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見える化とは何か〜改めて問うその真価
第3回:プロジェクト進捗状況を「見える化」する
著者:
チェンジビジョン 山崎 知恵
2006/12/18
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バーンダウンチャート
バーンダウンチャートは、残作業量を視覚化する右下がりのグラフである。縦軸に残りの作業量(例えばタスク数やかかる人日数など)を、横軸に時間(例えば日付)を割り当て、毎日の残った作業量をグラフにしていくのである。残作業量がゼロ(グラフの横軸)になれば、すべての作業が完了したことになる。
図2:TRICHORDチームのバーンダウンチャート
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
タスクかんばんとバーンダウンチャートを比較すると、作業がどのくらい残っているかを見られるという点ではどちらも同じであるが、そこから予測できる情報が異なる。
タスクかんばんは、タスクカードの単位で残りが見えるため、ToDoにあるカードの枚数で作業量を想像することになる。残されたカードの枚数が多い場合、どうしても作業量が多いように感じてしまいがちである。これに対して、バーンダウンチャートは残った作業にあとどれくらいの時間がかかるのかという点にしぼって見ることができる。
終わったタスクは残時間をゼロに、作業中のものはあとどれくらいの時間で終わりそうかを記録し、その合計でチャートを作り、予定日までに終えられるかどうかを見える化する。
作成時に、終了までの予定線を描いておくことで、毎日の残量をプロットした実績線との差異から、以降の見通しを立てることができる。予定線とのひらきが大きい場合は、進行が速い場合も遅れている場合も、そこで何らかの対策をとる必要がでてくる。毎日メンバー全員がグラフを目にすることで、チームの誰もがそこに大きな差があることを理解し、行動の必要性を認識するのである。
進行が速い場合には、新しいタスクを作ったり、チーム内で勉強会をしたりするなどが考えられ、遅れている場合にはタスクを調整したり(数を減らす、優先度を変更する)、顧客と交渉したりするなどの対応が考えられる。このとき、調整により減らしたタスクは次週(次の単位期間)に置かれることになる。
バーンダウンチャートによる残作業量の見える化は、プロジェクトに関わるすべての人間が作業の進み具合の傾向を共有し、行動へつなげるきっかけにもなる。これは開発者に限らず管理者にとっても有効で、管理者はこのグラフを見ることで、プロジェクトが危険な状況に向かいつつあるかをはやく見つけ対応を考えられる。
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著者プロフィール
株式会社チェンジビジョン 山崎 知恵
UMLモデリングツール「JUDE」、プロジェクト管理ツール「TRICHORD」のマーケティングを担当。コミュニティサイトの運営や、イベントの企画・開催を通じて、ユーザーと開発者との対話を促す場の創出に努める。
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第3回:プロジェクト進捗状況を「見える化」する
ソフトウェア開発状況を見渡すために
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