【白熱最前線】勝者は誰だ⁉ 群雄割拠「生成AIの主戦場」
はじめに
本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」で活動している6名で運営しています。注目されている生成AIに関するニュースを収集し、個性豊かなメンバーによる記事の深堀りから、半歩先の未来の想像を共有していきます。この記事を通して、ぜひ皆さまも各々の半歩先の未来を想像しながら、色々な価値観を楽しんでいただけると嬉しいです。
OpenAIが日本法人「OpenAI Japan」の設立を発表し早1カ月が経ちました。「生成AI」の盛り上がりは日本のみならず、世界で過熱する一方です。そんな中、「OpenAI」「Google」「xAI」「Anthropic」等の大手企業が競うように、新モデルやアップデート、スマホアプリの発表を行いました。
今回は、これら発表された情報からピックアップして紹介していきます。記事の最後には「生成AIのまとめ表」も掲載していますので、ぜひお楽しみください!
Hello GPT-4o:OpenAI「GPT-4o(オムニ)」を発表
●2024年5月15日 OpenAI
Hello GPT-4o
2024年5月15日に、OpenAIはChatGPTの新しいモデル「GPT-4o」を発表しました。GPT-4oの特徴は以下の通りです。
- 優れたマルチモーダル:テキスト、音声、画像、ビデオのあらゆる組み合わせの入力・出力が可能
- 高性能:「GPT-4 Turbo」レベルのパフォーマンスを達成
- 高速度:音声入力に対しての応答時間は人間の反応と同等
- 言語理解改善:英語以外の言語のテキストでは大幅に改善
- 安全性の向上:音声出力に新しい安全システムを作成
- 無料使用:GPT-4oは無料枠で使用可能
さらに、GPT-4oをAPIで使用する場合、従来モデルのGPT-4 Turboと比べて3つの優れた点があります。
- 2倍の速度
- 料金50%OFF
- 使用制限5倍
以上のように、一般使用、API使用ともに非常に魅力的なモデルとなっています。
続けて、Google「Gemini」を見てみましょう。
Geminiが新たな領域へ: Google「Gemini 1.5 Pro」アップデート&「Gemini 1.5 Flash」を発表
●2024年5月15日 Google
Gemini が新たな領域へ : より高速なモデル、ロング コンテキスト、AI エージェント
2024年5月15日に、Googleは「Gemini 1.5 Pro」のアップデート及び「Gemini 1.5 Flash」を発表しました。Gemini 1.5 Proのアップデート内容は以下の通りです。
- 品質向上:コード生成、論理的推論とプランニング、会話、音声と画像の理解を強化
- トークン数拡張:100万トークンから200万トークンへ、より長いコンテキストウィンドウに拡張
- 音声&画像認識:Google AI Studio にアップロードされた動画の画像と音声を理解可能
Gemini 1.5 Flashの特徴は以下の通りです。
- 高速:APIで提供される中で最も高速なGeminiモデル
- 軽量:APIで提供される中で最も軽量なGeminiモデル
- 高性能:ベンチマークで「Gemini 1.5 Pro」に近しい結果
- 低価格:有料版では100万トークン当たりの価格が「Gemini 1.5 Pro」の10分の1
- トークン数:100万トークン
以上のように、Google「Gemini」モデルの大きな特徴はトークン数の多さです。100万(1M)トークンで、PDFファイル最大1,500ページを処理可能とのことです。
Grok-1.5とは何かをわかりやすく解説、イーロン・マスクのxAIがX(Twitter)も革新へ
●2024年5月11日 ビジネス+AI
Grok-1.5とは何かをわかりやすく解説、イーロン・マスクのxAIがX(Twitter)も革新へ
2024年5月4日に、X(旧Twitter)は「Grok」を活用して、話題のニュースやトピックを要約する「Stories on X」を開始すると発表しました。Grokはイーロン・マスク氏率いるAI企業「xAI」が開発した大規模言語モデル(LLM)で、現在「Grok-1.5」モデルが発表されています。
Grok-1.5はOpenAIの「GPT-4」やAnthropicの「Claude 3」に迫る性能を発揮しており、複数のベンチマークで前モデル「Grok-1」から大きく向上した結果を残しています。現在はiOSとWeb版で提供されています。
