自宅サーバーを立てるメリットとデメリット
共用レンタルサーバーが物足りない理由
サーバーを使いたいだけならばレンタルサーバーでもいいではないかと思う場面があります。レンタルサーバーには占有サーバーと共用サーバーがあり、前者は1台のサーバーを1人で占有する形、後者は1台のサーバーを大勢で共用する形となります。
月額数万円出せるのであれば自宅サーバー並みに自由度のある占有サーバーを使うことができますが、通常はコストとの兼ね合いで共用サーバーを使うことになります。
共用サーバーの場合はサーバーを大勢で使いますからもろもろの制限があり、やりたいと思ったことのすべてが実現できる環境ではありません。
共用サーバーの多くはroot権限をもらえないのでroot権限が必要なアプリケーションをインストールできないし、ポート番号を占有するタイプのサーバープログラムも設置できません。また処理が重いタスクを実行していたら止められてしまったり1日のメール送受信量が多すぎると制限がかかったりする場合もあります。こういった制約から、共用レンタルサーバーでできることと言えば、一般的なWebサイトを公開したり、ちょっとしたメール送受信をしたりするくらいでしょう。それ以上のことをやろうとするとすぐに共用サーバーでは役不足となります。
また共用サーバーでインストールされているOSはLinuxやFreeBSDがほとんどで、例えばWindows Serverを使いたいだとかMac OS X Serverを使いたいなどといった細やかなニーズは満たせない場合が多いのです。
共用レンタルサーバー | 自宅サーバー | |
---|---|---|
root権限 | なし | あり |
アプリケーションインストールの制限(数・種類) | あり | なし(無制限) |
ポート番号の扱い | ポート番号を占有するタイプのサーバープログラムを設置できない | ポート番号は使い放題 |
タスクの実行 | 処理が重いタスクは実行できない | 処理が重いタスクを実行できる |
メール送受信量制限 | あり | なし(無制限) |
OSの制限 | あり(ほとんどがLinuxやFreeBSD) | なし(好きなOSを使用できる) |
図2:共用レンタルサーバーと自宅サーバーの違い
圧倒的に敷居が低くなった自作サーバー構築
10年くらい前は自宅サーバーを立てるのも大変でした。PCやサーバー機の価格が非常に高い、インターネットの常時接続をやろうものなら毎月数万円~数十万円がかかる、UNIX系OSの入門書がほとんど存在しない、Webがほとんど普及していなかったからWebで関連情報を調べることが難しいなどの理由から非常に敷居が高く、当時自宅サーバーを立てるなんて発想をした人はよほど通な人たちだけでした。
それが現在は中古PCなら数千円で買え、家庭でも常時接続の光ファイバーを引く時代です。また初心者向けのLinux本が山のように存在する、Webで検索すればいくらでも関連情報を調べることができるなど、その気になればすぐにでも自宅サーバーが立てられる、という非常に恵まれた時代となりました。
さらには各OSのインストーラーも格段に進化しました。昔はサーバー系OSはインストールするだけでもさまざまな前提知識が必要でしたが、最近では例えばLinuxのことがまったくわからない人であっても、雑誌付録のLinuxディストリビューションDVD-ROMをPCに突っ込んで適当に設問に答えていると、いつの間にかインストールが完了してしまうというくらい簡単になりました。
昔はハードディスク容量が恐ろしく少なかったため、厳密にパーティション容量設計しないとすぐに容量不足で使い物にならないサーバーが出来上がったものですが、最近はハードディスク容量がぜいたくなほど多いのでパーティション容量設計なんて意識しなくてもOSがインストールできるようになりました。いいか悪いかは別として、誰でもサーバーを構築できる時代になったものだと感慨深いものがあります。