会塾」塾長。株式会社C60代表取締役。1981年よりプログラミングに親しみ、大学時代の1987年からシステム開発の仕事に従事。以後、技術と営業を中心に大手、ベンチャー、外資系など12社を経験し2009年に独立。

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