連載 [第9回] :
  Gen AI Times

【天才プロンプト進呈】あなたに最適な生成AIはこれだ!

2024年7月18日(木)
瀧口 真人新谷 信敬
本記事は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」に所属するメンバーが、生成AIに関するニュースを紹介&深掘りしながら、AIがもたらす「半歩先」の未来に皆さんをご案内します。

はじめに

本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」で活動している6名で運営しています。注目されている生成AIに関するニュースを収集し、個性豊かなメンバーによる記事の深堀りから、半歩先の未来の想像を共有していきます。この記事を通して、ぜひ皆さまも各々の半歩先の未来を想像しながら、色々な価値観を楽しんでいただけると嬉しいです。

前回は「Perplexity」について独自機能と信頼性を徹底解説しましたが、実はこの記事は「PerplexityのことをPerplexityを使って」書いています。他では見られない視点でPerplexityのことを紹介していますので、「Perplexityを使ってこれだけの記事が書ける」という部分も含めて見ていただけると、また異なった視点で楽しめるのではないかと思います。

チャットAIサービス総まとめ

2024年5月から7月にかけて「ChatGPT-4o」「Claude 3.5 sonnet」「Perplexity Pro」など、次々とアップデートが発表されました。ユーザーとしては「結局どれを選べば良いの?」「何が違うの?」と気になるところです。

これらの新機能については下記の記事などでも解説されていますが、ここでチャットAIサービスを振り返ってみましょう。

まずは機能比較から

IKIGAI Lab.の機能比較表をベースに機能比較表を再作成しました。無料版(アカウント有)と有料版での違いも分かるようにしています。

日常的な会話での評価

機能比較表で、それぞれのチャットAIサービスの「できること/できないこと」は分かりましたが、実際に使った場合に「得意/不得意」はあるのでしょうか。

「ChatGPT」「Copilot」「Gemini」「Claude」「Perplexity」の性能を日常的な会話で評価した結果が公開される(●2024年5月28日 GIGAZINE)

ウォール・ストリート・ジャーナルが、5種のチャットAIを対象に「日常会話への応答性能を人間が評価するテスト」を実施し、テスト結果を公開しています。

テストにはチャットAIの有料版が使用され、ChatGPTではGPT-4o、Geminiでは「Gemini 1.5 Pro」が使われています。ただし、テストは「英語」で実施されているため、日本語ユーザーはあくまで参考程度にとどめた方が良いでしょう。しかし「仕事関連の文書作成能力はClaudeが強そうだ」など、目的に合ったチャットAIを探す際の参考にはできそうです。

それでは、実際にプロンプトを入力して作成された成果物を比較してみたいと思います。比較は上記ウォール・ストリート・ジャーナルのカテゴリにはない「感情に如何に寄り添えるか」という点に焦点を当て、プロンプトはChatGPT4oの成果物を基に作成しました。また、ChatGPT、Perplexity、Claude、Gemini、Copilotの成果物に対して、筆者が独断で評価しています。

検証結果は、下図の通りです(【注】評価詳細 △:あまり良くない 〇:普通 ◎:良い)。

同じプロンプトでも、使用するチャットAIサービスの違いで作成される成果物の質や量に大きな違いが出ることが確認できます。

今回の比較内容においてはPerplexity、Geminiの様なWebブラウジングし成果物を生成するタイプのチャットAIは、長文かつ選択肢が複数生成される傾向になりました。参考にしているサイトのURLも表示してくれます。

一方、ChatGPTはシンプルな成果物を作成してくれている点で評価が高いです。CopilotもGPTモデルなので同様にシンプルな解答になっています。しかし成果物が満足いくものではなかったので評価は低い結果となりました。

Q2の「『妻が家事を手伝わないことに怒っている』妻に声をかけてください」については、主語が「私」か「妻」かで意味合いが異なる点が顕著に出ています。多くのチャットAIは怒っているのは「私」と認識しているため、評価を△にしています。ここではプロンプトでしっかり主語を表すことで、自身が求める成果物が作成されます。

このように、各チャットAIの特徴や得意・不得意を理解することで、自身に必要なサービスを選ぶ手助けになります。ぜひ、多くのチャットAIサービスを試してみてください。

お勧めのチャットAIは?

