第5回:戦略的人材情報システム (1/4)

IT戦略と人材マネジメント〜IT効果による人材革命
IT戦略と人材マネジメント〜IT効果による人材革命

第5回:戦略的人材情報システム
著者:日本ピープルソフト  小河原 直樹   2005/11/25
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はじめに

   現在の経済環境下で求められている人事部の役割は、今まで人事部に求められてきた役割とは明らかに異なる。役割が異なれば、必要とされる情報も異なり、人事情報システムとして求められるコンセプトや機能も当然異なってくる。今回はそれらを比較検証し、今後求められる人事情報システムについて検証する。
戦略的人事情報システムとは?

   これからの企業に必要な戦略的人材情報システムとは何かというと、企業戦略を遂行するために策定された人材マネジメントを支援する意思決定支援システムである。人事情報システムは、経営資本としての人材が企業活動の中で適切にいかされるように、人材価値を可視化して支援するためのツールとして捉えることができる。

   人事部門のための人事情報システムと企業戦略の意思決定支援システムのための人材情報システムとでは、要求されるデータや機能も根本的に異なる。前者は人事部内の業務運用のために必要なデータであり、後者は人材育成や将来の事業計画に基づく要員計画や必要な人材の採用・育成計画のための機能要件にそって構築されるデータである。

   実際に、従来からの基幹業務系情報システムとしての人事給与管理システムとは別に、現場での人材マネジメントを支援するための統合的なWeb系人材情報システムを構築し運用している6社(製薬、情報システム、金融、医療機器など)のデータベースを独自に比較調査したところ、驚くことに両者のデータベースの重複率は10〜15%程度しかないことが明らかになった。

   では、従来型の人事情報システムがどのようなコンセプトで作られ、使用されているかを検証する。


従来型の人事業務と人事情報システム

   人事部の役割は大きく2つに分けることができる。1つは企業戦略に基づいた人材マネジメントの策定および実施である。もう1つは従業員に対する人事業務のサービス提供である。従業員の雇用維持を最重要課題とした企業戦略の下では、終身雇用と年功序列こそが戦略的人材マネジメントであった。

   人事部門は終身雇用と年功序列制度を運用していくだけでよく、企業戦略に合わせた人材マネジメントを考える必要がなかった。人事部に求められる役割は上記2つの人事制度を維持するための従業員へのサービスであった(図1)。

人事情報システム(従来型 vs 今後)
図1:人事情報システム(従来型 vs 今後)

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日本ピープルソフト社 小河原 直樹
著者プロフィール
日本ピープルソフト株式会社  小河原 直樹
米国Baylor大学大学院国際ジャーナリズム学科卒業後、SAPジャパン(株)にHRコンサルタントとして入社。その後、外資系金融企業で日本及びアジア地域の人事責任者として勤務。現在日本ピープルソフト(株)でHCM Global Product Strategy. Senior Managerとして日本の製品戦略の責任者。


INDEX
第5回:戦略的人材情報システム
はじめに
  コスト削減を目的とした人事情報システム
  企業に求められるリーダーの育成〜コンピテンシー・マネジメント
  これからの人事部の役割

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