サンプルで見る!ロゴマニュアル
ロゴマニュアルの作成
本連載では、ロゴの位置づけや制作方法などを紹介してきましたが、最も重要なことが残っています。それは、ロゴ使用規定(ロゴマニュアル)の作成です。
筆者は、ロゴマニュアルの作成こそが本当の意味でのロゴを作るということだと考えています。ロゴマニュアルのサンプルをダウンロードできますので、参照ください(1.47 MB)。
ロゴマニュアルを作ることが、ほかのアプリケーション全般での使用方法を定めることになります。アプリケーション展開はもちろんですが、「使用可」「使用不可」の明確な線引きが必要です。多メディア展開が当たり前になってきた現在においては、ここでの使用規定を明確にすることがロゴのイメージ/企業のイメージを守る上で重要となってきます。
この段階で、ロゴの制作者以上にロゴのことを理解している人間はいません。外注されるデザイナーはある程度気をつけてくれると思いますが、クライアントの広報担当などが自分で制作する場合、適当に使用しかねません。なぜ、この使い方がダメなのか、どういう理由でイメージを損なう恐れがあるのかまで理由づけすることが望ましいでしょう。
もちろん、ロゴマニュアルの作成自体にも、一定の法則を設け作成することが必要です。あくまで、使用する人のユーザビリティを考慮し、わかりやすく情報を伝えるという基本を守って作成してください。
納品こそが始まり
ロゴとマニュアルを作成し、それで仕事が終わりではありません。ロゴを作るということは、企業の根幹を理解することだと紹介しましたが、ステークホルダーにもロゴを通じて企業を理解してもらわなくてはなりません。
企業のロゴを作成するということは、その後のケアまで含めたブランディングを引き受けたという認識が必要です。ここから先は、「デザイナー/ディレクターとしてクライアントに満足してもらえたか」「費用対効果はどうか」という面が評価されます。ロゴがカッコいいかどうかではありません。ロゴを作ることによって、クライアントのビジネスへの効果を引き出すことができたかなのです。
クライアントに満足いただけていれば、その後のWebサイトの改定や会社案内などを始め、ありとあらゆるものへの展開が待っています。ロゴの作成とは、クライアントとの長いお付き合いの始まりなのです。
3回にわたってロゴの作成について紹介させていただきました。もっと簡単なロゴ制作を求められていたとすれば申し訳ない限りですが、商品ロゴであっても基本的な考え方は変わりません。
悲しいことですが、グラフィックソフトの向上とインターネットのすそ野拡大により、うわべだけのロゴというものが増えてきたように思います(また、それなりに結果が出てしまうこともあるのですが…)。
企業にしても商品にしても、VIとは非常に重要なものですし、そこまでの責任を持つべき存在だと思います。それを依頼されるわれわれクリエーターは、常に結果を求められ、そして、結果に責任を持たなければならないのだということを心に刻んでいきたいものです。
本連載が皆さんが制作する上で、少しでも役立てば幸いです。
【参考文献】
『日本のロゴ』成美堂出版(発行年:2007)
生田昌弘/株式会社キノトロープ『Webブランディング成功の法則55』株式会社翔泳社(発行年:2005)
「中小企業の工業デザイン相談室」(http://blog.goo.ne.jp/designsoudan/e/67b8a85c728449320928e0d8342ad674)(アクセス:2008/11)
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