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| 問われるべき「チーム力」 | ||||||||||||
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技術者はともすれば己の限界を知らない。技術者としての旬の期間かどうかの問題もある。かつては、到達した技術レベルであっても、現在それを継続できているかどうかは疑問である。ここに挑戦的な技術導入に取り組む際に、継続的な技術者確保の難しさというリスクが存在する。 このため、挑戦的な技術導入を行う場合は「匠」の世代交代を展望した要員確保を行うべきである。つまり、個人の力量に頼るのではなく、チームとしての力量が発揮できる体制の継続確保が必要である。 多種多様の技術が存在する現在では、かつてのメインフレームの時代と比較して、「匠」として黙々と活躍できる旬の期間は確実に短くなってきていると考えるべきだ。「匠」の精神を持った技術者の世代交代と「匠」自身として活躍できる期間を伸ばすため、人材育成策の投入もプロジェクト運営の大きな課題の1つであろう。 |
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| 人財開発の必要性 | ||||||||||||
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筆者は、IT技術者が備えるべきスキルの軸は4つあると考える。1つ目はプログラム開発に必要なコンピュータ言語やハードウェア導入をコーデネートできる「テクニカル力」である。2つ目は情報システムの適用分野に関する知識と応用能力である「アプリケーション構築力」だ。3つ目はシステム設計を行ったり、開発プロジェクトをマネジメントできる「プロフェッショナル力」となる。そして、4つ目は先の3つの力を伸ばしていくエンジンともなる「パーソナル力」である。 この4つの軸をバランスよく保有することで、技術レベルが向上できると信じている。前述の「匠」はこの4つの軸をバランスよく保有しながら、「テクニカル力」または、「アプリケーション構築力」が突出した技術者をイメージするとわかりやすい。 その後は、「匠」の道を歩む、突出した「テクニカル力」を武器に「プロフェッショナル力」を磨き、いわゆるプロジェクトマネージャ(棟梁)の道を歩む、あるいは「棟梁」を補佐する「参謀」としての道を歩むなどの選択できるキャリアパスを確保することが必要であると考えている(図3)。 ![]() 図3:IT技術者のキャリアパス 「棟梁」は自身が「匠」の理解者であるとともに、自身の人間的な魅力で、自身の「目利き」を持てるような人材であって欲しいと願う。そして、現場に根付く情報を持って、物事を決断して実行できる力がなければならない。 ITの技術は非常に幅広く、それぞれが日々進化を遂げている。そこで、ITの技術者は過去に自身が到達したスキルレベルと自身の今のスキルレベルを謙虚に認識し、「自身の強みと弱み」を把握して自らの成長を開拓することが求められる。変化の激しいITの技術と向かい合うためには自らがスキルを開拓する必要があるのだ。 この姿勢が自身の技術者としての旬の期間を伸ばすことができるのである。そうした中で、IT技術者である自分が、今どの部分を鍛えられ、どの力を伸ばすべきかが見えてくる。このような自身のスキル戦略を持った技術者集団の中から、伸び盛りの技術者を開発プロジェクトに登用して人の能力を開発することが必要である。 何故なら、IT技術者の育成は現場の開発プロジェクトを通して行うことがもっとも重要であるからだ。つまり、人を財産として考える「人財開発」が必要なのである。開発プロジェクトを成功させる上で、この「人財開発」を行う機能もプロジェクトを支援する機能として必要であり、この機能の有無も開発プロジェクト遂行のリスクの1つであり、「棟梁」に求められる資質の1つだといえるだろう。 |
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