第7回:ITにかける金をいかす (2/4)

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第7回:ITにかける金をいかす
監修者:野村総合研究所  淀川 高喜   2005/12/21
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個別案件評価の手順

   IT投資が事業部門に分散したため、今日では、IT投資の起案・申請者が必ずしもITにくわしくない場合が増えており、IT投資の目的や内容の説明にもバラツキが発生する。このため、投資評価の手順と流れを定義し、評価のためのツールを整備する必要がある。

   また、表現することが困難な場合が多いIT投資の効果についても、効果の体系や用語の使い方を、企業ごとに統一の視点として定義しておくことが望ましい(図2)。
IT投資案件の効果体系定義と評価手順(例)
図2:IT投資案件の効果体系定義と評価手順(例)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


効果の体系

   効果の体系として、大きく3つのカテゴリーに分ける例を次に示す。

定量的な効果
一定の確度をもって金額で表すことができ、IT投資の収益や費用に対する影響度合いとして表すことができる効果。例えば、受注件数増や人員削減などの効果は、1件あたりの処理費用に換算することで、金額で見た効果を明らかにすることができる。

定性的な効果でKPIの設定が可能な効果
精度向上、スピード向上、サービス向上といった定性的効果のうち、数値で表すことのできる代替指標が定義できる効果。例えば、不良品率、リードタイム、顧客満足度といった代替指標を用いることで、効果を数値で明らかにすることができる。

定性的な効果でKPIの設定が困難な効果
戦略的・政策的判断に基づくIT投資の場合や、社員モラールの向上など、効果が数値指標で表しにくいものについては、その内容や意義について明らかにし、十分にその合理性について検討を行った上で評価する。

表2:効果の体系としての大きな3つのカテゴリー例

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株式会社野村総合研究所 淀川 高喜
監修者プロフィール
株式会社野村総合研究所  淀川 高喜
プロセス・ITマネジメント研究室長 兼 金融ITマネジメントコンサルティング部長。国家試験 情報処理技術者試験 試験委員会 委員。1979年野村総合研究所入社。生損保、銀行、公共、運輸、流通、製造業などあらゆる分野における幅広いシステムコンサルティングに携わる。専門は情報技術による企業革新コンサルテーション、情報システム部門運営革新コンサルテーションなど。


INDEX
第7回:ITにかける金をいかす
  IT投資マネジメントの全体構成
個別案件評価の手順
  評価の手順
  開発生産性の向上

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