【日本上陸の衝撃】OpenAI上陸で変わる日本のAIビジネスの在り方
はじめに
本連載は、生成AIコミュニティ「IKIGAI lab.」で活動している6名で運営しています。注目されている生成AIに関するニュースを収集し、個性豊かなメンバーによる記事の深堀りから、半歩先の未来の想像を共有していきます。この記事を通して、ぜひ皆さまも各々の半歩先の未来を想像しながら、色々な価値観を楽しんでいただけると嬉しいです。
今回は、OpenAIの日本進出の背景や目的、日本語対応「ChatGPT」の技術的特徴などを詳しく解説します。また、日本企業のAI導入事例や、生成AIが日本のビジネスにもたらす変革の可能性についても考察します。
生成AIの最前線で「どのようなトピックスが注目されているのか」を、どこよりも分かりやすく記事にしました。今回も、皆さんを半歩先の未来へご案内します!
「東京は、技術とイノベーションのリーダーシップを持っているという点で、拠点として自然な選択だった」
ChatGPTを提供するOpenAI社が、2024年4月に東京都内にアジア初となる拠点を開設することを発表しました。新設される日本法人「OpenAI Japan」は法人向けのAIサービス提供を主軸に、日本市場での生成AI技術の普及と健全な利用ルールの策定にも積極的に関与していく予定です。
この戦略的な拡張について、サム・アルトマンCEOは次のように述べています。
『東京は、技術とイノベーションのリーダーシップを持っているという点で、拠点として自然な選択だった。』
OpenAIの日本進出の目的の1つは、日本市場における生成AIの活用を促進することにあります。同社は2022年11月にChatGPTを公開し、世界的な生成AIブームの火付け役となりました。日本でもChatGPTへの注目が高まっていることから、OpenAIは日本語に完全対応したChatGPTの開発を進めました。日本語でも自然な会話ができるChatGPTの登場により、日本における生成AIの活用が加速すると期待されます。
・横須賀市
市長のアバターを用いて英語で市の情報を発信する新しい取り組みを実施。このアバターは市長の外見や話し方、声を模倣するAIで作られ、多文化な市民に情報をよりアクセスしやすくする目的で英語に翻訳されている。
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0835/nagekomi/20240423_ai_mayor_eng.html
・パルコ
ファッションビルを展開するパルコは、最先端の画像生成AIを駆使し、人物から背景まですべてAIで生成したファッション広告を制作。ナレーションや音楽もAIで作成し、新しいモード感のある広告を実現。
https://www.parco.co.jp/blog/detail/?id=678
・大日本除虫菊
画像生成AIを活用し、ロングセラー商品「キンチョール」の革新的なCMを制作。若者向けのユニークなCM企画案のブレストにも対話型AIを活用。
https://www.kincho.co.jp/cm/html/kinchol_young/index.html
私たちIKIGAI lab.も昨年12月にGivin' Back株式会社の田中悠介氏が代表を務める「生成AI-EXPO in犬山」に参画しました。愛知県犬山市の住民に生成AIを普及させるために、オンラインと現地の両面でイベントに協力しています(田中氏もIKIGAI lab.のメンバーです!)。
また、今月5月6日にも名古屋市で「生成AI-EXPO in 名古屋」を共同開催しました。
日本語対応ChatGPTの技術的特徴
OpenAIから、日本語処理能力を大幅に向上させた「GPT-4」のカスタムモデルが発表され、日本市場におけるAI技術の進化に新たな節目を迎えることになりました。これまでChatGPTを日本語で使用する際には、不自然な文章生成や処理速度の遅さという課題がありましたが、この新しいモデルによってそれらの問題が解決されることが期待されます。これは非常に嬉しい発表です。
この日本語に特化した「GPT-4」カスタムモデルは、日本語のテキストの翻訳と要約のパフォーマンス、およびコスト効率が大幅に向上し、また、前モデルと比較して最大3倍高速に動作し、トークン数の削減により効率化が図られ、コストも47%削減されるそうです。
これにより、より多くの場面で高品質な日本語処理が可能になることが予想されます。また、日本語という特殊な言語で最適化されたカスタムモデルになることで、日本語の自然な会話が可能になるほか、入力のしやすさや処理の効率化も期待できます。
