これからはじめるIoTシステム開発&テスト入門 3

mockmockを利用してクラウドアプリケーションをテストする

mockmockを利用して
クラウドアプリケーションをテストする

ここまでの手順で「人を検知したときにSlackへ通知するIoTシステム」は完成です。しかし、システムを運用するにあたり、一定の品質を担保するためのテストが必要です。

ユニットテスト

このシステムはデバイスがArduino言語(C/C++ベース)、クラウドのLambdaがRubyで実装されています。

ユニットテストの構成

デバイス上のソフトウェアのユニットテストは、実行環境やライブラリをシミュレートするといった工夫が必要となるものの、不可能ではないでしょう。

Rubyのソースコードはユニットテストフレームワークも多数あるので、それらを使えば容易にユニットテストが可能です。

本記事ではユニットテストの詳細については割愛します。

結合テスト

今回開発したシステムはそこまで大きなシステムではないため、デバイス・クラウドアプリケーションのそれぞれを結合してテストします。

結合テストの構成

多くの場合、ここで2つの問題が生じます。

  1. デバイスのテストで「データを送信できたこと」を確認する必要があるが、送信先のサーバがない。
  2. クラウドのテストで「データを受信したときにSlack通知すること/DynamoDBにデータを格納すること」を確認する必要があるが、データを送信するデバイスがない。

つまり、デバイス・クラウドの双方が鶏と卵のような関係になっています。

結合テストにおける鶏と卵問題

この関係を打開するため、mockmockを使います。

mockmockを使ったクラウドアプリケーションの結合テスト

mockmockはデバイスの代わりとなるmock(仮想デバイス)を用意して、デバイスの代わりにクラウドアプリケーションへデータを送信するサービスです。これにより、デバイスの開発完了を待たずしてクラウドアプリケーションの結合テストを簡単に開始できます。

mockmockを利用した結合テスト

なお、mockmockはmock1台までは無料で使えるので、読者の皆様もぜひお試しください。

IoT開発を加速する仮想デバイス作成サービス | mockmock

プロジェクトの作成

mockmockにログインし、まず最初に作成するのが「プロジェクト」です。

プロジェクト新規作成へ移動し、以下の通り入力します。

項目名 入力値
プロジェクト名 check_point
サーバータイプ AWS IoT Core
キャパシティ cn1
プロトコル MQTT
送信先ホスト IoT Coreの設定画面に表示されているエンドポイント
証明書ファイル IoT Coreで発行した証明書ファイル
秘密鍵ファイル IoT Coreで発行した秘密鍵ファイル
Root証明書ファイル こちらのページで取得したRoot証明書ファイル
SSL/TLS TLSv1.2

プロジェクト新規作成

入力が完了したら、「登録」をクリックしてください。

バリュージェネレーターの作成

次に、mockmockから送信するデータを定義します。mockmockでは「グラフ」「バケット」「位置」の3種類のバリュージェネレーターを利用できます。

今回は、人感センサーの仕様に合わせ、値を1または0を切り替えるためバケットバリュージェネレーターを利用します。

サイドメニューの「バケット」の新規作成をクリックし、パケットバリュージェネレーター新規作成へアクセスし、以下の通り入力します。

項目名 入力値
バケットバリュージェネレーター名 pir
送信ルール ランダム
データリスト 0を9行、1を1行

バケットバリュージェネレーター新規作成

10個のデータのうち、1つだけが1、残りは0となっています。これをランダムに選択して送信するため、10%の確率で1を送信します。

入力が完了したら、「登録」をクリックしてください。

データテンプレートの作成

続いて、データテンプレートを作成します。

サイドメニューの「テンプレート」の新規作成をクリックし、データテンプレート新規作成へアクセスして、以下の通り入力します。

項目名 入力値
テンプレート名 check_point
元になるjson { "detected": 1 }

データテンプレート新規作成

入力したら「登録」をクリックしてください。

次に表示された画面で「detected」の行をクリックし、モーダル上に以下の通り入力します。

項目名 入力値
integer
生成タイプ bucket
ジェネレーター名 pir
バケット

データテンプレートの設定

最終的にデータテンプレートはこのような構造となります。

データテンプレート最終形

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