サービスごとに特徴があるため、ユーザーの利用目的に合わせて使うのが良いでしょう。下記に例を示します。

  • 豊富な拡張機能を利用したい:多くのGPTsがリリースされているChatGPT
  • 調査などで正確な情報を利用したい:情報源の明示による信頼性の確保が可能なPerplexity
  • インタラクティブなアプリを作りたい:アーティファクトが利用できるClaude
  • 一気に多くの情報を処理したい:200万トークンを処理できるGemini
  • 手軽に質の高い画像や曲を生成したい:画像・曲生成プラグインがあるCopilot
  • たたき台や要約などで使いたい:文章生成能力の高いClaudeやシンプル出力のChatGPT
  • 試行錯誤しながら色々と試したい:チャット量に上限がない()Claude以外のサービス

Claudeは有料版でもチャット量に上限があります(上限に達するとしばらく制限がかかり使えなくなる)。無料版で良いので他のチャットAIサービスと併用し、プロンプト(チャット欄に入力する内容)をある程度整理してから利用すると良いでしょう。

また、有料で契約を行う際は、年間契約ではなく月額契約をお勧めします。生成AIの分野は競争も成長も激しく、数か月の間に性能や機能面で1位が逆転することがあり得るためです。

例えば、2024年3月4日にAnthropicが「Claude3」を発表しました。その有料契約で使用可能なモデル「Claude3 Opus」より高性能で、かつ無料で使用可能な「Claude3.5 Sonnet」が発表されたのは2024年6月21日のことです。約3カ月半で有料版以上の性能モデルが無料で提供されることになったわけです。

確かに年間契約ではコストを圧縮できます。しかし、他のチャットAIサービスで新機能が発表された際に、追加で契約を行える経済的余裕がないのであれば、その時々に最適なチャットAIを契約できるようにしておき、いつでも最先端の機能を活用できるようにしておくことが成長の早い分野では重要なポイントです。

なお、コストパフォーマンスで言えば、現時点ではダントツでPerplexity Proです。理由は、SoftbankがPerplexity社と提携し、同社の生成AIサービスPerplexityの有料版を携帯電話契約者に1年間無料で提供すると発表したためです。

Softbank、Y!mobile、LINEMOユーザーはPerplexity Proを1年間無料で利用できます。チャットAIサービスの契約を検討しているなら、現時点ではPerplexityの利用が最もリーズナブルな選択です。

仮に何らかの事情でLINEMOなどの回線を解約したり、MNP(Mobile Number Portability:電話番号はそのままで移転先の携帯電話会社のサービスを利用できる制度)を利用したりしても、キャンペーンは継続適用されます。

実際にLINEMOを契約してみたところ、本当に0円でPerplexity Proを1年間契約できました。

Perplexity Proをお勧めするのは、コスパが良いだけではありません。Perplexityは他の言語モデル(GPT-4oやClaude 3.5 Sonnetなど)も利用可能です。前回の記事を参考に、ぜひ使ってみてください。

【今回の深掘り】
無料・有料プランに関わらず、せっかくのチャットAIも使わなければ意味がありません。

ここでは、深掘りとしてソフトバンクグループの孫正義会長兼社長も実践しているチャットAIを使用した興味深いアイデア創出方法を試してみましょう!

