第1回:TCOに見るSQL Serverのメリット (3/4)

SQL Server 2005への移行
OracleからSQL Server 2005への移行

第1回:TCOに見るSQL Serverのメリット
著者:アバナード  吉野 洋修   2006/5/23
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これからはマルチコアの時代?

   ここ数年のハードウェアの技術革新は、DBにも大きな影響を与えています。特にマルチコアはアプリケーションで使用できるスレッドの総量を増加させることで、同時に発生するワークロードの並列処理に対して使用できるスレッドを増加させます。これにより、飛躍的なパフォーマンス向上を期待することができます。これを踏まえてマルチコア環境におけるSQL ServerとOracleのコストについて比較します。

   図1はSQL Server 2005とOracle10gのエンタープライズエディションにおけるマルチコアのコストを比較したものです。SQL Server 2005の場合、4プロセッサのライセンスとして約1,200万円必要となります。

   さらにデュアルコアプロセッサで4つのコア上でソフトウェアを実行することを考えた場合、必要なプロセッサのライセンスは4つだけなので総コストは変わりません。一方、Oracleはコア単位で変わります。同じ状況でも、ライセンスのコストは1.5倍になります。またクアッドコアシステムのライセンスコストは2倍になります。

マルチコアコストの比較
図1:マルチコアコストの比較
出典:Microsoft
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   この理由はSQL Server 2005では単一のマルチコアライセンス方式を採用しているため、プロセッサ単位のソフトウェアライセンスに対して、コアではなく物理プロセッサに対してライセンス化することでエンタープライズソフトウェアのコストを削減しているためです。よってプロセッサ単位のソフトウェアに必要なライセンスは、コアではなくプロセッサ数によって決定します。これはOracleと大きく異なるポイントの1つです。


SQL Server2005に見る機能の進化

   これまでの内容からSQL Serverのコスト面でのメリットは理解できたと思います。ここからはSQL Serverの機能面に注目したいと思います。

   読者の中には、Oracleに比べてSQL Serverの機能が比較的劣っているように思われている人もいるかもしれません。しかし新しいSQL Server 2005では多彩な機能が追加され、Oracleとほぼ同等の機能を有しています。ここではOracleからSQL Serverに移行することに関しての障壁と思われがちなスケーラビリティや信頼性、可用性を中心に解説します。

   スケーラビリティにおいて、SQL Server 2005は次のような長所があります。

  • 詳細なテーブルとインデックスのパーティション化
  • スナップショット分離
  • Windows Server 2003でのWindows Schedulerから15%のパフォーマンス向上
  • サポート可能なCPUの最大数が制限なしになったことによる、サーバパフォーマンスの大幅な向上
  • プロセッサのクロック速度(MHz)およびキャッシュアップグレードによる、各プロセッサ処理能力の約50〜55%向上

表5:スケーラビリティにおいてのSQL Server 2005の長所

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株式会社アバナード  吉野 洋修
著者プロフィール
株式会社アバナード  吉野 洋修
アバナード株式会社 インフラストラクチャ スペシャリスト
前職でSQL ServerやOracleを利用したプロジェクトの設計から運用までを幅広く経験し、2005年アバナードジャパンに立ち上げメンバとして参画。現在は、グローバルコミュニケーションツールの大刷新という大規模プロジェクトの中で、NotesからSPSへのマイグレーションを行う。保有資格はOracleマスター、MCDBA、MCTS。


INDEX
第1回:TCOに見るSQL Serverのメリット
  はじめに
  機能拡張と新規構築、どちらが安い?
これからはマルチコアの時代?
  ダウンタイムの原因は何か
OracleからSQL Server 2005への移行
第1回 TCOに見るSQL Serverのメリット

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