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| IT投資マネジメントの全体構成 | ||||||||||||
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IT投資は「IT資産の購入」であり、「IT費用の発生原因」である。事業にとって意義があるとの判断の下でIT投資を行うと、その結果IT資産が企業の資産として積み上がる。そのIT資産を活用して事業活動を行うことで、事業収入増などの経営価値が生みだされる一方、IT資産の利用期間にわたって維持管理費や償却費としてのIT費用が発生していく。 このように、IT投資マネジメントはIT活用の入り口としての「投資」だけではなく、「『投資』 → 『資産』 → 『費用』」のそれぞれの側面を連携させ、整合性をもって管理する必要がある。 また個別のIT投資案件だけでなく、個別案件の集合(ITポートフォリオ)についても、この「投資」「資産」「費用」のそれぞれの側面から、全社最適をはかることが重要である。 「投資」「資産」「費用」の3つの側面と、「個別案件」「ITポートフォリオ」の2つをかけ合わせた計6つのIT投資マネジメントプロセスについて、以下で管理のポイントを概説する(図1)。 |
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| 個別案件のマネジメント | ||||||||||||
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まず個別案件について解説する。 |
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| 個別案件のIT投資管理 | ||||||||||||
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個別のIT投資案件について、着手すべきか、あるいは継続ないし中止すべきかの判断を行うために、IT投資の結果で期待される成果と事前に予見されるリスクの洗い出しを行う。 |
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| 個別案件のIT資産管理 | ||||||||||||
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獲得しようとしている、または新たに獲得したIT資産について資産としての性格や特徴が次の観点からみえるようにする。
表1:IT資産管理において必要な観点
例えば、ビジネスの側面では「そのIT資産を利用する部門・対象業務領域」「利用する場所」「関連する顧客層」などを明らかにする必要があり、ITの側面では、「開発言語や採用するシステム基盤」「サーバの設置場所」などを標準的な項目として整理する必要がある。 このような内容を、「IT資産管理台帳」または「IT資産データベース」として整備し、大規模な修繕・改修のタイミングなどで最新の状態に更新する。 |
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| 個別案件のIT費用管理 | ||||||||||||
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期首において個別のIT投資案件の費用発生について予測し、いつどの費目にどの程度の費用が発生するかを明らかにし、部門の損益予算としてマネジメントを行う。期末時点で個別案件の費用発生状況、費目別の予算と実績の差異やその原因分析をすることで、当該案件への追加投資や費用削減を検討する。 |
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| 全社的視点(ITポートフォリオ)のマネジメント | ||||||||||||
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次に、全体的視点のマネジメントについて説明する。 |
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| 全社的視点のIT投資管理 | ||||||||||||
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全社としてみたIT投資の配分がバランスのとれた形になっているかを把握し、投資の全体的な方向づけを行う。また限られた予算の範囲で、どの案件を優先的に実行するかについて判断する。 ここでは、IT投資案件を集めた投資予算総額の水準とその事業分野別の配分が妥当なものになっているかどうかを評価するために、IT投資をその目的や対象領域といった多角的な切り口でグルーピングし、特徴と傾向を分析することがポイントとなる。 また案件ごとのリスク・リターンについて整理し、業務貢献の視点から案件の優先度を評価できるようにすることが望ましい。 |
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| 全社的視点のIT資産管理 | ||||||||||||
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現在保有するIT資産とこれから投資して得られるIT資産について、内容や機能が類似または同等のものはないか、IT資産全体の青写真に基づいて個々のシステムが整合性をもって作られ、ITによりサポートする業務機能のカバー範囲に抜けや漏れはないかを評価・判断する。 |
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| 全社的視点のIT費用管理 | ||||||||||||
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継続的にIT投資を行った結果、将来にわたってIT費用がもたらす損益計算書上への影響はどのようになっているかを明らかにし、予算として過不足がないか、また年度別の費用のかけ方や部門別の費用の配分に偏りがないかを管理し、投資の意思決定に役立てる。費用の予算が不足している場合は、投資の実施タイミングをずらしたり、案件を取り止めるなどの対応を行う。 |
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