10のインストール!
ファイバチャネルホストバスアダプタの設定
大規模なDBサーバ、外部共有ストレージを持つHAクラスタの多くは、ファイバチャネル接続を採用することが一般的です。ファイバチャネル接続の場合、そのシステムにおいてSAN Bootを行うかどうかによってファイバチャネルの設定およびRAIDコントローラの設定、ブート順序の設定を適切に行う必要があります。
ファイバチャネルの設定は、ファイバチャネルホストバスアダプタのBIOSで設定を行います。これはサーバのBIOSとは別で、ファイバチャネルホストバスアダプタの電子基盤上に搭載されたチップにプログラムされています。ファイバチャネルホストバスアダプタとLinuxのブートの設定で注意すべき点は、「SANブートするか、しないか」でファイバチャネルホストバスアダプタの設定が変わるということです。
通常SANブートを行わない場合は、サーバの内蔵RAIDコントローラ側で論理ディスクを作成し、Linuxのインストーラにおいて、ブートローダをローカルディスクにインストールします。さらに、ファイバチャネルホストバスアダプタのBIOSにおいてブートオプションを無効に設定しておきます。また、ブート順序もファイバチャネルコントローラよりも内蔵RAIDコントローラを優先させておきます。これにより、SAN接続されている環境でサーバはローカルディスクからブートを行います。
図3:ローカルブート構成とSANブート構成 |
SAN環境における注意点
このSAN接続時のブート順序の設定は非常に重要です。SAN環境では、単一のストレージに対して、ヘテロのサーバが接続されており、非SANブート構成もあればSANブート構成も混在する場合があります。サーバ側でファイバチャネルからのブート順序が優先されていると、サーバはローカルディスクではなくSAN上のディスクからブートを優先させます。
もし非SANブートを想定しているサーバで、たまたまSAN上のディスクのMBR領域にブートローダが入っており、ファイバチャネルのBIOSでブータブル設定が有効になっていると、そのサーバはSANブートを行うことになり、予期しない動作をしてしまいます。したがって、SAN環境においてはサーバのブートデバイス優先順位に注意してください。
SANブートを行う場合は、ローカルディスクは必要ありません。また、ファイバチャネルホストバスアダプタのBIOSでブータブル設定を有効にします。Linuxのインストーラにおいては、SANストレージ上に作成したLUNに対してブートローダをインストールします。
さて、次回はSUSE Linux Enterprise Server 10の特徴の1つである「YaST」によって、パーティションの設定を行っていきましょう。