第2回:内部統制に対応するリスクアセスメント (4/4)

リスクマネジメント
トピックと手法から学ぶリスクマネジメント

第2回:内部統制に対応するリスクアセスメント
著者:プライド   三澤 正司   2006/8/8
前のページ  1  2  3  4
リスクアセスメント手法の適用

   これまでに「内部統制の限界」「財務報告の信頼性に関するリスク」「監査リスク」「リスクの認識・評価に関する問題」について確認してきたが、ここからはそれらの観点を踏まえリスクアセスメント手法を説明する。

ブレーンストーミング法

   まずは適用範囲を問わず広く使われている手法である「ブレーンストーミング法」を取り上げる。特にリスクアセスメントのための手法ではないが、内部統制にかかるメンバーがリスクを洗いだす時の手法として位置付ける。

   ブレーンストーミング法は、複数のメンバーが自由にアイデアをだし合って、互いの発想の異質さを利用して、連想を行うことによってさらに多数のアイデアを生みだそうという集団思考法・発想法である。

   ブレーンストーミング法の背景となっている考え方は、連想の力を活用することである。ある特別な主題について1つのアイデアが与えられれば、頭の中にはそれに関連するアイデアがいくつか閃いてくるものである。

   ブレーンストーミング法の詳細な手順の説明が目的ではないので、リスクを洗い出す時の考慮点を整理する。

経験に基づく洗いだし
まずは、自分の経験のある業務からリスクを洗いだす。この時に実際に事故として起きたリスクだけでは、不十分であり事故にならなかったが事故になる可能性のあるリスク、いわゆる「ヒヤリ、ハット」も洗いだす
知識にもとづく洗いだし
自分の経験の延長線上で、上記のように潜在的リスクを洗いだすことは可能であるが、いまだ発生していないリスクは、他社の事例を参考にして洗いだす。「リスクの認識・評価に関する問題」でも問題点としてあげられている観点である。
空振りは許されるが、見逃しは許されない
リスクマネジメントの鉄則としていわれることであるが、リスク洗いだしの時点で、日常の延長線上で「まだ大丈夫」と考えて、楽観的に起こるはずがないと思うのは禁物である。現実に思いがけないことが起こり世間を騒がしている。リスクにどう対処するかはリスク評価をしてからのことであるので、主観による取捨選択は禁物である。

表11:リスクを洗い出す時の考慮点

   以上、リスクを洗い出す時の考慮点をあげたが、どの考慮点でも前述した「内部統制の限界」「財務報告の信頼性に関するリスク」「監査リスク」「リスクの認識・評価に関する問題」が参考となるのはいうまでもない。

前のページ  1  2  3  4


株式会社システムインテグレータ 代表取締役  梅田 弘之
著者プロフィール
株式会社プライド  三澤 正司
ITコーディネータ
プラント会社勤務時に、情報システム分野およびシステム開発方法論に興味を持ち、株式会社プライドに入社。主としてプロジェクト支援、標準化支援、教育に従事するが、ここ数年は、情報セキュリティ、管理業務に関わる支援の比重が大きくなってきている。


INDEX
第2回:内部統制に対応するリスクアセスメント
  はじめに
  内部統制におけるリスク
  内部統制の有効性を示すアサーション
リスクアセスメント手法の適用
トピックと手法から学ぶリスクマネジメント
第1回 リスクアセスメントの範囲の策定
第2回 内部統制に対応するリスクアセスメント
第3回 コンプライアンスに対するリスクアセスメント
第4回 個人情報保護法とISMSからみるリスクマネジメント
第5回 個人情報漏洩のリスク評価
第6回 プロジェクトマネジメントにおけるリスクアセスメント

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る