KubeCon China初日のキーノートは中国を持ち上げるセッションが連発
CNCF周辺でも存在感を増す中国系企業
KubeCon+CloudNativeCon Chinaは、初日11月13日がCo-Located Eventということもあり、翌日11月14日が実質的な初日ということになった。その最初のキーノートに登壇したのは、CNCFのExecutive DirectorであるDan Korn氏である。
中国で最初のKubeConということで、CNCFの概要の説明を行ったKorn氏だが、その中でも中国の成長を大きく取り上げることになった。
Korn氏は、今回の上海を含めて2018年に6回も中国を訪れていると語り、自身が中国を重要視していることを説明した。またCNCFのメンバーとしても中国の企業は存在感を強くしており、エコシステムの大きな部分を占めていると説明した。そして今後は、パートナーという役割だけではなく、エンドユーザーとしてもCNCFに加入して欲しいとリクエストした。
ソフトウェアプロジェクトの面でも、VMware China発のコンテナレジストリーであるHarbor、PingCAPがリードするTiKV、そしてAlibabaが本番で運用するイメージ配布システムであるDragonflyなど、CNCFがSandboxとしてホストする形で脚光を浴びたプロジェクトが急増している。
Korn氏は最後に、来年同じ上海で開催される予定の、第2回となるKubeConの日程を発表した。来年は、さらに規模が拡大しそうな勢いを感じるプレゼンテーションであった。そして中国におけるオープンソースソフトウェアの功労者として陆首群(Lu Shouqun)氏を壇上に招き、挨拶をさせるという一幕もあり、中国を大いに持ち上げる内容となった。
VMware China発のHarbor
続いて、中国発のCNCFのプロジェクトであるHarborを紹介するために登壇したのが、VMware ChinaのHenry Zhang氏とAlan Ren氏だ。
なおキーノート会場では、中央のポディウムを中心に左に中国語表記のスライドが、右に英語表記のスライドが表示されており、大部分の中国からの参加者にフォーカスしていることがわかる。なお前面のスクリーンはプロジェクターではなく、全面LEDのモニターだった。
Harborは、コンテナレジストリーとしてVMware Chinaで開発がスタートしたソフトウェアだ。中国発のソフトウェアとして初めて、サンドボックスプロジェクトとしてCNCFにホストされたということが、中国のエンジニアにとっては大きなニュースということだろう。
実際に開発が始まったのが2014年で、GitHubにオープンソースソフトウェアとして公開されたのが2016年ということなので、思った以上に歴史のあるソフトウェアだ。同じポジショニングのコンテナレジストリーであるQuayがCoreOSに買収されたのが2014年、そしてCoreOSがRed Hatに買収され、「Red Hat Quay」になったのが2018年初ということなので、開発の長さという意味ではQuayのほうが若干優っている。だが、何よりも中国での利用の拡がり、そして中国語はもちろんとして英語、スペイン語などにローカライズされていることを勘案すれば、「OpenShiftの一部」という扱いのQuayと比べてHarborに高い評価を与えたCNCFの判断に疑問はないだろう。
Harborのユースケースをみても、中国の企業名が数多く挙げられており、ここでも中国が発祥のソフトウェアの強みをみせた形になった。
また最後にHarborの開発コミュニティメンバーを登壇させて、お披露目を行った辺りに、中国人コミュニティの中で一種のお祝いモードだったという空気を感じられた。
<編注:2018-12-27 00:00更新>一部の製品名が間違っておりましたのでお詫びして訂正致します。
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