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| 中国からの電話 | ||||||||||||||||||||||
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中国出張を終えて日本に戻った筆者らは、中国でのヒアリングをもとにERPパッケージの設定作業を進めていきました。 この頃から中国側のキーユーザから頻繁に電話がかかってくるようになりました。電話の内容はERPパッケージの基本的な機能や、筆者が参加する前にすでに説明されているはずのプロセスフローについての質問でした。 質問に対して回答はしますが、お互いの認識にずれがあり、話がかみ合いません。この時の筆者は、自分が参加する前に中国のユーザにはERPパッケージについて十分に説明がされており、ユーザも理解しているという思い込みがありました。また、トップダウンという方針なのだから、日本で決めた仕様に従うのが当然であり、それで問題ないだろうという安易な考えもありました。 このような認識のずれがあり、しかも説明の手段が電話であったため、ユーザに対して十分に説明することができず、ユーザのフラストレーションはたまっていく一方でした。電話の中でユーザが声を荒げることも何度かありました。 こうした電話でのやり取りが何度もおこなわれましたが、結局ユーザのフラストレーションは解消されることはありませんでした。 その一方でスケジュールはどんどん進んで行き、ERPパッケージの設定作業・テストを終えてユーザトレーニングをおこなう段階になりました。 |
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| 難航するユーザトレーニング | ||||||||||||||||||||||
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ユーザトレーニングは中国でおこなわれることになり、プロジェクトメンバー全員で現地に向かいました。ユーザトレーニングはシステムの操作方法を説明するということになっていましたが、実際に行ってみると、ユーザには前提となる知識がなく、単に操作方法を説明するだけではユーザは理解できませんでした。 建前では業務的な説明はキーユーザがおこなうということになっていましたが、前述の通りキーユーザの理解も十分ではないため、それは機能しませんでした。このためキーユーザに対する説明もユーザトレーニングの中で行われることとなり、非常に時間がかかることになりました。 |
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| 爆発 | ||||||||||||||||||||||
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ユーザトレーニングをおこなっている最中に、こんな話は聞いていない、これでは業務が回らないと、議論が紛糾することが何度かありました。 そのような中でとうとうキーユーザの怒りが爆発するときがやってきました。 きっかけは、ある帳票についてパッケージの標準機能では要件を満たせないと考えたキーユーザが拡張開発の必要性を訴えときのあるコンサルタントの回答でした。
キーユーザが業務上非常に重要だと考えていることについて、十分に検討されることなく否定されたことで怒りが爆発したみたいです。 そうして、せまい会議室の中でキーユーザの怒鳴り声が響き渡りました。怒りの内容はきっかけとなった帳票のことだけにとどまらず、これまでのプロジェクトの経緯についての不満について広がっていきました。 後から解ったことなのですが、キーユーザは中国という見知らぬ土地で事業立ち上げをおこない、法制度・商慣習の違いなどわからないことばかりで非常に大きな不安を抱えていたのでした。 そのような不安をユーザの本社もプロジェクトメンバーも理解せずに放置し、十分にケアしてきていませんでした。それがこのやりとりをきっかけに爆発したのでした。 この時、カットオーバーまであと1ヶ月(次回に続く)。 |
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