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| これからの人事部の役割 | ||||||||||||
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戦略的人事情報システムの導入により、人事部は従来の定型的業務から開放される。ではこれからの人事部に求められる役割とはどのようなものだろうか。まず最初に、経営戦略を遂行する上で必要な人材マネジメントを構築する中心的存在としての役割である。経営者のよきパートナーとして経営戦略をサポートしていく役割が求められる。 中・長期的な経営戦略をよく理解し、そのために必要な人材の確保・維持をし、必要な人事施策を作成し、それを現場に浸透させていくことである。現場に人事施策を浸透させる過程で、人事部は現場が必要とするサポートを行わなければならない。最終的には、人事部は現場サイドに権限委譲を行っていかなければならない。 人事の権限委譲を行うにつれて、部門や事業所で自主性が高まってくる。その際に、部門や事業所が人事部の施策した意図に基づく人事制度を正しく運用しているかを監視していかなければならない。権限を委譲する以上は臨機応変な施策が望まれるが、他の部門や事業所に比べて明らかにアンバランスな施策は他の従業員の士気をそぐ恐れがある。 |
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| Face to Faceの重要性 | ||||||||||||
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著者が外資系金融の人事部長をしていた時に、ある部門長が直属の部下をクビにしたいと相談に来たことがあった。部門長の話を聞いてみると、その社員は協調性がないし、10年間も勤続しているのもかかわらず、1日いくつものケアレスミスを行い、部門全体の生産性を著しく下げているとのことだった。 その社員の同僚に話を聞いてみると、確かに人付き合いはよくないし、ミスもするが、部門全体の生産性を落とすほどではないという。本人にも直接会って話を聞いてみたが、部門長がいうほど協調性がないわけではなく、仕事に対する姿勢や考え方はそれなりにしっかりしていた印象を持った。 しかし外資系金融会社の中では、部門長の判断は最優先される。このままでは本人に退職勧告をしなくてはならなかった。そこで著者は、同じような業務で問題社員を抱えている他の部門長に話を持っていき、社員のバーターを行なわないかと持ちかけた。その部門長も今抱えている社員をもてあましていて、先程の問題社員も個人的に知っていて、異動の話に乗ってきた。 そしてクビにしたい社員を抱える部門長に同様に話を持っていき、最終的に2人の社員の異動が成立した。環境が変わることによって、両者とも頑張り、2人の社員の次の年の人事評価は標準以上だった。 人事部に求められる役割として、部門間や社内で生じる「ヒト」に関する問題に対するコンサルタントとしての能力が今後求められるだろう。人事施策を作り、人事情報システムを使って浸透させていくが、結局は人に関する問題は「Face To Face」で人間が管理していかなければならない。 部門長が見えない部分や気づかない部分に対して、適切なアドバイスや調整役としての役割が求められる。客観的な第3者として、人事施策が正しく運用されているかをチェックするのはシステムだけでは限界がある。 社内コンサルタントとして、人事部が生身の熱意を社内にどれだけ傾けられるかによって、現場への正しい人事施策の浸透が行われる。企業文化を作っていく担い手は人事部の頭脳と熱意にかかっている。 |
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| 次回は | ||||||||||||
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次回は、どのようなプロセスを経れば、戦略的人事情報システムをスムーズに社内に導入できるだろうを考えてみたい。 |
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