第1回:TCOに見るSQL Serverのメリット (4/4)

SQL Server 2005への移行
OracleからSQL Server 2005への移行

第1回:TCOに見るSQL Serverのメリット
著者:アバナード  吉野 洋修   2006/5/23
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ダウンタイムの原因は何か

   SQL Server の信頼性と可用性の向上において重要なのは、ダウンタイムの原因となる要因の識別と分析です。一般的にダウンタイムの典型的な原因には以下のようなものがあります。
  • ハードウェア障害
  • ソフトウェア障害(オペレーティングシステム/DB/アプリケーションなど)
  • 人為的障害
  • 災害

表6:ダウンタイムの典型的な原因

   ダウンタイムのもっとも大きな原因はソフトウェア障害であり、30〜40%のダウンタイムはオペレーティングシステム(以下、OS)やDB、アプリケーションなどのソフトウェア障害が原因であるといわれています。

   Windows 2000、Windows Server 2003、UNIX、Mac OS X Serverなどの各OSの信頼性のレベルはそれぞれ異なりますが、OSの信頼性はダウンタイムに大きな影響を与えます。Windows Server 2003ではダウンタイムが大幅に削減されており、さらに新機能の提供により、SQL Serverの可用性と信頼性も向上しています。

  • クラスタ機能の向上、スナップショット分離、DBミラーリング、DBスナップショット、パーティション化
  • 向上したT-SQL例外処理、強化されたXMLサポート、Microsoft .NET Framework Common Language Runtime (CLR)とService Brokerでの高度なメッセージ交換機能のより強固な統合

表7:SQL Server 2005で追加された可用性と信頼性を向上させる機能

   この表にあるようにSQL Server 2005では多くの機能が拡張または追加されています。これにより、Oracleと比較しても見劣りしないものであるということが理解いただけたと思います。

   しかしこの連載ではDB単体の機能の優劣をつけるものではなく、様々な場面に応じてどうような機能を活用すれば高い付加価値が得られるかについて説明していきます。SQL ServerとOracleの機能についての比較は、マイクロソフト社から提供されている集中連載をご覧ください。


まとめ

   ますます複雑になるIT環境において、DBは非常に重要なものになってきています。しかしその結果、以下のような問題も発生しています。

  • DBの保守に必要なリソースとコストが増加
  • システムユーザからのサービスレベルに対する期待の増加
  • 既存IT資産の運用にコストがかかりすぎ、新規ITへの取り組みができない
  • データの精度やアプリケーションへの影響を考慮すると、移行コストが高くなって移行が困難

表8:DBの問題点

   このような問題が発生している中、組織にとって最適なDBを選定することは結果的には非常に重要な作業になります。今回はこの問題に対するインプットとして、まずコスト面に注目してSQL Server 2005を選択する意味についてOracleと対比することで整理をしました。そしてSQL Server 2005は、ハードウェアやソフトウェアのコストについて確実なメリットがあり、TCOの削減に効果があることがわかりました。

   その一方でDBの多機能化によりポータルやEAI、さらにはERPとの統合やアプリケーションとの開発環境の連携など、他のツールやシステムとの境界線がますますあいまいになりつつあります。DBの機能のみを比較して、どちらがよいか選ぶという作業は無意味である可能性さえありえるでしょう。

   それぞれのDBの機能や特徴やパフォーマンスを理解した上で、自分たちの組織がどのようなソリューションを必要としているのか、どの程度のコストをかけようとしているのかを正しく評価し、より適切なソリューションを選択することが重要なのです。

   次回はそのような観点の最初のトピックとして、実行環境におけるDBとしてのSQL Server 2005の機能紹介と他システムと連携について、Oracleと比較しながら詳細に見ていきたいと思います。

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株式会社アバナード  吉野 洋修
著者プロフィール
株式会社アバナード  吉野 洋修
アバナード株式会社 インフラストラクチャ スペシャリスト
前職でSQL ServerやOracleを利用したプロジェクトの設計から運用までを幅広く経験し、2005年アバナードジャパンに立ち上げメンバとして参画。現在は、グローバルコミュニケーションツールの大刷新という大規模プロジェクトの中で、NotesからSPSへのマイグレーションを行う。保有資格はOracleマスター、MCDBA、MCTS。


INDEX
第1回:TCOに見るSQL Serverのメリット
  はじめに
  機能拡張と新規構築、どちらが安い?
  これからはマルチコアの時代?
ダウンタイムの原因は何か
OracleからSQL Server 2005への移行
第1回 TCOに見るSQL Serverのメリット

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