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| 受容策を考える | ||||||||||
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リスクマネジメントの4つある対応戦略のうち最後のものが受容策です。この受容策とは、特に事前事後に手を打つこともなく、仮にリスクが現実化して損失が発生した場合には、その損失をそのまま受け入れるような策を意味します。 ただし、「個人のスキルの問題」を考えるにあたっての受容策の意味は少し違います。受容といってもプロジェクトの失敗を受容するわけにはいきません。ここでの意味は、「費用の支出を容認して問題を解決する」という、一般には受容しがたい選択肢を選ぶということです。 |
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| 受容策「会社へのアピール」 | ||||||||||
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人材を調達できないといっても、それはおそらく「希望する金額では」という前提がついているはずです。トレーニングでは間に合わないといっても、研修費や残業代を惜しまなければ「いいところまで」はいくかもしれません。 「スキルを持つ個人」は難しい問題ではありますが、お金さえあれば何とかなってしまう側面もあるのです。しかし「予算を超過してもよいのであれば、そもそも問題なんて存在しない」と言う声が聞こえてくるようです。確かにその通りです。 ここで述べておきたいのは予算の超過分をプロジェクトで負担することはせず、お金の出所をどこか他から探してくるということです。例えば、「要員の研修費」や「調査研究費」として、プロジェクトの出費を会社に認めてもらうことです。 「スキルを持つ個人」がいない中でのプロジェクトはおそらく厳しいものになるでしょう。厳しいが故に、成功した暁には得られるものも多いはずです。例えば経験の浅いメンバーにとっては、このプロジェクトが貴重な経験になることは間違いありません。ここで得られたスキルや経験値は、高い研修費を払ってもなかなか獲得できるものではありません。 しかし、会社へのこのような大きな貢献は、マネージャーが自らアピールしなければ上層部にはまったくみえません。プロジェクトが本当に厳しいものである場合、マネージャーはプロジェクトに付随するこのような成果も堂々と主張すべきでしょう。 お金の出所は研修費や研究開発費ばかりではありません。話題の新技術をいち早く適用したプロジェクトなどの新規性に富んだものであれば、広告宣伝費として認めてもらうことも可能かもしれません。次フェーズの受注がみえているのであれば、それを担保に交渉することもできるかもしれません。 また、他から探してくるのはお金だけである必要はありません。研究・開発と位置づけて他部門から人を借りてくることもできるかもしれません。要するに、プロジェクトが会社に貢献できるあらゆる側面を考えてみることです。 プロジェクトが終了してからこのようなことを主張しても意味がありません。プロジェクトの開始時点から、そのプロジェクトの会社への様々な貢献効果をオーソライズしてもらう必要があります。そのためには実際に顧客に納品するよりも多くの成果物が必要になってくるかもしれません。しかしそれも当然のものとして受け入れます。プロジェクトが崩壊したり、大きな赤字を背負うよりは余程ましなはずです。 |
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| まとめ | ||||||||||
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本連載ではプロジェクト管理基盤というコンセプトで、一般的な管理手法や知識を有効に活用するにあたっての前提条件として、「スキルを持つ個人」「個人のモチベーション」「チーム内の連携」の重要性について述べてきました。連載の後半では、その基盤の中でも最も対策が難しい「スキルを持つ個人」の問題について、対応のヒントを紹介してきました。 果たして皆さんの現場に直接役に立つノウハウを提供できたでしょうか。いずれもある程度のヒューマンスキルが要求される「ヘビー」なノウハウだったと思いますので、今日からすぐに役に立つかどうかはわかりません。 ただし少なくとも、プロジェクト管理と呼ばれる知識体系に、これまでとは少し違った光を当てられたのではないかと思います。現場で多種多様な視点が求められるプロジェクトマネージャーの方々に対して、その光が困難なマネジメント作業の一助になれば幸いです。 |
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