自宅サーバーを作ってみよう

2009年7月13日(月)
sanonosa

固定IPアドレス+DNSか動的IPアドレス+DDNSか

 外から自宅サーバーにアクセスするためにはグローバルIPが必要となります。グローバルIPアドレスには固定IPと動的IPがあり、固定IPはその名の通りサーバーに割り振るIPアドレスが固定となるのに対して、動的IPはサーバーに割り振られるIPアドレスが動的に変化します。

 固定IPアドレスであればIPアドレスと完全修飾ドメイン名(FQDN=Fully Qualified Domain Name。 www.impressholdings.comのような形)との対応をDNSサーバーに登録することができます。それに対して動的IPアドレスの場合はIPアドレスが変化しますのでDNSサーバーに登録ができません。その代わりにDDNS(Dynamic Domain Name Service)サーバーを用いることになります。

 DDNSサーバーを用いる場合はIPアドレスが変わるたびにDDNSサーバーにその情報を伝える仕組みを入れなければならないので仕組みはやや複雑です。

 DDNSサーバーには2つの弱点があると思っております。1つはDDNSの仕組み上逆引き(IPアドレスからFQDNを引く)設定ができません。もう1つはDNSキャッシュ問題のためIPアドレスの変更をDDNSサーバーに伝えてもすぐには反映されない場合があります。

 前者は例えばメールサービスに、後者は24時間絶え間なく情報を提供しているサーバーを構築するとしたら問題がありそうです。ただ、動的IPアドレスとは言ってもISPから提供されているルーターの電源を切らなければ同じIPアドレスを使い続けられる場合もありますので、後者はあまり問題にならない可能性もあります。

 仕組みのシンプルさと扱いやすさの面で固定IPアドレスのほうが使いやすいのですが、インターネット接続サービスとしては動的IPアドレスよりも固定IPアドレスを付与してもらえるもののほうが概して割高となります。

どのOSをインストールすべきか

 自宅サーバーにふさわしいOSはなんでしょうか?答えは「自分が使いたいOS」ではないかと思います。ただし自宅サーバーは会社や学校と違ってすべて自分で構築して管理していくことになります。つまり、自分が使いたいものを使うのは自由だが、最後まで面倒見きれるOSを選定することが必要となります。先般記したもろもろのポイントをすべて自分で行うという前提でインストールするOSを選定しましょう。

 OSの選定と言えば、世間的なイメージとしてWindows系は簡単だがUNIX系は難しいという誤解があるように思います。たしかにWindows系はGUIベースで一見とっつきやすいですが、きちんと設定するためにはUNIX系と同じくらい前提知識が必要となります。

 またLinuxの世界においても最近はインストールするだけならものすごく簡単なディストリビューションが増えてきましたが、サーバーとしての設定、特にセキュリティ対策についてはむしろ年々難しくなっていると感じます。

 最後に余談ですが、著者は自宅サーバー用OSとしてFreeBSDを使うことが多いです。サーバー用途で考えると、そのOS(もしくはディストリビューション)であっても大きなレベルで見ればできることはそんなに変わらないと思うのですが、サーバー構築段階のプロセスは大きく異なります。

 FreeBSDを使うことが多い理由としては、使い慣れているOSの中では最もシンプルな状態でインストールするのが楽で速いというのがあります。著者がサーバー構築する際はOSインストール後にまずは不要なものを全て消した後に必要なものを足していくという方法を取ります。この方法を実現するのにFreeBSDは大変重宝しています。

国内某有名ITベンチャー企業に創業メンバーとして携わる。国内最大規模のシステムを構築運用してきたほか、社内情報システム導入のプロジェクトマネジメント、韓国の交友関係が豊富なことから韓国関連で多数のシステムインテグレーションなども行ってきた。前職は富士通株式会社でSE。
個人blog:http://nosa.cocolog-nifty.com/

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