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オープンソースをこう使った! 〜 運用管理ツールHinemosの秘密 |
第1回:Hinemosの全体構想について
著者:NTTデータ 藤塚 勤也 2006/8/3
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Hinemosの概要
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Hinemosは、表2にある5つの機能を中心に構成されています。これらの機能は、大規模なシステムに対しても十分に対応可能な能力を備えています。
- リポジトリ機能
- 各種機能が共通で使用する、グループ・ノード構成の情報を管理します。
- 監視管理機能
- イベントログ情報の集中監視を可能とします。グループ単位での表示ができます。
- 性能管理機能
- CPU使用率などのリソース情報を、グループまたはノード単位でリアルタイムグラフ表示することができます。さらに、リソース情報の保存・表示や閾値監視も行うことができます。
- ジョブ管理機能
- ユーザ作成ジョブを、複数ノードを連携させて定義・実行することができます。
- 一括制御機能
- 複数ノードへのパッチ適用などを、簡単なGUI操作のみで、容易に実行することができます。
表2:機能一覧
Hinemosの最大の特長は、各監視対象のコンピュータ(以後、ノード)をグルーピングすることができ、そのグループ単位にて各機能の操作をすることができるところです。この各グループをスコープと呼び、ユーザが自由に設定することが可能です。
図1は複数のノードに対して、業務の視点からのスコープ、使用しているOSの種類によるスコープを設定し、その中をまたいくつかのスコープに設定している様子をあらわしています。このように1つのノードは複数のスコープに属することが可能です。
図1:スコープの概念 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
また、Hinemosは商用の運用管理ツールに匹敵するジョブ管理機能を所有しています。複数のノードにまたがったジョブを1つのジョブネットとして定義し、ジョブの運用をすることが可能です。OSSの運用管理ツールでここまでのジョブ管理機能を持つものは、他に例を見ません。
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Hinemosの構成
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Hinemosは図2の通り、クライアント、マネージャ、監視・制御対象ノードの3つのパッケージで構成されています。
図2:Hinemosの構成 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
- クライアントパッケージ
- Eclipseのプラグインとして各機能画面を実装しています。現バージョンのHinemosは、Linux端末上にて試験を行ったものですが、EclipseをプラットフォームにしているのでWindows端末上でもさほど問題なく動作します。
- マネージャパッケージ
- JBossをAPサーバとして使用し、各機能をEJBにて実装しています。クライアントパッケージは、EJBのクライアントとしてサーバーパッケージと接続しています。
- 監視・制御対象用のノードパッケージ
- ジョブ管理用のエージェントモジュールと各種既存のOSSにて構成されています。エージェントモジュールは、Javaにて実装しているため、様々な種類のOS上にて動作させることは容易です。
表3:各機能が実施する処理
なお、クライアントパッケージとマネージャパッケージは同一のコンピュータ上に配置することも可能で、マネージャパッケージは複数のクライアントパッケージからの接続もできます。よって図3に示すような簡易な小規模構成から、複数運用オペレータを配置するような大規模マルチユーザ構成まで実現可能です。
図3:簡易構成とマルチユーザ構成
このようにHinemosは、様々な環境に適用しやすい構成で実装されています。
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著者プロフィール
株式会社NTTデータ 藤塚 勤也
基盤システム事業本部 オープンソース開発センタ シニアスペシャリスト。
日本タンデムコンピューターズ(現日本HP)を経て、2003年よりNTTデータにてOSS分野に参画。日頃はオリジナルOSSの開発や、OSSを用いたシステム構築への技術支援に従事。「RDBMS解剖学」(翔泳社)を共著。
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