連載 [第2回] :
  Red Hat OpenShiftの全貌

Red Hatが提供するトレーニングの紹介

2018年11月29日(木)
松橋 治
連載2回目となる今回は、Red Hatが提供するトレーニングのうち、OpenShiftに関するものを紹介いたします。

1. Red Hatが提供するトレーニングの紹介

最近、皆さんは何かを積極的に学んでいますか? 仕事、趣味、何でも良いです。自分から学ぶと決めた何かはありますでしょうか? 恐らく何かと忙しいと、自分から進んで学ぶことは難しいのではないでしょうか? 一方で好きなこと、楽しいこと、何らかの目標があれば、時間を割いて夢中で育んでいることも多いのではないでしょうか?

昨今では、「ラーニング」と「トレーニング」の違いを明確にし、学んでいく姿勢を明確にする自己研鑽が主流となっております(ラーニングとは一人前に育てるのを目的とするのに対し、トレーニングは練習や鍛錬を目的とします)。とはいえ、自己研鑽が難しいということは皆さんがご承知だと思います。そして同時に、とても重要なことでもあります。自己研鑽の難しいところは、学ぶと思うキッカケです。それには目的やゴール、納得が必要不可欠になります。

我々が提供する学びには、ラーニングとトレーニング、どちらの要素もある点をお伝えできればと思っております。

今回、OpenShiftを扱うにあたって、レッドハットが提供できるラーニングの種類は大きく4つあります。

図1. レッドハットの提供する4種類のラーニング

図1. レッドハットの提供する4種類のラーニング

この中でも、eラーニングのRed Hat Learning Subscription Standardが持つラーニング・パスに焦点をあてたいと思います。

2. eラーニングと、ラーニング・パスの価値

eラーニングは、今年度から日本語化されたマニュアルも大幅に増え、新しいコースも追加されたこともあり、人気を集めています。それは、自分のタイミングで、いつでもどこでも触れられるという大きな魅力を備えているからです。例えば通勤時間にスマートフォンでコンテンツに触れたり、またオンラインビデオを視聴したりできます。また好きな場所でタイミングの良い時間、学びたいコースの受講を選べて、かつ深く育むことができます。これが一番の魅力となっています。実際、それを裏付けるかのように、eラーニングの売り上げに関して日本はアジアでNo.1の実績を達成しています。

さらにeラーニングに付属されているラボと、ラーニング・パスの存在があります。ラーニング・パスとは、自分が成りたい目標への道しるべを指します。

例えば、今回のOpenShiftに関しての資格取得者として育てる場合には以下のようになります。

図2. OpenShiftに関する資格の関係

図2. OpenShiftに関する資格の関係

上記のラーニング・パスでは、OpenShiftのコース・試験が繋がっています。例えば、DO180にはChapterが8つあり、その中でコンテンツやオンラインビデオ、クイズなどを読み、聞きながら知識教養を深めていただき、付属のLabの環境にて数々の実習を行うことで実施している内容を知り、実際に構築し、失敗し、考え、達成することができます。

その後は、Red Hatのオフィスにて、オンライン試験を受けることが可能です。試験は従来の試験から最新の試験まで受けることが可能で、オンライン試験でOpenShift AdministrationとOpenShift Application Developmentの資格取得を目指すことができます。

以下に、OpenShiftが関係する5つのコース名と1つの試験の概要を記載しました。

・DO180:Introduction to Containers, Kubernetes, and Red Hat OpenShift

Kubernetesクラスタに展開するためのDockerコンテナの構築及び管理方法を紹介しています。Docker、Kubernetes、Red Hat OpenShift Container Platformの実践的な体験を通して、コンテナの管理に関するコアの知識とスキルを学習します。

・DO280:OpenShift Enterprise Administration

OpenShiftブローカーおよびOpenShiftノードホストをデプロイ、設定、監視、および保守する方法と、OpenShift Container Platformクラウド環境でアプリケーションをデプロイおよび管理する方法を学習します。

・DO288:Red Hat OpenShift Development I

コンテナ化されたソフトウェア・アプリケーションをOpenShiftクラスタで設計、ビルド、デプロイする方法について取り上げます。コンテナネイティブ・アプリケーションを作成する場合や、既存のアプリケーションを移行する場合を想定し、OpenShift Container Platformを利用して開発者の生産性を高める技術を学び、実技形式で学習します。

・DO290R:OpenShift Enterprise Development(eラーニングのみで提供中)

アジャイルソフトウェア開発手法、テスト駆動型開発、継続的インテグレーションなどを通じてDevOps環境について学習し、さらにクラウド環境での標準的な運用環境について学習します。

・DO380R:Red Hat OpenShift Administration II: High Availability(eラーニングのみで提供中)

OpenShiftで高可用性の複数のアプリケーションを実行する能力を提供する堅固なクラスタの構築や、ロードバランサ、ID管理、監視、プロキシ、ストレージなどを含むデータセンターインフラストラクチャ関連の必要な技術を学習します。

・EX280:Red Hat認定スペシャリスト試験 -OpenShift Administration-(EX280)