また、Grok-1.5発表からわずか2週間で「xAI」はマルチモーダル版「Grok-1.5V」を発表しました。「Grok-1.5V」は強力なテキスト機能に加えて、文書、図、チャート、スクリーンショット、写真など、さまざまな視覚情報を処理できます。
さらに、後継モデル「Grok-2」を現在トレーニングしているとのことです。
Anthropic「Claude」新しいチームプラン&iOS版をリリース
●2024年5月1日 Anthropic
Introducing the Claude Team plan and iOS app
2024年5月1日に、Anthropicは自社で開発したChatAI「Claude」の新しいチームプランとiOSアプリを発表しました。新しいチームプランの特徴は以下の通りです。
- 使用量の増加:Proプランと比較してユーザーあたりの使用量が増加
- Claude 3モデルファミリーへのアクセス:Opus、Sonnet、HaikuなどClaude 3モデルファミリー全体にアクセス可能
- 200Kコンテキストウィンドウ:長文書の処理、複雑な話題の議論、多段階会話をサポートし、個人やチームがデータから深い洞察を得るのに役立つ
- 管理ツールと請求管理:利用者と支払いを簡単にする管理ツールを導入することで、オンボーディングを簡単にし余分な手間を減らす
- 全てのPro機能:優先アクセス、新機能への早期アクセス、使用率の向上など、Claude Proのすべての機能が含まれる
iOS版Claudeの特徴は以下の通りです。
- ウェブチャット同期:どのデバイスからでも会話を中断した場所から再開できる機能
- ビジョン機能:外出先で写真を利用したり撮影したりして、リアルタイムで画像分析やコンテキスト理解が可能
- オープンアクセス:すべてのユーザーがアプリを無料使用可能
Claudeがスマホアプリになったことで、より利用しやすくなりました。
スマートフォンへの「生成AI」導入も目が離せない
●2024年5月11日 Bloomberg
アップル、iPhoneへのChatGPT搭載でオープンAIと合意に近づく
AppleはiPhone用基本ソフト(OS)にChatGPT機能の搭載に向け合意条件を最終調整しています。また、Alphabet傘下GoogleのChatAI「Gemini」のライセンスについても協議を続けています。
●2024年5月15日 ITmedia Mobile
Androidに“Google AI”の新機能 OSにGeminiを統合、「かこって検索」で問題を解く機能など
Googleは5月14日に、Android向けに搭載するAI関連の新機能を発表しました。Androidに生成AIモデルの「Gemini」を統合し、アプリ上のオーバーレイ表示から、より簡単にGeminiを利用可能になります。
【今回のまとめ】
生成AIの技術は日々目覚ましい進化を遂げ、この1年でその活用範囲は飛躍的に拡大しています。今後もその技術進化は進んでいくことが予想されます。
そんな生成AIがスマートフォンでも使えるようになり、より身近な存在になりました。今後、気がつけば生活のあらゆる場面で生成AIが活躍し、私たちの思考や行動を支援してくれているような存在になっていくと考えます。
現在、生成AI業界では多くの企業が覇権を争っており、各社サービスの得意分野や特徴も様々です。日々大量の技術や情報がアップデートされる中で、すべてを追いかけることは困難を極めます。
情報に振り回されることなく、自分に必要な生成AIを見極め、適材適所に活用する「生成AIリテラシー」。そんな力が必要とされる時代になってくるのではないでしょうか。
おわりに
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。様々な「生成AI」が高速で進化する中で、どのツールをどんなシーンで使用して良いのか迷うこともあると思います。そこで、最後にそんな悩みを分かりやすく解決してくれる比較表と記事を紹介しておきます。ぜひ、参考にしてください。
それでは、また次回もお楽しみに!
※本ニュースは「IKIGAI lab.」が配信しているコンテンツです。
IKIGAI lab.はこちらをご覧ください。
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