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| 企業価値を高め、ユーザの満足度を高める「日本型SLA」 | |||||||||||||||
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「アウトソーサーのサービスレベルを評価する場合、アウトソーサーの努力改善を評価できる指標をもとにSLAを取り決めないとアウトソーサー側の力を引き出せません」 加藤氏はSLAでアウトソーサーの力を引き出すことが重要だと強調した。アウトソーサーの足りない部分を見極める場合、SLAは明確な物差しとなるからだ。ユーザ企業が本格的に戦略アウトソーシングを導入し、情報組織の運営をアウトソーサーが担う場合、一般的なSLA(定常作業に品質を定量評価するSLA)ではなく、さらに難易度が高い指標を定義すべきだという。
表1:SLAと戦略アウトソーシングの対比 出所:日本総研資料 「戦略アウトソーシングを導入して情報組織の運営をアウトソーサーが担う場合、一般的なSLA(定常作業に品質を定量評価するSLA)ではなく、さらに難易度が高い指標を定義すべきです」 加藤氏によると、SLAは優れた指標であるものの、日本企業にはそのまま適応できないという。なぜならば、日本企業は部署間によって業務がはっきりと分割されていないすり合わせの文化であるからだ。 「欧米の考えでつくられたSLAはサービスをはかる上では優れた指標ですが、そのまま日本で活用しても意味がありません。そういった個々に分かれている考えは日本ではそのまま使うのは難しいといえるでしょう」 加藤氏は欧米文化でつくられた指標をそのまま日本で使うのは問題があると述べた。システム開発にかかわる指標は多くあるが、それら指標を活用することが課題となっており、多くの企業が気になるところであろう。
「欧米のアウトソーサーはそれぞれのサービスのスペシャリストです。DB管理者であれば、基本的に一生を通じてその職種であり、スペシャリスト志向なのです。しかし日本はすり合わせの文化ですので、その文化を活かすやり方があると思います。SLAをたくさん細かく定めるよりも、意味のある(改善をドライブできる)指標を20くらい定めればよいと考えます。運用代行的なサービス提供では「いわれたことをするだけ」になりますが、『戦略アウトソーシング』では担当者の考え方やコミュニケーション能力も重視します。『そもそも顧客の一員として戦略をつくりだし、実行・管理して変化や間違いに気づき自律的に行動していくもの』であり、これはトヨタ式に代表される日本独自のものです」 加藤氏は日本文化を考慮した戦略アウトソーシングは日本のソフトウェア産業の競争力を高めていくと自信をみせた。トヨタ式に代表されるように、日本は製造業では優れた競争力を誇っている。それは細かなものづくりへの配慮が根底にあるといわれているが、それをシステム開発に反映させていくためには欧米と日本の文化を理解する必要があるのではないだろうか。 また加藤氏は「欧米はコストが安ければそれなりのサービスレベルで納得します。欧米諸国はBRICs(注2)諸国にオフショア開発を発注していますが、日本は欧米諸国以上の品質をオフショア開発に求めており、それに答えるのは日本のソフトウェア産業しかありません」と、日本のソフトウェア産業にエールを送った。
※注1:
BRICs(ブリックス)とはブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)を指し、それらの頭文字をとったもの。オフショア開発委託先として注目されている。 |
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「欧米のアウトソーサーはそれぞれのサービスのスペシャリストです。DB管理者であれば、基本的に一生を通じてその職種であり、スペシャリスト志向なのです。しかし日本はすり合わせの文化ですので、その文化を活かすやり方があると思います。SLAをたくさん細かく定めるよりも、意味のある(改善をドライブできる)指標を20くらい定めればよいと考えます。