このカスタムモデルが登場することで、私たちの日常生活やビジネスでのAIの活用が、ずっと自然で効率的に変わります。日本語の微妙なニュアンスもしっかりと理解してくれるAIは、使うほどにその便利さを実感できるはずです。テクノロジーが日本語の独特な表現を捉え、反映できるようになることで、私たちの生活や仕事に新たな可能性が広がっていくのではないでしょうか。
生成AIは日本のビジネスを変革する
ChatGPTに代表される生成AIは、企業の業務効率化や新たなビジネス創出の起爆剤になると期待されています。ルーチンワークの自動化や意思決定のサポートなど、生成AIの活用により人手不足の緩和や生産性の向上が見込めます。実際、私の周りでも多くのビジネスパーソンがChatGPTなどの生成AIを日常的に活用し、資料作成の効率化や市場分析の迅速化など、エクセルと並ぶ必須ツールとして定着しています。
・LIFULL
生成AIを社内で活用し、半年間で20,000時間以上の業務時間を創出。この取り組みにより、社員の71.8%が書類準備やデータ分析などの業務で効率化を実現し、作業の質と生産性が向上。
https://lifull.com/news/32171/
・ファミリーマート
生成AIを活用することで、社内の文書や資料作成などの業務時間を50%削減される見込み。このプロジェクトは2023年12月に3か月間にわたる実証実験を行い、削減できる業務を特定。新たに創出された時間をメディア事業などの付加価値を生む業務に有効活用する。
https://www.family.co.jp/company/news_releases/2024/20240418_1.html
・GMOインターネットグループ
生成AIの活用により、月間9万6000時間の業務時間を各部門で創出。これは、インターネット基盤、広告、金融、仮想通貨サービスなどの業務における効率化を図り、国内パートナー(従業員)数の約10%にあたる600人/月に相当。
https://www.gmo.jp/news/article/8680/
このような中でのOpenAIの日本進出は、日本企業の生成AI活用をさらに本格化させる大きなチャンスと思われます。日本語対応の進んだ使いやすいAIツールの登場と企業のAIリテラシー向上が、この動きを加速させる鍵となるでしょう。また、同時に日本独自の大規模言語モデル(LLM)の開発が、さらなるイノベーションを促す可能性があります。
・SB Intuitions
ソフトバンクの子会社であるSB Intuitionsは、2024年内に3500億パラメーターの国産LLMを構築することを目指すと発表。ソフトバンクが保有する「国内最大級」の生成AI開発用計算基盤を活用し、日本語に特化した大規模言語モデルの開発を進めている。
https://www.sbintuitions.co.jp/news/press/20231031_01/
・NTT
NTTの生成AI「tsuzumi」は軽量でありながら高性能な日本語特化型の大規模言語モデル(LLM)で、パラメータ数が70億と小さく、1つのGPUやCPUでの推論が可能。これにより、運用コストの大幅に削減が可能。
https://www.rd.ntt/research/LLM_tsuzumi.html
OpenAIの日本上陸がもたらす影響と期待
OpenAIの日本上陸は、日本におけるAIビジネスの新たな幕開けを告げるものです。日本語対応が進んだ使いやすい生成AIツールが導入されることで、日本の企業は生成AIをより広範囲に活用し始めることが期待されます。生成AIがもたらすインパクトは計り知れず、日本企業がこの大きな潮流をどのようにビジネスチャンスに変えていけるのか、OpenAIの動向から目が離せません。
ただし、生成AIは単なるツールの1つであることを忘れてはいけません。この技術が持つ可能性を最大限に引き出し、多様な分野での革新を実現していくためには、企業や個人が生成AIを適切に活用し、その特性を理解することが不可欠です。この記事をお読みいただいた皆さんには、生成AIの可能性を探求し、その活用に積極的に取り組んでいただくことを期待しています。日本企業が生成AIを駆使して新たな価値を創出し、グローバル市場で存在感を発揮できるよう、OpenAIの動向とともに、生成AI活用の進展に注目していきましょう。
おわりに
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今後も、生成AIに関する最新情報とその深掘りを発信していくので、楽しみにしていただけると嬉しいです。次回の投稿をお楽しみに!
※本ニュースは「IKIGAI lab.」が配信しているコンテンツです。
IKIGAI lab.はこちらをご覧ください。
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