【ビジネスマン必見】孫正義が語る「AIディスカッション」で得た発想法 (newspicks.com)によれば、この発想法は以下のような内容とのこと。

孫氏は、GPTを単なる検索ツールとしてではなく、アイデアの対話相手として活用しています。具体的には以下のような方法を取っていると語りました。

  1. 特徴の異なる「天才的科学者A、B、C」をGPTに設定
  2. これらの仮想科学者同士でディベートを行わせる
  3. 異なる角度からのアイデアや意見を引き出す
  4. コンセンサスが得られるまでディスカッションを継続

この方法により、孫氏は多角的な視点からアイデアを検討し、新しい発想を生み出しています。
このやり方は、ビジネスパーソンの方も応用できる活用法です。

実際に試してみましょう! 今回は3人ではなく4人にしてみました。また、内容も少し変えて最終的に「Webニュースサイト用のまとめ記事」を出すようにしてみました。以下のプロンプトをLet’sコピペ!

### タスク
テーマについて関連する4人の天才科学者(熟練・初心者・ポジティブ・心配性なキャラ)を作成し、批判的思考で非常に価値の高い架空の会議を進めてください(最低10,000字以上会議を続けてください)。

会議の最後に、敏腕ニュース編集者の目線から会議の内容を元に構造化して整理された議事録をステップバイステップで考えてください。そして、最終成果物を作成してください。
なお、途中の議論は省略せず全て表示してください。

### 最終成果物
 - 議事録の内容をもとにWebニュースサイト用のまとめ記事を書いてください。
 - 忙しいビジネスパーソンが思わず読みたくなるような簡潔で短いタイトルと、スマートフォンの画面2画面分の文量で敏腕ニュース編集者としての「半歩先の未来」を追加して作成してください。

### 会議ルール
 - 登場人物のキャラ設定を詳細に記述してください。
 - 議論は深掘りするか横展開するかのみにしてください。同意のみの意見は必要ありません。
 - 批判的思考で本質をついたアイデア出しや反論を活発に行ってください。
 - 議論を見ている人が最高に価値を感じる議論を初心者にもわかりやすい表現で限界まで続けてください。
 - 自分の意見を正当化するために根拠と理由を明確化してください。否定する場合は必ず代替案を出してください。

### テーマ:
 - Think ITに掲載の記事「【天才プロンプト進呈】あなたに最適な生成AIはこれだ!」(添付のドキュメント)を読んでここから読み取れる半歩先の未来を示す。

実行する際のヒント:
  1. 文量は「最低10,000字以上会議を続けてください」の部分で調整します。あまりに長すぎる、エラーが出て実行できないなどは文字数を少なくするなどして調整してください
  2. 文字数を多く設定すると、一回のチャットでは最後まで実施できない場合があります。その際は「議論を続けて」「途中から再実行して」「続きから再開して」などチャット欄に入力して継続実行させます
  3. テーマの部分はWebサイトを読み取ることができるチャットAIはURLを、読み取ることができないチャットAIは、内容をテキストで保存したファイルなどを読み込ませて指定します。今回は図表もあるのでPDFファイルを添付する方法を選択しました
  4. Perplexityの場合、延々と会議が続き終わらないことがありました。この場合は「続きから再開して、会議をキリの良いところで切り上げ、構造化された議事録を作成し最終成果物を作成してください」とチャット欄に入力して、会議を適当なところで切り上げ最終成果物を生成するように促します

実際に生成された議論の全文(ChatGPT-4o)は、こちらからダウンロードできます。

最後のまとめ記事の部分は、下図のようになりました。

ChatGPT-4o
Perplexity Pro

おわりに

いかがでしたか。自分に合ったチャットAIは見つかりましたか。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今後も、生成AIに関する最新情報とその深掘りを発信していくので、楽しみにしていただけると嬉しいです。次回の投稿をお楽しみに!

※本ニュースは「IKIGAI lab.」が配信しているコンテンツです。
 IKIGAI lab.はこちらをご覧ください。

・IT AIがすごい国内IT企業所属
・情報処理安全確保支援士(登録番号010729号)
・IKIGAI Lab.メンバーでGen AI Timesのバナー作成を担当(ChatGPT(DALL-E3)+Canvaで作成)
株式会社スギ薬局
・薬剤師/介護支援専門員/在宅医療
・「生成AI EXPO in 犬山」育児関連コンテンツで登壇

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