建物を描くのはむずかしい?
一点透視図法
いよいよパースについて紹介します。奥行きを描く時には、「遠近法」を使います。その1つが「一点透視図法」です。図2と筆者が実際に描いてみたサンプルの動画(http://tedia.jp/movie/item.php?id=Yd6ZtKQtXx8)を見ていきましょう。
先ほど正面からいろいろ描いてみたものは、ちょっと視点を上げてると上の面が見えるはずです。この面が奥行きを表しています。対象が正面にある時、一点透視図法を使って奥行きを描くことができます(図2-1)。
1.正面から見たモチーフを描きます
2.視線の高さに地平線を描きます
3.1点(消失点)を決め、そこから放射状にガイドを引きます
4.ガイドに沿って奥行きを描きます
視点がモチーフより上にある時、上の面が見えます。下にある時は下の面が見えます(図2-2)。現実の世界と同じです。携帯電話など、身近にある四角いものを正面に置いて確認してみましょう。幅と高さは思ったサイズで描いて問題ないのですが、「奥行き」はパースがついているので短く見えるはずです。ここを長く描いてしまわない様に気をつけましょう。
また、この上に何かが乗っている場合(机ならコップ、ビルならフェンス、電話だとボタン)、これらも同じ消失点に向かって小さくなっていきます。モチーフそれぞれの形は違っても、同じ法則で小さくなっていくのが分かります(図2-3)。
この時も、初めは四角い箱を描いて大きさを決めてから、細かいところを描き込んでいくことをおすすめします。机もビルも初めは四角いボックスから描いていきます。
二点透視図法
モチーフを正面から見た場合に、一点透視図法を使うことができました。例えばもっとスケール感を出したい場合、コーナーに立って奥に向かって伸びる2つの面を描くと効果的です(マンションの広告などはよくこの方法で描かれています)。しかし、そうするとこちらを向いている面がありません。こんな時は、二点透視図法を使って描いていきます(図2-4)。筆者が実際に描いてみたサンプルの動画(http://tedia.jp/movie/item.php?id=dRa8wHNufxc)も見てみましょう。
1.コーナーの高さを表す垂直な線を描きます(ここが一番手前)
2.目の高さに地平線を描きます
3.左右に2つ消失点を描きます
4.消失点から高さの線の上下へガイドを描きます
5.壁の長さだけ奥行きを描きます
視点が低いと見上げたように、高いと見下ろしたように描けます。そしてこちらも、上に何かがのっていたり、側面に何かついている場合(壁の窓、脇を走る道路、お隣のビルなど)、やはり同じ消失点からガイドを引きます(図2-5)。点は2つに増えましたが、考え方は一点透視図法とあまり変わりません。
また、一点透視図法も二点透視図法も、消失点があなたの使っている紙からはみ出してしまうことがあります。厳密に描かなければいけない場合は紙を追加して、定規を使ってしっかり測った方がいいですが、イラストですから考え方が分かっていれば大丈夫です。だいたいの場合は「この辺が消失点だな」と思いながら描いてしまいます(図2-6)。
ところで、この2つの図法を知っていると、実際に街を歩いている時に、消失点や地平線の位置を確認できるようになります。面白いですし、描く時の参考にもなりますから、ぜひやってみてください。