OpenShiftを使用して、クラウド・アプリケーション・プラットフォームを作成、設定、管理する知識、スキル、能力をテストします。

これらは通常の一連の流れのようにも見えますが、それぞれがコース・試験であり自分が学びたいものを選んで進むことも可能です。どうすれば良いかを導くのがラーニング・パスですが、ラーニング・パスをヒントに自分でコースを選択可能なことももう一つの魅力です。

このように、eラーニングの持つツールとしての内容は、ラーニング・パスが本稿執筆時点で21種類、試験が30種類以上、コースが50種類以上、そしてコンテンツに至っては1,000点以上にもなります。ラーニング・パスを使って受講・試験を決めるのも良いですし、自分が受けたいコース、試験を選んで好きな知識だけ学ぶこともできます。

ラーニング・パスを取り組むに当たっての思考、前提条件は非常にシンプルです。「ラーニングで何を得られるのか?」「何を得たいのか?」「どうなりたいのか?」「どうしたいのか?」「なぜ、時間とコストをかけるのか?」これらの問いに対して、ゴールまでの道筋を見ることで、自分の行動がわかり、かつ重要なステップであることの示唆する一つのツールとして認識ができると思います。

これら、人気のDevOpsやAnsibleのラーニング・パスをeラーニングとクラスルームを合わせて実施する場合や一社研修にて学び、その後eラーニングにて自分の知識とする形など、企業によって様々な組み合わせが行われております。

図3. トレーニングの組み合わせの一例

図3. トレーニングの組み合わせの一例

上記は新人研修などで多く用いられるRed Hat Enterprise Linuxに関する一般的な受講スケジュールです。他の資格を取得していても、技術、知識のバラツキがあると思います、それらを底上げし前提条件として運用をするにあたり必要な最低限のレベルとして受講させ、実技試験を含めクリアしているのが一般的な状況です。

会社のシステムや運用を扱う者として、知るべきことは多くあります。しかし、投資と時間はかけることが重要であり、昔とは違い社員を育てることが会社を成長させる第一歩です。とりあえず教育に使う費用はコストであり、投資ではありません。優先的なプロジェクトを円滑に進めるにも、基礎はしっかりと固めることをお勧め致します。

3.ラーニングのビジネス価値

第三者の調査によると、Red Hatでは実践的なトレーニングと知識の共有により、コアのIT運用の有効性と効率性の向上を図れると評価されています。また調査データではインフラストラクチャ管理の効率が20%向上し、トレーニングの適用によってIT環境の信頼性と堅牢性が向上し、計画外ダウンタイムを71%減少でき、ヘルプデスクの対応は36%効率化されるという評価を得ています。

さらに、トレーニングプログラムへの投資のリターンは高く、3年間のROIは389%であると示されました。つまり、ラーニングにより知識を学び、知恵を育て、技術経験を高める基盤を習得することで、会社への貢献が数値で示された形となります。

ITイノベーションの中で、新しい技術に取り組むことも必要ですが、今、ITチームのラーニングが強く求められます。チームラーニングの価値のポイントとして、以下の2点が挙げられます。

  • 初期のチームに対してラーニングを重要としたことで、プロジェクトの成功率が50%から80%に向上した
  • チームスキルは年々下降していくものと認識し、継続的なトレーニングを行うことが必要不可欠

テクノロジーの変化は早いため、継続的なトレーニングなしでは、ITスタッフのスキルとパフォーマンスは、3年目では当初の能力の60%が失われ、6年目には75%が失われるといわれています。

以下に、様々な情報を公開しておりますので、ぜひともご参照ください。

a. IDCによるRed HatのトレーニングでどのくらいのROIが出るか興味がある方はこちら。
https://redhattrainingroi.com/?intcmp=701f2000000tpbcAAA

b. IDCによるBusiness Valueに興味がある方はこちら。
https://engage.redhat.com/idc-training-value-s-201710050429

c. 今の自分のスキルを簡易チェックしたい方はこちら。
https://www.redhat.com/rhtapps/assessment/

d. トレーニングの成功事例に興味のある方はこちら。
https://www.redhat.com/ja/services/certification/rhcp/success-stories

e. Red Hatのラーニング・サービス全般の情報について知りたい方はこちら。
https://www.redhat.com/ja/services/training/value-red-hat-training

ITラーニングの新たなアプローチは、専門知識の学習をより効果的にします。企業におけるスキルアップは、多くの面で変わりつつあります。そのことを受け止め、学習者の利便性を考慮した形で継続的な学習の機会を持たせることが重要なポイントであり、ビジネスの価値として大きな影響があることを認識いただけたと思います。

次回は、開発者向けに開発環境の準備とOpenShiftへのアクセスについてお伝えする予定です。

レッドハット株式会社

グローバルラーニングサービス部マネージャ
新卒入社したコンサルタント業界から、ソフトウェア会社を設立し東北にてSI事業を5年間経営。その後、外資の業界に興味を持ち金融コンサルタントとして飛び込み、他にも通信、製造と業界の経験をし、のちにプリセールスとして転身。医療と物流と興味のある業界を跨いで、業務とITがどう活用されているか、未来はどうなるかなどを把握することにハマる。2015年レッドハット入社。
子供の頃に『ブッタとシッタカブッタ』を読み、謎の悟りを開眼。

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