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改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - 管理編
第1回:外部ストレージの設定と運用について
著者:
日本ヒューレットパッカード 古賀 政純
2006/4/6
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RHEL4における外部ストレージへの接続
今回から「管理編」として、実際にRHEL4を運用から管理まで行うために知っておきたい情報を解説していきます。まず今回は外部ストレージの接続や設定について紹介しましょう。
ファイルサーバやデータベースサーバなどミッションクリティカルなサーバでは、障害が発生してもサービスを継続する必要があるために、高可用性ソフトウェアを組み込んだHAクラスタシステムとして構築する場合がほとんどです。
この場合、顧客データはクラスタを構成する複数のサーバと接続された共有ストレージ上に保存しますが、大規模なシステムにおいては高いパフォーマンスが要求されるため、Fibre Channel接続型のストレージが採用されることが一般的です。
Fibre Channel接続型のストレージはSCSI型と比べて転送速度が速く、ストレージ自体もSCSIのそれに比べて多機能です。またHAクラスタソフトウェアによるアプリケーションのフェイルオーバだけでなく、ストレージのコントローラやFibre Channelの経路の冗長化とフェイルオーバの機能も必要になります。
Linuxでは外部ストレージへの接続形態として主にSCSI形式とFibre Channel形式がありますが、大規模システムではFibre Channel接続が一般的です。
そこで今回は、Linuxシステムにおける小規模向けのSCSI接続型ストレージと、中大規模システム向けのFibre Channel接続型ストレージの構築の基礎について説明していきます。
内蔵Smart ArrayコントローラによるSCSI外部接続とRHEL4のデバイス名の関係
ProLiantサーバに用意される内蔵RAIDコントローラには「Smart Arrayコントローラ」というものがあります。これは内蔵のローカルディスクへのチャネルと外部ストレージへのチャネルを持ち、外付けのSCSIストレージと容易に接続できる設計になっています。
ProLiantでは内蔵のSmart Array コントローラ配下のディスクとRHEL4上でのデバイス名の関係は「/dev/cciss/cXdY」となります。一方、Smart ArrayコントローラではないSCSIホストバスアダプタ配下のデバイス名は「/dev/sdX」となるのが一般的です。
Smart Array コントローラとそうではないSCSIコントローラの場合での、SCSIデバイスとデバイス名の対応を以下に示します。
Smart Array コントローラ配下のディスクの場合
ローカルディスクのデバイス名
/dev/cciss/cXdY
外付けSCSIストレージのデバイス名
/dev/cciss/cXdY
Smart ArrayコントローラではないSCSIホストバスアダプタの場合
ローカルディスクのデバイス名
/dev/sdX
外付けSCSIストレージのデバイス名
/dev/sdX
表1:SCSIデバイスとデバイス名の対応
RHEL4からみると、Smart Array配下の外付けSCSIデバイスが「cXdY」として追加されている形となりますが、Smart ArrayではないSCSIホストバスアダプタでは「/dev/sdX」というデバイス名としてアサインされるのが一般的です。
Fibre Channel型ストレージとRHEL4のデバイス名の関係
ProLiantサーバにFibre Channel接続の外部ストレージを接続するには、PCIスロットにFibre Channelホストバスアダプタ(FC HBA)を装着します。FC HBA配下のディスクとRHEL4上でのデバイス名の関係は、下記のようになるのが一般的です。
FC HBA配下のFibreストレージのデバイス名:/dev/sdX
ProLiantサーバの場合、内蔵Smart Arrayコントローラ配下のディスクは「/dev/cciss/cXdY」となり、FC HBA配下のディスクは「/dev/sdX」となります。したがって、Fibreストレージを外部接続に持ち、SANブートを行わない場合のProLiantはOS領域として「/dev/cciss/cXdY」を割り当て、ユーザデータが格納されるFibreストレージに「/dev/sdX」を割り当てるようにします。
一方、Itanium2を搭載したHP Integrityサーバの場合、Smart ArrayコントローラではなくSCSIホストバスアダプタを接続します。そのためOS領域とFibreストレージはどちらも「/dev/sdX」で割り当てることが可能です。
RHEL4からの外部ストレージの認識
Linuxから外部ストレージへアクセスできるようにするためには、外部ストレージ側での設定が必要になります。外部ストレージの設定を行うためには、ハードウェアベンダーが提供するドライバとツールを利用する方法と、OS標準のものを使う方法があります。
しかし一般的なエンタープライズ用途のストレージシステムは、通常異なる機種のサーバをSAN上に配置し、データベースのパフォーマンスをだすためにパーティションの最適化を施すといった詳細なパラメータ設定が必要になるため、主にハードウェアベンダーが提供するツールを使うのが一般的です。
HPがRHEL4に適用している外部ストレージには「Modular Smart Array」「Enterprise Virtual Array」「Virtual Array」「StorageWorks XP」などの製品群があります。これらのストレージは、いずれもHPからストレージ専用の設定ツールが提供されています。
Linux上で外部ストレージを利用するための設定ツールとしてHPではArray Configuration Utility(ACU)が用意されていますので、ACUを使うと外部ストレージの導入を容易に行うことが可能となります。
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著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社
古賀 政純
2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。
INDEX
第1回:外部ストレージの設定と運用について
RHEL4における外部ストレージへの接続
Linux上で稼動するACU
RHEL4におけるパーティション作成とファイルシステム